瞼を閉じて 【小説 #07】
※最後まで読んでいただけます。実質290字ほどです。
ユーチューブで歌っている人が、急に目を合わせてきた。
一瞬だった。
でも、ちょっと動揺した。
「カメラに目線を送っただけのことよ」
その通りだと思った。(どこからか、声がしただろうか?)
一人きりの部屋だった。
愛の歌だった。懐かしい感情を思い出させてくれた。たった数分間のことだけれど、とても幸せな時間だった。
でも、あの写真を思い出してしまった。
今も、きっとそこに笑んでいる。
あの人の、あまり上手ではないカメラを見つめている。
あの日の太陽。
あの光。
あの日の、やわらかな風。
あなたとともに、つつまれた。
幸せだった二人。
幸せな自分。
幸せ。
そのことを。
「私のこと、覚えてる?」
そっと、たずねる声を聞いた。
-終-
今回も読んでくださったことに感謝いたします。
< https://note.mu/hashtag/名案の小説01から05まで
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あとがき(あるいは恒例反省会・・・)
いつも同じことを書いていますが、読者の方によって、どのような解釈をしていただいても結構だと思います。
正直、作者も確信的なものを書けた実感などありません。
この小品、UPまでの数日で設定を見直しました。書き換えた箇所の元原稿は以下の通りとなります。
「カメラに目線を送っただけのことさ」(上から4行目)
でも、あの人の写真を思い出してしまった。
今も、きっとそこで笑んでいるだろう。私の、少しも上手
ではないカメラを見つめている。そう思った。
「私のこと、覚えてる?」
そっと、たずねる声を聞いた。(最終数行)
最終部分の書き換えで、必然的に?「ユーチューブで歌っている人」は女性であるように変更すべきだろうと思いました。
元バージョンの方が良かったかもしれません・・・。
ではまた。
今回も読んでくださったことに感謝いたします。
次は、なるべく早く来れるようにしたい・・・のですが。
小説の目次はこちらです
https://note.mu/myoan/n/ncd375627c168
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