研究)「潜在看護師の復職支援」ー3.新卒看護師の問題と対策 3-2.国による対策

3.新卒看護師の問題と対策
3-2.国による対策

 国は、「4年制大学中心の教育体系への転換を推進する」という考えを、
2009年「保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(17)の中に盛り込んでいる。

 その中で、注目すべきは3つの点である。
第一に、看護師の国家試験の受験資格の1番目に「大学」を明記したということ。
第二に、保健師・助産師の教育年限を6ヶ月以上から「1年以上」にのばしたこと。
第三に、卒後臨床研修の「努力義務化」を厚生労働省の新人看護職員研修ガイドライン(18)に盛り込んだことである。

 教育年限が60年もの間変わっていなかったが、必要とされる知識量等を
踏まえ、4年間かけて学ぶ「4年制大学」を推進する動きが出てきたこと、
保健師・助産師の教育年限の延長は、大きな一歩であると言える。

 卒後臨床研修制度とは、新卒看護師が初めて働く病院において、
研修を受ける制度のことを指し、「基礎教育で学んだことを土台に、
臨床実践能力を高めること」を目的としている。

 厚生労働省は、「新人看護職員研修事業」として、
この研修を行っている宝塚第一病院(兵庫県,211床)など15の病院の取り組みを紹介している。

 また、新人看護職員の卒後臨床研修が努力義務化されたことを受けて、
厚生労働省は「新人看護職員研修ガイドライン」を作成している。
このガイドラインには、新人看護職員の、「具体的な到達目標が明記」
されており、どこまで出来るようにしなければならないのかが一目瞭然になっている。
また、研修期間が終了したら、評価を行うように呼びかけており、
評価が可能な形になっている。

 このように、国では教育の期間を伸ばす方向へ力を入れるとともに、
教育からいきなり医療現場で独り立ちをさせるのではなく、研修期間を設けさせ、
その中で何ができなければならないのかを明確化した。
これにより、新卒看護師としては、自分に足りていない部分が明確化され、
何を努力すれば良いかが分かり、期待の姿へ近づく努力がしやすくなったと言える。
医療機関の教育等を行う看護師としても、一定の評価項目が明らかになっていることによって、
教育がしやすくなったと言える。

 また、この努力義務化した「新人看護職員研修」を、より多くの病院で導入してもらうために、
厚生労働省は新人看護職員研修事業に補助金を出したり、
新人看護職員研修のPR用ポスターを、日本看護協会のホームページにて、
フリーダウンロードできるようにしたりしている。

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