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ゲームメーカーズスクランブル2024レポート

https://gamemakers.jp/scramble2024/
◆イベント概要「ゲームメーカーズ スクランブル2024」は、ゲームづくりに関わる方同士で盛り上がるための完全無料のリアルイベントです。ゲームづくりに関する全10講演のセミナーや、Unreal Engine 5とBlenderを使った初心者向けのゲーム制作体験会、アナログゲーム制作ワークショップ、プロに聞けるなんでも相談所、講演者とも交流可能な懇親会など、さまざまなイベントが実施されます。(引用)


◆イベント総括
今回のイベントはインディー開発者だけでなくゲームを作ったことのない人や学生さんなどを呼んでの会だったこともあって、様々な人に向けての講義が多い印象を受けました。しかし、ゲーム制作者自身にも、実際に身になるお話も沢山あったのでまとめました。
※注意:メモが間違ってる場合がありますので、ご了承ください。
    僕が個人的に聞きたい講義に偏ってます。

◆心に残る物語のつくりかた
プロデューサー ディレクター 脚本家 / 山中 拓也


1. 自己紹介と経歴
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  • 自己紹介

    • 山中拓也氏はフリーランスのクリエイター。

    • 主な活動はゲームクリエイターやアニメ脚本家、プロデューサーなど。

  • 経歴

    • 大学時代に心理士資格を取得。

    • 卒業後、株式会社ユークスに入社し、海外向けアクションゲームを制作。

    • 転職してフリュー株式会社でプランナーからディレクターとなり、オリジナルタイトル「カリギュラ」を制作。

    • 「カリギュラ」のアニメ化に携わり、31歳でフリーランスに転向。

    • 現在はアニメ脚本やYouTubeメディア「ミルグラム」の制作など、様々なプロジェクトに関わる。

2. 主要作品とコンセプトの設定
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  • 主要作品

    • カリギュラ: 現代学園RPG。心理的テーマを扱い、シナリオにコンプレックスや現代社会の問題を反映。

    • ミルグラム: 視聴者参加型YouTube映像作品。視聴者がキャラクターの罪を判断し、シナリオが変化する形式。

  • コンセプトの設定

    • コンセプトの重要性: コンセプトはゲーム制作の指針となり、実装の方向性を決める。

    • 具体例: 「一騎当千の爽快感」など、具体的な感情や体験を言葉で表現することが重要。

    • 実装への影響: コンセプトに基づいてゲームの敵の数や難易度などを調整し、統一感を持たせる。

3. キャラクター設定とシナリオ作成のアプローチ
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  • キャラクター設定

    • リアリティの追求: キャラクターには現実的な背景やコンプレックスを持たせる。

    • 隠したい秘密の暴露: プレイヤーにキャラクターの隠された面を発見させることで物語に深みを持たせる。

  • シナリオ作成のアプローチ

    • 観客の価値観と倫理観: 視聴者やプレイヤーの価値観に問いかける内容を盛り込む。

    • 反論の取り込み: 物語の中で反論を取り込み、深いメッセージを伝える。

  • 実践的なアドバイス

    • シナリオ発注の際のポイント: 脚本家に対して具体的なリクエストを伝え、コンセプトに基づくシナリオを求める。

    • 相互理解の重要性: 脚本家とクライアントが互いに理解し合うためのコミュニケーション方法。

まとめ
山中拓也氏の講演では、心に残る物語を作るための具体的な方法とその重要性に触れていました。売れるコンテンツよりも、心に残るコンテンツを目指す理由として、長期的なファンとの強い結びつきを築くことができる点を挙げていました。
また、コンセプトの設定やキャラクターのリアリティを重視し、受け手に深い印象を与えることが重要であるとも話していました。さらに、実践的なアドバイスとして、シナリオ発注の際のポイントも共有され、具体的な制作プロセスについても言及していました。後日スライドが公開されるとのことなのでそちらを見るのも良いかもしれません。


◆企画理解と連携が大切!
デザインの力で世界観を伝えるCygames流 基礎テクニック
株式会社 Cygames / デザイナー本部 副本部長 / 中村 ふじ子


1. 自己紹介と講演の目的

  • 講演者紹介

    • 中村氏(サイゲームス デザイナー本部所属)

