自意識ばかり

『若きウェルテルの悩み』を読みました。

あらすじを読んだ段階では「これは高校生の時などの多感な時期に読んでその多感さを遺憾なく発揮し、翌日からの友達との振舞いにどこか陰を感じさせることで”自分は以前とは違う”という事を暗に示したくなるようなタイプの本な気がするので今の自分には合わないかもな」と思っていたのですが、現在進行形多感な27歳の自分もたっぷり食らってしまい、神聖かまってちゃんを聴きながらこの文章を書いています。そういう人の完成形?

最近は少し読書から離れていたのですが、先日のお笑いライブの企画で本の話をしてからはまた熱を取り戻していき、ひたすら自意識について書かれている本を読みたいと思ってドストエフスキーをまた集め始めるかと本屋に行ったものの、持っている本しか置いていなかったので町田康の『告白』を購入して帰りました。『告白』はずっと読みたかったけど、文庫にしては値段が高かったので中古本をずっと探していたけど、どこに行っても850円とかで、「だったら新刊で買うわ!」とずっと思っていたので新刊で買いました。この後読み始めるので楽しみです。

ライブ中にも言われたけどずっと「自意識」について考えていて、そもそも自意識ってなんだ?と思って調べても「自分自身についての意識」とかそのまんまの言葉しか出てこなかったけど、要は”意識が内面に向けられている”事な気がします。勝手にそう定義したけど、そうだとしたらずっと僕は”自意識過剰”だと思います。

自分の内面をべらべらと綴るこのnoteもそうだし、小説もグダグダと自分自身について考えているようなものばかり好んで読んでいます。人と会う時は”気持ち”の話かチェンソーマンの話でしか盛り上がれません。

自意識過剰なことに関しては、人間だれしもが通る道で別におかしなことだとは思っていなかったのですが、「あれ?27歳になってもずっと自意識ばかり考えてるって変なのか?」と最近思うようになってきました。

冒頭の”『若きウェルテルの悩み』を読んで食らう”って、タイトル通り若者の特権と言うか、もうその時代は後進に譲った方が良くない?という年相応の一面を覗かせつつも「いやいやまだまだ現役で自意識について考えるぞ!」という老害な一面も持ち合わせているかなり厄介な状態になっています。

もっと興味の範囲を外の世界に向けた方が良いというか、普通に社会情勢とか日本リーグとかの話もできた方が良い気がするし、SFとかもっと読んだ方が良い気はするのに、『檸檬』を繰り返し繰り返し読んで、初めて読んだ高校3年生の頃と全く同じ感情になっています。いつになったら大人になれるの?もう大人になっているの?大切な人を守るために経済的に独り立ちした方がいいの?

何もかも分からないけど、まだ自意識について考えて同時に苦しめられて全然楽しくないという事は分かります。分かち合えた時だけは楽しいです。だからそういう本や映画を探しているんだと思います。



以下、『若きウェルテルの悩み』で印象に残った部分


ねえ、君、ぼくという人間は、心がどうにもおさえられなくなると、のんきにたのしく自分の狭い生活圏の中で不平もいわずその日その日をどうにかしのいでいって、落ちる木の葉を見ては冬のきたこと以外にはなんにも思わないような、そういった人間をながめるのが何よりの薬なんだ。


正直な話、ぼくはよく日雇い労働者になりたいと思う。そうすればせめて朝眼をさませばその日一日を過す目当てがあり、一つの欲求、一つの希望が持てるからね。


まったくちょっとでもいいからぼくが気軽な人間だったら、ぼくはこの世の中で一番果報者なんだがね。なんということだろう、少々ばかりの力と才能とを持った連中が、得意然とぼくの面前でおしゃべりをしているのに、ぼくは自分の力と自分の才能に絶望しているんだから、神様、あなたは私にいっさいを与えてくださったが、なぜあなたはその半分を差し控えておいて、その代わりに自信と自足を下さらなかったのでしょう。


このぼくの心こそは、ぼくの唯一の誇りなのであって、これこそいっさいの根源、すべての力、すべての幸福、それからすべての悲惨の根源なんだ。ぼくの知っていることなんか、誰にだって知ることのできるものなんだ。ーぼくの心、こいつはぼくだけが持っているものなのだ。


天上の神様よ、人間は物心のつかぬ以前か、分別を再び失ってしまった以後かでなければ幸福にしていられない。あなたはこれを人間の運命ときめたのですか。


世の中はどこも同じです。辛苦と労働があって初めて報酬とよろこびがあります。けれどぼくにはそういうものがどうでもよくなったのです。ぼくが仕合せにしていられる場所はただあなたがいらっしゃるところだけです。そうしてあなたが見ていらっしゃる前でぼくは苦しみもし楽しみもしたいのです。



ずっとこんなことばかり考えてるのかもしれない








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