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【取材記事】神保町に出店された「LAULE'A(ラウレア)」を通し、地域社会と繋がる事を大事にする企業。「幸せ」「幸福」「平和」を意味する店名に秘められた企業ストーリー

ハワイ語で「神に守られた」を意味する企業、株式会社マルラニ。エシカル消費とフェアトレード認証商品に出会うきっかけや、初めてのショッププロジェクトに込めた思い、これからの展望について代表の高橋さん、広報の木村さんにmySDGの小林がお話をお伺いしました。 

お話を伺った方

高橋真希様
株式会社マルラニ   代表取締役

東京都千代田区でエシカルショップ・飲食店・不動産など多岐にわたって展開する。
高校卒業後、大手証券会社に入社。事務職として勤務しながら4年間の起業準備を経て独立。
2016年にハワイアンカフェ「cafe&dining jimbocho」をオープン
2017年:人や地球に配慮したアイテムを取り扱うセレクトショップ「LAULE’A(ラウレア)」を
オープン。 2021年5月:「神保町をエシカルタウンに」とビジョンを新たに掲げ移転・
リニューアルオープン。 店舗運営にプロジェクト制を導入、
起業を志す若者に経営を実践する場を提供しながら育成にも力を入れている。


小林慎和(こばやし のりたか)
株式会社bajji 代表取締役CEO
 
ビジネス・ブレークスルー大学 教授 大阪大学大学院卒。
野村総合研究所で9年間経営コンサルタントとして従事、その間に海外進出支援を数多く経験。2011年グリー株式会社に入社。同社にて2年間、海外展開やM&Aを担当。
海外拠点の立ち上げに関わり、シンガポールへの赴任も経験。その後、シンガポールにて起業。
以来国内外で複数の企業を創業しイグジットも2回経験。株式会社bajjiを2019年に創業し現在に
至る。Google play ベストオブ2020大賞受賞。著書に『人類2.0アフターコロナの生き方』など。


■店舗出店は生産企業の「エシカル商品へのこだわり」を広めるため。​ 

「LAULE'A」 https://laulea-aw.shop/

小林:神保町に出店された「LAULE'A(ラウレア)」の出店経緯と、店舗で扱う商品についてお伺いさせてください。

高橋さん:出店経緯に関しては、私の家庭環境をお話した方がわかりやすいですね。 
私が中学の頃、両親が離婚し、姉妹3人共母が育ててくれました。経済的に私たちを支えようと努力している母の姿を見て育ち、高校生になった時には、女性であっても経済的に自立出来ることが重要だと感じていました。 
就職で企業に入社し事務職をしながら、経済的自立の為に企業の中で自分の一生出来ることを見つけようとしましたが、見つけられない日々が続いていました。 
 
​定年まで企業の中で働き続けるのかと悩んでいたころに、良い出会いがあり起業するきっかけになりました。その方のおかげで、企業に在籍しながら、しっかり起業の準備をすることができたのです。この経験で、独立する前から準備は出来ると学ぶことができました。

小林:その方とはどのように知り合ったのですか? 
 
高橋さん:紹介で知り合いました。私と年齢が近かったのですが、人生経験や仕事への価値観が全く違う事に感心しました。自分もその方のように生き生きと輝きたかったのですが、その時の自分には目標も夢もなかった。輝く事に憧れがあったんです。 
 
小林:創業するまでにはどれくらいの時間がかかったのですか? 
 
高橋さん
:法人を作るまでは5年かかり、納得できる形になるまで10年必要でした。 私は元々敏感肌でしたので、20年位前から化粧品等をドラックストアで購入するときは、裏の成分表示を良く見て買うようにしていました。その頃の日本では配合されている成分をすべて表記する法律がなく、あまり重要視されていませんでした。 
 
時代が進むにつれ、徐々に「地球にも人の身体にも優しい製品」が認知されるようになってきましたよね。そうした中、営業活動でメーカーや生産者さんとお話する際、今で言う「エシカル消費」にこだわる声をお聞きする機会が増え、こうした声を消費者の方にもっと知って頂きたいと感じました。 
 
オーガニックやエシカルな商品にこだわる企業は、基本的に広告費をかけられません。商品の生産過程に経費をかけているのでそれ以外の所には経費をかけられないし、そもそも大量生産していません。 
そういった企業様の努力を私は応援したい、という気持ちが沸いたんです。 
 
今回の店舗LAULE'A(ラウレア)がオープンするまでの5年間程は、実店舗は持たず、営業活動をして直接企業様の商品を消費者の方に繋げる仕事をしていました。 その後、このビジネスモデルに自信がついたので、商品がわかりやすく見せられる「店舗」の形をとることにしました。 
 
小林:この5年間程で取り扱っていたプロダクトが、LAULE'A(ラウレア)に並んでいるんですか? 
 
