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マグリットの心地よい不安

ルネ・マグリット [René Magritte1898-1967]

2度目のブリュッセル。滞在日数も限られていたのですが、どこか美術館は一つ行きたい!ということでマグリットに決めました。ベルギー王立美術館に隣接しています。(エントランスは一緒でマグリットゾーンが別れている)全館共通のチケットもありました。

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手人間がお出迎え。入館してマグリット館へ。

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〈帰還〉

鳩はどこに帰還するのか卵の中か空か?

             昼と夜、卵と鳥。表と裏、生と静、いくつかの対が描かれています。

展示室は基本照明が暗く、作品一つ一つがぽつぽつと静かに主張しています。

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タイトル不明

マグリットといえば、ハットにパイプに、

   空に鳩。後のポップアートにも影響を与えます。

シュルレアリスム=超現実主義と呼ばれるジャンル。 現実を超えるリアリズム。合理的、科学的なものに縛られない世界、理解や意識にコントロールされていては到達できない無意識の世界に解放された精神を見出そうとしたのです。現実にはあり得ない、夢と現実が溶け合ったイメージを追求し、現実や日常とは別の世界を鮮明に表現しています。---現実の再現化とは違った魅力的なものでした。【引用:鑑賞のための西洋美術史】

シュルレアリスムの代表的な画家といえば      スペインのダリやミロ。マグリットはダリと同系系統の表現方法だといえます。写実+非日常空間。

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どの絵見ていても違和感、不安を感じます。

因果関係、表裏一体、何が真実なのかを       鑑賞者に問いかけてきます。

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勿論作者が表現したい"真実"はあるのでしょうが、

これは何を訴えているのであろうと         考察をすることが"意図"でもあると思います。

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〈光の帝国〉

お目当てはこちらの"光の帝国"でした。昔、妹の模写の課題で選んだのがこの絵で、代わりに描いたものでした。(無理矢理だったか)思い出の絵です。ずっと本物を観たかったので達成できてよかったです。

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光の帝国はMoMAニューヨーク近代美術館にもあります。昼と夜が一枚の絵に表現されています。不自然なのですが、どこか安心感も得れるこの作品。

   ふと、不完全なものや、不安定なものに触れたくなる時がありませんか?

  少し気分が落ちている時なんて特にこういったものに触れたくなります。

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例えば映画や小説は、想定できるラストやハッピーエンド過ぎるハッピーエンドだと少し物足りなさを感じます。勿論フィクションなのだけれど、その中でもリアルでショッキングなことや、思うようにいかないストーリーがあると現実味が増してお話にのめり込むことができます。全てはフェイクなのだけれど。

なので歴史に基づいたお話やドキュメンタリーかバッドエンド。それか思い切りエンターテイメントに陶酔させてくれる作品が好きです。結果何が好きなのかよく分からないですね。

とにかく心地よい不安に包まれて

安心感を得ることが時々あります。

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マグリットのお陰かなんだかモヤモヤとした文章になりました。身近にこの美術館があったら定期的に行きたくなってしまいそうな、中毒性のある作品達でした。


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