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僕の昭和スケッチ

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「僕の昭和スケッチ」は、昭和レトロを描いたもりおゆうのライフワーク画集。昭和の思い出を絵と文でお送りしています・・・毎週月曜更新予定(祝祭日を除く)。
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記事一覧

僕の昭和スケッチ250回記念  

Best8からBest4<ご挨拶> 「僕の昭和スケッチ」の絵を先週で丁度250枚アップさせて頂きました。 とりあえず100枚くらいは描こうと思って始めた「僕の昭和スケッチ」ですが、4年かけて250枚になりました。 ちょっと自分でも想像しなかった数字です。 これも、ひとえにnoteで見てくださる皆さんが見て下さったお陰です。 この場がなければ、僕は絶対にこんなに描き進められなかったと思います。有難うございます。 僕の昭和スケッチは、実際の風景や事物をスケッチして描くのではな

「チーコ」三途の川の手前から戻った文鳥

「僕の昭和スケッチ」250枚目 昭和50年代は、文鳥ブーム。 僕も子供の頃に文鳥を飼っていた事がある。 仲が良かった親戚の叔父さんから譲ってもらったのだ。 文鳥は今も人気がある小鳥だ。 チーコ 僕が飼っていたのは、小4の頃だったと思う。 名前は「チーコ」、よくある名前だ(笑) 穏やかな性質の桜文鳥でよく慣れて、いつも一緒に遊んでいた。 学校が終わるとチーコと遊ぶために一直線に家に帰ったものだ。 けれど、ある日異変が起こった。 夜、鳥籠からチーコを出していつものように

「雨の日とアマガエル」

「僕の昭和スケッチ」249枚目 雨蛙 雨蛙は飛び切り美しい生き物だ。 透き通るようなライトグリーンの背と真っ白な腹部、小さな指先は淡いイエローオーカー・・・ 私が初めてその小さな生き物に会ったのは、雨の雑木林の中、家族と墓参りに出かけた日のこと。子どもの頃だ。 暗い空から落ちてくる生憎の雨に家族の顔も曇りがちで、みな足取り重く、、、ようやく藪の向こうに塔婆や墓石が見える辺りまで来た時の事。 一匹の小さな生き物が茂みから私の手に飛びついてきた。 見ると、それはエメラ

駅弁の思い出「小鯛の笹漬け」

「僕の昭和スケッチ」248枚目 駅弁は楽しい旅の友だ。 僕にとってのそんな楽しい駅弁の思い出は何といっても「小鯛の笹漬け」。 若狭名物だ。 僕は岐阜の生まれで、昭和40年に初めて若狭湾に泳ぎに行った。 若狭は岐阜市から北西に位置し、波穏やかで美しい海だ。 泳ぐだけでなく、キスやコチ、カワハギなど沢山の小魚をよく釣った。 驚いたのは手のひら程の小鯛が釣れた時。 なんて綺麗な魚だろうと思ったものだ。 その小鯛は駅弁にもなっていた。 「ものすごく美味しいもの!」という訳では

懐かしの駄菓子屋昆虫採集キット

「僕の昭和スケッチ」247枚目 小学生の頃、夏休みになると、よく昆虫採集キットを買った。 大抵は駄菓子屋に置いてある安物だ。 防腐剤や注射器が入っている。 そして、昆虫をせっせと捕まえて、防腐剤を注射器で打っては採集箱にピンで刺して並べる・・・標本作りだ。 男子なら皆やった経験があり、美しい昆虫標本作りは男子の夢だ。 だが、この採集箱は夏休みの終わり頃になると必ず変な匂いを立て始める。 理由は簡単なことで、こういう駄菓子屋で売られていた採集キットに入っている防腐剤は

夏空と海辺の赤いポスト

「僕の昭和スケッチ」246枚目 ビックリするほど暑い毎日が続いていますね。 あまりの暑さに些か参りますが、それでも僕は夏が好きです。 抜けるような青空に白い雲、海にかき氷、、一年の内で一番好きな季節です。 上の絵は、遠い昔に若狭湾に行った時の記憶を辿って描いた一枚。 円柱形でシャッポを被ったような赤い郵便ポスト。 どこの街角にもあったものですが、いつの間にか見なくなりましたね。 今日も、この絵を見て頂ければ他に語る事はありません。 絵が全てです。 皆さん、どうぞ熱

