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【取材記事】廃棄されていたコーヒー豆をアップサイクル、食品廃棄や環境問題を新しい目線で発信

これまで廃棄されていたものに付加価値をつけて、新しいものを作るというアップサイクルが注目されています。最近では、私たちになじみの深いものがアップサイクルとして商品化されていることを耳にする方もいるのではないでしょうか。今回はステータシー株式会社の小園かおりさんに、 破棄されるコーヒー豆を活用した製品づくりにまつわること、商品に込めた思いについてお話を伺いました。

【お話を伺った方】

ステータシー株式会社 広報担当 小園かおり(おぞの・かおり)さん
大学卒業後、不動産会社にてCS部門を経験。その後、航空関連会社を経て医院にて広報部門立ち上げに参画する。直近では米・アトランタでの暮らしを5年間経験し、サステナブルや美容について学ぶ。現在は、コーヒーレザーを開発したステータシー株式会社の広報担当として、幅広い世代に向けた情報発信を行っている。


■日常生活の「もったいない」という気づきがコーヒーレザーの始まりだった

mySDG編集部:ヴィーガンレザーの素材として、サボテンやリンゴの皮、米などありますが、どうして廃棄するコーヒー豆でヴィーガンレザーを開発したのでしょうか? その経緯を教えてください。

小園さん:弊社代表の田中がコーヒー好きということもあり、コーヒーメーカーさんと意見交換をする中で、廃棄ロスやコーヒー残渣の問題を知ったことがきっかけです。コーヒーは、日本人にとって非常になじみがある飲み物ですが、飲んだ後の残渣が実は有害な物質を出すという事が社会問題になっており、処理方法の一つとして、コーヒー残渣のアップサイクルが注目されています。

一方で、コーヒー豆自体も消費期限切れや焙煎不良などで廃棄されているという事実を知り、非常にもったいないと感じました。元々ステータシーは革製品の開発をしていたため、コーヒーで合成皮革が作れないかと考えたことがコーヒーレザーを作り出すきっかけとなりました。

mySDG編集部:コーヒー豆を「最大30%含んだ」と書いてありますが、他の70%の素材はなんですか。

小園さん:コーヒーレザーは2種類の開発をしています。1つはPU、もう1つはPVCを使用しています。

mySDG編集部:開発までの工数はどのくらいですか?

小園さん:開発を始めて1年で素材を完成させました。より耐久性に優れ、本物のレザーに近い素材を目指し、現在も更なる改良を進めています。

mySDG編集部:コーヒー豆は、どうやって集めているのですか?

小園さん:大手のコーヒーメーカーさんにご協力いただいています。焙煎不良や消費期限切れで廃棄される予定だったものを再利用できるため、喜んでいただいています。このコーヒー豆は抽出前のものですが、コーヒー残渣で作るコーヒーレザーに関しても開発を進めています。

mySDG編集部:御社は、小売業からスタートし、どのようないきさつでコーヒー豆のレザーに着目したのでしょうか?

小園さん:代表の田中はサラリーマン時代から、革製品を作るのが趣味でした。奥様にプレゼントした際、とても喜んでもらえたことをきっかけに、「もしかしたら、これは他の方にも喜んでもらえるんじゃないか」と考えるようになりました。現在も試行錯誤を繰り返しながら、使う方に喜んでいただける日本製の本革財布の開発及び販売を行なっています。

一方、世界では動物性の革を使わないヴィーガンレザー合成皮革)にも注目が集まっています。本革とヴィーガンレザー、どちらがいいか悪いではありませんが、選択肢として色々なものがあるということを提示したかったのです。ヴィーガンレザーを使った商品を出すことで、食品廃棄や環境汚染の問題が絡んでいることを、身近な観点で世の中に伝えていけたらと思っています。コーヒーレザーがSDGsを考える一つのきっかけになるように、世の中に問題提議し、かつ楽しんでいただけたらうれしいです。

■環境に優しいだけでなく、消臭や抗菌というメリットを訴求する

mySDG編集部:コーヒーレザーに着手した時期は、いつですか?

小園さん:2021年です。知り合いに、コーヒー残渣を集めて紙にアップサイクルしている大学生がいまして、彼と雑談する中で「本業を生かしたマテリアルを作ることはできないか」と考え始めました。

mySDG編集部:コーヒーレザーをリリースし、取引先の方や地元の方などの反応で印象に残ったことはありますか?

小園さん:印象に残ったところは、まず皆さんすごく面白がってくださっている点です。 今、色々なヴィーガンレザーがありますが、アップサイクルの商品は通常より高価格になることが多く、たとえ環境に優しいとはいえ、それだけでは多くの方に手に取っていただくことは難しいのが現状です。その点、コーヒーレザーは、専門の研究機関で実施された消臭と抗菌テストで基準値を大きく上回る結果が出ています。これにより、コーヒーレザーで作られたさまざまな製品にも消臭と抗菌の効果が期待でき、この点は非常に魅力を感じていただいております。

コーヒーレザーは、アパレル小物として使われることを想定し開発しましたが、例えば、スリッパやインテリア、子供用品など、あらゆるシーンで実用性が期待できると考えています。

■コーヒーレザーが環境問題や食品ロスなどのSDGsを考えるきっかけになってほしい

mySDG編集部:今後、ヴィーガンレザーの分野で目指しているものや、チャレンジしてみたいことは何ですか?

小園さん:先ほどもお伝えしたように、コーヒーレザーの開発者として弊社が目指していることは、ヴィーガンレザーと本革のどちらが良い、悪いを議論するのではなく、コーヒーレザーを知ることで、環境問題や食品ロスについて考えるきっかけとなればいいなと考えています。また、手に取ってくださる方がコーヒーの香りに癒されたり、素材自体を楽しんでくださると、とてもうれしいです。今回はコーヒーに着目しましたが、世の中には廃棄されている食材がたくさんあるので、今後は他の食材でも挑戦したいです。将来的には、サステナビリティを考えて、循環できる素材の開発を進めていきます。


■ホームページhttps://statusy.jp/
■Instagramhttps://www.instagram.com/statusy_japanmade/


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