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創作#11 モネと過ごした黄昏の時間【ショートショート】

フルタ・エクボは卒業を間近に控えた大学4年生。
自分の将来に対して不安と迷いがあった。

ある日、千葉市の海浜公園があるちばみなとを散歩していると、そこからはJFEスチールの東日本製鉄所がよく見えた。エクボは悩み事があるとよくここに来て、頭の中を整理した。

製鉄所には、原材料を保管するヤード、製造された鉄の加工に使う設備があり、なによりも鉄鉱石とコークスを精錬をする高炉が大きくて目立っている。やはり高炉こそが製鉄所の主役だ。

あきらかに工業的な人工物であるのにも関わらず、この製鉄所は広くて大きな千葉の空と自然に溶け込んでいた。もうちばみなとには欠かせない風景となっている。

エクボはそんな風景を描いている老人に出会うことになる。
その老人はなんと、「睡蓮」で有名な画家クロード・モネだった。

モネはのちに「黄昏、ちばみなと」と呼ばれる名作を描いていたのだが、エクボが「それって、黄昏ヴェネチアでしょ!」とつっこむと、モネは何も言わず黙って絵を描き続けた。

そう言われると、エクボもまた、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の高い煙突が製鉄所の高炉に見えなくもなかった。

その高炉は、昨年秋から改修工事が終わり、最近火が入ったばかりのもので、工事費用は約430億円、工期は2022年9月から2023年1月、炉容積は5,153m3であった。

モネはエクボにデジタルカメラを手渡し、

「私は盲目で生まれたかった。そしてある日突然目が見えるようになりたかった。」

そして「君だったらどうするね?」とモネはエクボに問いかけた。

モネのその言葉から大きなヒントを得た。エクボは、モネからもらったカメラで製鉄所を撮影し始め、工業的な環境の中に美しさを見出した。そして自分の将来に決断をした。 エクボは内定をもらっていたJFEスチールに入社することを決めた。

その入社から1年が経ち彼女はJFEのロゴが入った青色の作業着を着て、もう一度モネに会いに行くことを決意した。 しかし、彼女が向かった先には、モネの姿はなく、ただ製鉄所があるだけだった。

その背の高い高炉からは、鉄鉱石とコークスを燃焼している煙がモクモクと上がっているだけだった。

もうモネには会えなない、それでももう悲しくはなかった。 モネと過ごしたこと、自分と向き合うことで、大切なことに気付いていたから。

そうフルタ・エクボのイニシャルは”FE”。鉄の元素記号と同じだった。

人生をラクにする創作

この物語は、あらかじめ決められた道や運命はない、というテーマを強調しています。その代わりに個人が自分の意志によって決断したことが運命になっていくことも表している。

そしてさらにこの小説は私たちが意志と読んでいるものは、私たちが決断したこと、選択したことによって引き起こされた結果としての事実を合理化、正当化するため、あとから創作したもの。

つまりフィクションではないか?ということも考えさせられる。

エクボは、不確かな未来を歩む中で、モネとの出会いや工業地帯の美しい風景に触発され、自分の道を切り開くことを決意します。この物語は、彼女が自分の選択を受け入れ、自分の運命を切り開くことを学びながら、苦悩と勝利に満ちた旅路を描いています。

決断したから前に進んだのではなく、前に進んだという事実があるから決断をしたことなる。ただそれだけのこと。

そういうこともあるかもしれない。そう思うとココロが軽くなる、人生がラクになる。そんな創作をしていきたいです。

創作のトリガーとなったもの

今回のこの創作のトリガーとなったものはまずはこのYou Tube。

ロバートの秋山さんがJFEスチールの新米広報古田恵久穂となって、製鉄所での奮闘ぶりを描いたもの。

こちらと、先日アーティゾン美術館でモネの「黄昏、ヴェネツィア」を見た時に、これがJFEの製鉄所だったら面白いなと思ったのがきっかけ。

後は、勝手に膨らんでいくアイデアをChat GPTにぶち込んでみたらこのショートショートが出来上がりました。

これで少しはラクにあったら嬉しいです。
それでは次のフィクションでお会いしましょう♪

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AIを使えばクリエイターになれる。 AIを使って、クリエイティブができる、小説が書ける時代の文芸誌をつくっていきたい。noteで小説を書いたり、読んだりしながら、つくり手によるつくり手のための文芸誌「ヴォト(VUOTO)」の創刊を目指しています。