高橋さん:そうですね。オーガニックやエシカルな「地球にも人の身体にも優しい商品」が並んでいます。 

■明治フェアトレードクラブ(MFTC)との出会い 

小林:フェアトレードへのこだわりを教えてください。 
 
高橋さん:フェアトレードに関しては、明治大学の学生さんからのオファーを頂いたのがきっかけです。 明治大学の「Meiji Fair Trade Club(MFTC)」の方です。 フェアトレード専門ブランド、ピープルツリーのチョコレートのパッケージを地域の方々から公募で募集し自分たちで選んだオリジナルのチョコレートを「まちチョコ」として広める活動をしにきたんです。 

高橋さん:若い学生さんがフェアトレードの普及活動をすることはとても意義があると感じたので、是非応援したいと思い、LAULE'A(ラウレア)で販売することにしました。 
 
私はフェアトレードの知識は深く持ち合わせていなかったのですが、MFTCさんとコラボレートで勉強会を開催した際に、コットンやバナナ、紅茶など、色々な商品がフェアトレードで扱われていることを知り、知識も深まりました。 
私も積極的に購入していこうと思いましたし、「買い物は投票」とも言いますので、フェアトレード認証商品を消費者の方にも選んで欲しいなと思います。 

参考:FAIRTRADE JAPAN
https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/
LAULE'A×MFTC 勉強会

小林:フェアトレードについてお客様の反応はどうですか? 
 
高橋さん:お店に来て頂いたお客様と話をしても、ご存知ない方が多いです。 SDGs関連のことに関心のある方は知っていらっしゃいますが、一般の方にはフェアトレードの認知はまだまだですね。 
 
先日、フェアトレードを広めるいい機会がありまして、MFTCさんと一緒に「オーガニックライフTOKYO」(毎年3万人位来場する)に3日間出店したんです。 来るお客様にフェアトレードを説明して、「まちチョコ」を販売しとても好評でした。 
 
小林:LAULE'A(ラウレア)で扱うフェアトレード認証商品の説明をお願いします。 
 
高橋さん:今取り扱っている商品は、コーヒーとチョコレートですね。フェアトレードを知らないお客様でも、日常の生活の中に気軽に取り入れられる商品を選びました。 
 
小林:コーヒーでいうと、どういった部分がフェアトレードに値する所なのでしょうか。 
 
高橋さん:コーヒー農園で働く方の適正賃金であったり、適正な取引価格であることはもちろんですが、私にとって一番重要な課題だと感じたのは、児童労働をなくすことですね。栽培したコーヒー豆が公正に取引されず、農家さんが安くても売れる所へ売るという現状が、子供がほぼ無償で働かされる実態につながっています。 
フェアトレード認証商品を消費者が買うことで、農家さんは適正な収入が得られますので、児童労働をなくす手助けになると思います。 
 
LAULE'A(ラウレア)ではピープルツリーのコーヒーとチョコレート、ドライフルーツを扱わせて頂いています。 しっかりとフェアトレードの取り組みをしているブランドさんなのでこちらを販売させて頂いております。 
デザインやパッケージもとても可愛いので、気軽にお手に取って頂けると思います。 

■「フェアトレード」日本と海外の認知の差

小林:今回取り上げさせて頂いたプレスリリースの中に、フェアトレード認証商品の一人あたりの購入額がありましたが、日本と海外で何故こんなに差が出るのでしょうか? 

※参考:フェアトレード認証商品の一人あたりの購入額
スウェーデン:4,753円 
日本:85円 
(出典:MFTC調査) 

mySDG

 
木村さん:私が15年程前に海外に行った時には、当たり前のようにスーパーマーケットにはフェアトレード認証商品が並んでいました。 
日本では今でもほとんど認知されていないので、認知のスピードの差があると感じています。 
フェアトレードが認知されている国では、スーパーで買い物をするときに、商品の価格だけを見て買うのではなく、その商品の生産過程までも見て選んでいるので、フェアトレードマークの付いた商品を価格が高くても購入する傾向があると聞きます。 
日本で最近言われている「エシカル消費」の感覚は、海外の方がずっと以前から広く普及していると感じます。 
 
小林:フェアトレードマークは日本ではスーパーで見たことがあまり無いように思います。カエルのマークでしたか・・・・? 
 
