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サツマイモマンション

ここはひなびた観光地。都心からのアクセスも悪くはなかったし、他に目立った産業の無い地元の人々にとっては観光業から得られる収入は貴重だった。そのため、地元民は心から観光客を歓迎したし、様々なサービスでもてなしもした。その努力の甲斐あってか、一昔前はそれなりに潤っていたのだ。

しかし、バブルの頃に建設された高層マンションが事態を一変させた。マンションの一部住民が観光客と頻繁に揉めごとを起こして、観光客から敬遠されるようになってしまったのだ。

それでもなんとか食いつないでいた地元の人々に追い打ちをかけたのが、バブルの崩壊による高層マンションの廃墟化である。気味が悪いとますます観光客が寄りつかなくなった。

このままではいけないと立ち上がったのが、地元の若者有志。廃マンションをリノベーションして、各部屋をサツマイモ畑にしたのだ。もともとエアコンと水道が完備されていたので、これらを使えば一年中サツマイモを収穫することができた。芋掘り体験ツアーの企画やサツマイモを使った各種スイーツやお土産の開発などを行い、マンションで収穫されたサツマイモを軸に町おこしを図った。
また、地元民にもこれらのサツマイモ製品は大人気だった。

ところがである。サツマイモを食べ過ぎた地元住民のおならのせいで町全体が臭くなってしまい、結局観光客は戻ってこなかったのだ。

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