    • 元はWeb業界出身で、サイゲームス合流後はUIデザインを担当。

    • 現在はサポートチームとしてデザイナーの育成を担当。

  • 講演の目的

    • 若手や初心者向けに、ゲーム開発におけるデザイナーの役割や業務内容、コミュニケーション方法について解説。

2. サイゲームスの紹介

  • 会社概要

    • 設立:2011年5月

    • 拠点:東京、大阪、佐賀

    • メイン事業:ゲームコンテンツの企画、開発、運営

    • 主なタイトル:『進撃のバハムート』『グランブルーファンタジー』『シャドウバース』『プリンセスコネクト!Re
      』『ウマ娘 プリティーダービー』

    • 他事業:コミック事業、アニメ事業(『明日、私は誰かのカノジョ』、『ワンブレイブーン』)

3. ゲーム開発体制とデザイン業務の紹介

  • ゲーム開発体制

    • プロデューサー、プロジェクトマネージャー、ディレクターを中心に、企画、デザイナー、エンジニア、サウンドなどの職種が存在。

    • 開発工程は、仕様策定、デザイン制作、実装、デバッグ、リリース。

  • デザイナーの業務

    • イラスト制作:キャラクターデザイン、背景デザイン、武器デザインなど。

    • コンテンツデザイン:ミニキャラクターデザイン、キャラクター設定、イベント内容作成。

    • UIデザイン:画面設計、ボタン配置、ゲームインターフェース設計。

    • アニメーションデザイン:UIパーツやエフェクト、ミニキャラクターの動作。

    • 3DCGデザイン:3Dキャラクターや背景の制作、エフェクトの追加。

    • 進行管理:デザイナーのスケジュール調整、サポート。

    • テクニカルサポート:デザイン開発効率向上のためのツール開発。

    • アートディレクション:クオリティ、世界観表現、ビジュアル監督。

4. サイゲームスのデザイナーに求められる役割

  • 役割

    • ゲームの世界観を視覚的に伝えること。

  • 必要な能力

    • グラフィックデザイン能力:優れたグラフィックを表現するための技術やツールのスキル。

    • チームコミュニケーション能力:相手にわかりやすく伝え、相手の求めていることを正しく汲み取る能力。

5. 具体的なコミュニケーション方法の紹介

  • 方法1:複数案を出す

    • 複数のラフ案を提出し、企画者のイメージを引き出す。

    • メリット:修正回数の減少、企画者のイメージ絞り込み、デザイナーからの提案が可能になる。

  • 方法2:大事にしたいことを事前に確認する

    • 制作前に優先順位や大事にしたいポイントを確認。

    • メリット:制作時間の短縮、クオリティアップ、意図が伝わりやすくなる。

まとめ

  • デザイナーの役割と必要なスキル

    • ゲームの世界観を視覚的に伝えるために、グラフィックデザイン能力とチームコミュニケーション能力が必要。

    • デザインの質を向上させるために、複数案を出すことや事前に確認することなどの具体的な方法を伝えていました。ゲーム制作初心者の方や、学生に向けた公演だったと思います。