木村さん:カエルはレインフォレスト・アライアンスですね。 

​※参考:RAINFOREST ALLIANCE INC.

レインフォレスト・アライアンス認証は、農園の環境、土壌・水を含めた天然資源、
生態系や生物多様性を守り、労働者の労働条件やその家族・地域社会を含めた教育・福祉などの
厳しい基準を満たした農園に与えられます。


小林:フェアトレードマークが思い浮かばないというのが、日本の現状ということですよね。 
 
木村さん:そうですね。MFTCさんとの勉強会の時に学生さんがおっしゃっていたのですが、「私たちに今出来ることは、使うことと広めることだ」と。 先ずは認知を広めていくことが大事ですね。 
 
高橋さん:消費者の知識が問われている時代で、消費者が知識をつけていき、「地球や人に優しい商品」を選ぶことで、企業側も消費者の希望に沿った商品作りをしてくれるように思います。 

■LAULE'A(ラウレア)への愛、スタッフへの感謝、そして神保町への貢献

小林:今後の展望・目標についてお聞かせください。 
 
高橋さん:フェアトレード認証商品の認知が上がること、エシカル消費の普及などに貢献していきたいのはもちろんですが、日本で中々普及しない問題もあるように思います。 
ビオセボンというオーガニックスーパーがあります。このスーパーは、オーガニックフードやフェアトレード認証商品の取り扱いなども多いのですが、実店舗は、ある程度所得の高い方のいるエリアにしか無いように見受けられます。 
 
小林:やはり商品が高いからという理由からでしょうか。 
 
高橋さん:そうだと思います。 
今後の展望なのですが、SDGsに配慮した商品の方がいいと気付いても安い方を選ぶ理由は、日本人の所得が低くなっていっているという根本的な原因があると思います。 日本経済が低迷している現代で所得の低い方が増えているという状況は本当に良い商品を選ぶことができない原因になっていると感じます。 
LAULE'A(ラウレア)にいるスタッフには、将来起業する夢目標を持っている方もいます。 志と意欲があるので、私の手の行き届かない部分のフォローなどを自主的に気付いてどんどん進めてくれます。信頼を寄せていますし、とても感謝しています。 
今回のLAULE'A(ラウレア)のリニューアルオープンの時も、体調を崩してしまい1ヶ月位動けなくなってしまったのですが、メンバーが次々と意思決定をし進めてくれたおかげで無事に予定日にお店はオープンすることが出来ました。 将来起業したい方々はアイディアがあり、仕事もできる。ただ資金面で準備が整っていないだけなんです。 
 
資金に関するところは私が責任を持ちますが、起業をする前の実践的な場として、個人のスキルアップの場として、経験値をつけてもらうために店舗運営を一緒に行っています。店舗での数字も共有しますので、経営の厳しい部分にも触れることになりますが、日々お互いに積み上げてきた信頼があり、オーナーである私も起業を目指している方と組むと、とてもありがたいのです。 
 
小林:現在はとても心強い仲間がいらっしゃるんですね。 
 
高橋さん:そうなんですよ! 
スタッフ皆が「私たちのお店」と思ってくれています。 
皆、私と同じようにLAULE'A(ラウレア)を愛してくれているし、もっとこのお店の価値観を広めビジョンを実現したいと思ってくれています。 
この一体感がお店自体の特徴であり、強みであると感じています。 
 
小林:お店でイベントなどは企画があるのですか? 
 
高橋さん:はい。MFTCさんと一緒に行う企画を進めているところです。

🔽公式Instagram
https://www.instagram.com/jimbocho_cafe_staff/

高橋さん:それから、LAULE'A(ラウレア)の近くにもう一つ、cafe&diningjimbocho も経営しておりまして、そちらも活かして何か企画が出来ないかと思案中でした。 
最近近所に東北野菜のアンテナショップがオープンし、そのオーナー様と企画を色々と考えています。規格外野菜をカフェのメニューに使ったり、キッチンカーの出店などもしていく予定です。 
エシカル思考やサステナブルな行動を地域の方々と共に行う事で、神保町の街に貢献をしていきたいと考えています。 


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mySDGへの取材依頼・お問い合わせは mysdg.media@bajji.life までお気軽にご連絡ください。


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