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僕の昭和スケッチ

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「僕の昭和スケッチ」は、昭和レトロを描いたライフワーク画集です。誰の心にもある遠い日の思い出を描いていければと思っています。毎週月曜更新予定(祝祭日を除く)。
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2021年3月の記事一覧

昭和隠れ夜話「ついとべしょ」

 「僕の昭和スケッチ」69枚目 <画/© 2021 もりおゆう 原画/水彩 サイズF5> これは昭和三十年代に、祖母が布団の中で僕に話してくれた美濃地方に伝わる古い民話です。 「ついとべしょ」(要約) 或る闇夜の事… 赤鬼が追ってくるので女童(めのわらわ)は逃げねばと夜道を駆けて行く。だが、目の前に大きな川があらわれ女童の行く手を阻む。川を飛び越して行かねば鬼に喰われてしまうのだが、川幅は広くとうてい女童に飛び越せるような幅ではない。 鬼はいよいよすぐ後ろに迫り来る

たがさのべにおがちらつくとは?/昭和歌謡

 「僕の昭和スケッチ」68枚目 「たがさのべにおがちらつくようじゃ〜♫」 これは「潮来笠」の一節です。 ご存知橋幸夫さんが唄った昭和歌謡の大ヒット曲ですね。 子供の頃によく街にこの曲が流れていました。 けれど、当時の僕にはこれはちょっと意味の判らない唄でもありました。 <潮来笠> 「いたこのいたろう、ちょっとみなれば〜はくじょうそうなわたりどり〜」 これは有名な歌い出しの部分で、ここは子供ながら何となく判りました。「潮来の伊太郎はパッと見では薄情そうな旅ガラスだよ」と

ジュークボックスが鳴っていた時代

 「僕の昭和スケッチ」67枚目 <「バターボールの思い出」画/もりおゆう©  原画/水彩 サイズF5> 仄暗いフロアでジュークボックスが大音量で鳴っていた喫茶店は、 「不良少年、不良少女の溜まり場よ」と眉をひそめる人もいた場所でした。 僕自身は、不良ではなかったと思いますが、僕らがよくかけていたのは、ビートルズのプリーズMr.ポストマンやヘルプ、ショッキングブルーのビーナスや悲しき鉄道員、ストーンズのペインティットブラック… 皆お気に入りのナンバーでした。 当時、僕の記

昭和の冬行事/こたつ開き

「僕の昭和スケッチ」66枚目 <画/もりおゆう© 原画/水彩 サイズF5> 昔、武士の家では亥の月(11月)の一番目の亥の日(2021年の場合11日)に暖房器具を出したそうです。町家では二番目の亥の日(2021年の場合23日)に出しました。これを「こたつ開きの日」と名付け、日本人は冬の行事としていました。亥(イノシシ)は、炎の神である摩利支天の使いでしたから防火の神と考えられていたためです。 季節季節の節目を折り目正しくつけて日常生活を営んでいく…、こういった日本の風習

VANだった時代/昭和ファッション

 イラストエッセイ「僕の昭和スケッチ」65枚目 <画/もりおゆう© 原画/水彩 サイズF5> 1960年代のお洒落といえば、やはりまずアイビールックです。 そして、アイビーといえば、これはもう間違いなく日本ではVANでした。 典型的なVANスタイルといえば… ボタンダウンのシャツに3つボタンのブレザー コットンパンツ 履くのは革のスリッポンシューズ というものでした。 けれど、中高生にとってシャツは親にねだって買ってもらえても、ブレザーなんて手に入る訳もありません。