◆現役ディレクターから学ぶ、誰でも使えるディレクションスキル
ファーレンハイト213株式会社
代表取締役 クリエイティブディレクター / 塩川 洋介


1. 自己紹介と経歴

  • 自己紹介

    • マリアトリエ株式会社代表取締役、タカ陽介。

  • 経歴

    • 2000年:合併前のスクエアに入社。

    • 2009年:スクエニのアメリカ支社に4年半出向。

    • Tokyo RPG Factoryの立ち上げと代表を務める。

    • 2016年:ディライトワークスに転職。

    • 2022年:独立してインディゲームを製作

2. 携わったゲームとプロジェクト

  • キャリア前半

    • スクエニグループで家庭用ゲームを開発。

  • 最近のプロジェクト

    • スマートフォンゲーム、VR、AR、アーケードゲーム、アナログゲーム、リアル脱出ゲームなど。

    • steamで「つるぎ姫」というアクションRPGを開発中。

3. ディレクションスキルの重要性

  • ディレクションスキルの普遍性

    • ゲーム開発は集団作業であり、ディレクションスキルはディレクターだけでなく他の職種にも役立つ。

    • プランナー、エンジニア、デザイナーなど、全ての職種でディレクションスキルが必要。

  • ディレクションの定義

    • 考えて、伝えて、導くというプロセス。

  • スキルの具体的な活用法

    • 企画書の作成とその実現。

    • チームメンバーに対する指示と指導。

4. ディレクションの具体的なステップ

  • ステップ1:ゴール設定

    • ゴールの重要性:成し遂げたいことを明確にし、共通の判断基準を持つ。

    • ゴールの設定方法:優先順位を明確にし、上位のゴールに絞る。

  • ステップ2:アイデア出し

    • アイデアの定義:ゴールを実現するための手段。

    • アイデアの出し方:前提条件を整理し、面白さと魅力を兼ね備えたアイデアを考える。

  • ステップ3:発注

    • 発注の定義:チームを動かすこと。

    • 発注のやり方:人によって異なるため、相手に合わせた発注方法を模索。

    • 発注の大切なこと:要件の明確化。何を守るべきか、何を自由にしてよいかを明示。

  • ステップ4:実装

    • 実装の定義:実際にものを作り始めること。

    • 実装中の重要な活動:判断とコミュニケーション。細かく判断を行い、受け手側がやりやすいようにコミュニケーションを取り続ける。

    • 実装の際の注意点:手段にこだわらず、ゴールにこだわる。

  • ステップ5:調整

    • 調整の定義:仕上げの工程。

    • 調整の重要性:試行回数の確保が重要。多くの試行回数を確保することで品質が向上する。

    • 調整の方法:ターゲットの成果を意識し、最終的に届けたいお客さんにどう届くかを考える。

5. ディレクションで最も大事なこと

  • コントロールの不可能性
    ┗大規模なプロジェクトでは全てを細かくコントロールすることは不可能。

  • パレートの法則の適用
    ┗全体の8割の成果は2割の努力から生まれる。重要な部分に集中することで効率的なディレクションが可能。

まとめ
塩川氏は、ゲーム開発におけるディレクションスキルの重要性とその具体的な活用法について解説しました。ディレクションは、考えて、伝えて、導くというプロセスを通じて行われ、ゴール設定からアイデア出し、発注、実装、調整というステップを経て実現されます。重要なことは、全てをコントロールしようとせず、重要な部分に集中しましょうということでした。ディレクターに限らず、全ての仕事でも通じる部分もあるかと感じますね。

◆【公開】ヒット作品のつくり方
株式会社ホットスタッフ・プロモーション
コンテンツクリエイティブセクション エグゼクティブプロデューサー
コヤ所長(小山 順一朗)


1. 自己紹介と経歴
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  • 自己紹介

    • バンダイナムコ(バンナム)で34年間勤務した後に退職し、新しい会社に移籍。

    • 現在は新しいプロジェクトに取り組んでいる。

  • 経歴

    • バンナムでの勤務期間中、多くの成功したゲームを手掛ける。

    • ゲーム開発において、著作権管理の厳しさを経験。

    • 現在のプロジェクトでの目標は、特別な才能がなくても成功できることを証明すること。

2. 主要作品と成功の要因
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  • 主要作品

    • タッチパネルゲーム: 10年間で100億円の売上を達成。

    • ガンダムゲーム: 大ヒットし、特定のガンダムゲームのリニューアルに成功。

    • 釣りゲーム「釣りスピリッツ」: 独自のアイデアで人気を博す。

  • 成功の要因

    • チーム構成: 20種類以上の専門職から成るチームでプロジェクトを進行。

    • コンセプト設定: 明確なコンセプトを設定し、それを基に全ての開発を進行。

    • アイデアの実行: 新しいアイデアを積極的に取り入れ、実行に移す。

3. 開発プロセスとリーダーシップ
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  • 開発プロセス

    • 初期アイデアの検証: アイデアを評価し、実行可能かどうかを判断。

    • 失敗から学ぶ: 過去の失敗を分析し、次のプロジェクトに活かす。

    • チームの協力: 多様なバックグラウンドを持つチームメンバーと協力し、プロジェクトを進行。

  • リーダーシップ

    • 目標の明確化: プロジェクトの目標を明確にし、全員が理解するようにする。

    • ニーズの把握: ユーザーのニーズを深く理解し、それに応える製品を開発。

    • コミュニケーション: チーム内での円滑なコミュニケーションを促進し、アイデアを共有。

まとめ

主要作品と成功の要因
小山氏バンナムでの勤務期間中に多くの成功したゲームを手掛けました。タッチパネルゲームは10年間で100億円の売上を達成し、ガンダムゲームのリニューアルも成功させました。また、独自のアイデアで釣りゲーム「釣りスピリッツ」を開発し、人気を博しました。成功の要因としては、明確なコンセプト設定、新しいアイデアの積極的な実行が挙げられました。
開発プロセスとリーダーシップ
開発プロセスにおいては、初期アイデアの検証、過去の失敗からの学び、チームの協力が重要です。リーダーシップの面では、プロジェクトの目標を明確にし、全員が理解すること、ユーザーのニーズを深く理解し、それに応える製品を開発すること、チーム内での円滑なコミュニケーションを促進し、アイデアを共有することが求められます。

◆懇親会
懇親会で名刺交換させてもらった方々。1時間半くらいしか滞在出来なかったので、10人弱としか話せなかったですがとても貴重な時間を過ごすことが出来ました。また機会があれば積極的に参加したいですね。

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