「神社に棲む狐」妖の夏

「僕の昭和スケッチ」245枚目 噂 K神社は岐阜市の中心部にある。 中には大きな社殿があり、その社殿の脇に昔ひっそりと小さな社があった。 僕らが昼間は陣地取りやドッジボールをした狭い場所だ。 その社には奇妙な噂があった。 それは、社の床下にキツネが棲んでおり、夜の帳が下りると床下から抜け出し、界隈を歩き廻り悪さをするというものだった。 「味噌汁に入れる油揚げが頻繁になくなるのは、あのオキツネ様のせいだ」と言い廻る町内の老婆もいた。 無論たわいも無い創り話だと大人

「スイカの思い出」昭和の夏

「僕の昭和スケッチ」画244枚目 母親の在所である黒野*の思い出を描いたのが上の絵。 夏を謳歌するような青空の下に、収穫されたスイカが並んでいた。 堂々たるものだった。 今日は、絵を見て頂ければそれで僕としては十分。 付け加えることは何もない。

「七夕祭り」

「僕の昭和スケッチ」画243枚目 童謡「たなばたさま」が好きです。 「ささの葉さらさら のきばにゆれる」 子供の頃は家並みが低くて、夜空にいっぱいの星がありました。 近くの小さな神社で毎年七夕祭りがあり、願い事を描いた五色の短冊を笹竹の枝に吊るして境内に向かったものです。 笹の匂い、星の輝き、夜の空気・・・ 笹舟を作って流したりもしましたね。 なんて、ゆかしい一日だったことでしょう。 *童謡たなばたさま  1941年 作詞/権藤はなよ 補作詩/林柳波 作曲/下総皖

「アメンボ」姿を消した昭和の忍者昆虫

「僕の昭和スケッチ」画242枚目 梅雨ですね〜。 子供の頃、この時期になると特によく見かけたのがアメンボ! 雨上がりにあちこちに水溜りができていて、そこに必ずいた水生昆虫。 池や田んぼでもよく見かけたものです。 まるで忍者のように水の上をスイスイと動き回っていましたね。 しかし、最近ではあまり見かけなくなりました。 調べてみると、カメムシ目だそうです。 「えっつ、君ってカメムシだったの?」 って感じ(笑) 水に浮く仕組み 脚の先端部から分泌される油+水の表面張力

物置から出て来た古いアイロン

「僕の昭和スケッチ」画241枚目 僕の実家では台所から裏庭に出たところに物置があって、中には雑多な古道具が打ち捨てられたように置かれていた。 ある時、そこから古いアイロンが出て来た。 見ると、所々に錆が入っておりコードの接続部にもガタがきていてアイロンとしてはもはや使えない代物だった。 それを見つけた経緯は忘れてしまったが、今思えば電気式だったので戦後の復興初期のものかと思う。 ちなみに、こんなふうに人間に打ち捨てられた古い道具(もの)には積年のうちに人への怨みが宿

昭和のレトロマッチ箱を描く③

「僕の昭和スケッチ」画240枚目 僕は昭和の時代のマッチ箱を描くのが好きだ。 デザインが可愛く、レトロ感もあり、描いていて楽しいのだ。 今回でシリーズ第三弾になる。 上の黄色い正四角柱のマッチなども懐かしい。 その左側のマッチもお寿司屋さんの定番デザインで全国に似たようなマッチ箱が幾つもあったように思う。 昭和のサブカルチャーだったマッチ君たち。 コレクションしている人もいらっしゃる。 わかる気がする。 懐かしいサブカルチャーだ。 第4弾をどうぞお楽しみに!(笑)

「母の裁縫箱は魔法の箱」

「僕の昭和スケッチ」画239枚目 僕は母親の裁縫箱を見るのが好きだった。 古びた木製の箱で色んなものが入っていた。 こんな所にと思う所に小さな引き出しが付いていたり、指先で引っ掛けて開ける秘密の蓋があったり、背面には定規を収める工夫がされていたり、、、 その中にありとあらゆる裁縫道具が詰まっていた。 それは、まるで魔法のカラクリ箱のようだった。 その裁縫箱の側で母親が針仕事をするのを見ているのが好きだった。 「ゆうくん、針が刺さると体の中にどんどん入ってしまうから針に

「小鳥屋さん」昭和の街角

「僕の昭和スケッチ」画238枚目 上の絵は小学校の通学路に昔あった小鳥屋さんの記憶を描いたもの。 子供でも小遣いを数日貯めれば買えるような値段で売られている小鳥達もあり、命の安さに子どもながら驚いた記憶がある。 昭和40年代が最盛期だった小鳥ブーム。 柳ヶ瀬近くの街角にあったこの小鳥屋さんも今はもう無い。 今日はこの絵を見て頂ければ、僕はもうそれで充分。