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創作#9 狂う自由も私の自由【ショートショート】

意思はリアルか?それともフィクションか?【ショートショート】

日本中の桜が突如、年中咲くようになった。

春だけでなく、激しい日差しが刺す夏、落葉樹が赤く染まる秋、雪が積もり銀世界になる冬にも、桜は常に狂い咲く季節を手に入れた。。

天才科学者ルナはこの謎を解明し、桜に年中咲く遺伝子があることを発見。その遺伝子は何者かによって発現しないように施されていたが、そのリミッターがなぜか突如解除されたのだった。

ルナはその原因を探るが、それは桜が自分の意志でリミッターを破り、自分が咲きたいときに好きなだけ咲くようなったとしか思えなかった。

ルナは桜が自由に咲くことを尊重しようとするが、人々は年中咲く桜を次第に愛せなくなっていった。

そう、人々は桜そのものを愛していたのではなく、春のひと時にだけ咲くという"儚さ"を愛していたからだった。

桜に再びリミッターをかけるべきか、ルナは悩む。
桜の意思を尊重すべきか、それとも桜が今までのように人々から愛されるようにすべきか。

あの日からもう見えなくなった愛でるべき花たち、
だからもう一度だけ夢を見せて、何にも束縛されることなく自由に。

狂う自由も私の自由。

『よし。・・・・・決めた』
その葛藤がメリーゴーランドのように巡り廻る中、ルナが下した決断とは?

意思というフィクションをつくりだす能力

先週500本のソメイヨシノがある公園に桜を見に行ったら、まだ2〜3割といったところで、少しがっくりしました。せっかく来たのにと。

それと同時に、そう思うのって人間のエゴだな。桜の好きにさせてあげればいいのにと思い、そこをトリガーにショートショートをつくったのが今回のnoteです。

桜に意思があるというフィクションを創ることで、なにやら難しいことや、めんどくさいことを考えくてすむようになる。どうやらそんな効果があるらしい。

例えばもし地球に意思があったら、この温暖化をどう思うのか?とか。

ちなみに日本にあるソメイヨシノはほとんどが同じDNAを持つクローン同じソメイヨシノ同士では子孫が残せない。だから人間の手で接ぎ木や挿し木で増やしていくしか種が保存できない。

桜に意思があったらどう思うのか?

フィクションを創り出し、それを信じる能力。
狂う自由も私の自由。
その力がオーバードーズしていきますね♪

それでは生き溺れても、また春に会いましょう♪

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AIを使えばクリエイターになれる。 AIを使って、クリエイティブができる、小説が書ける時代の文芸誌をつくっていきたい。noteで小説を書いたり、読んだりしながら、つくり手によるつくり手のための文芸誌「ヴォト(VUOTO)」の創刊を目指しています。