【DTM】クラウドソーシングは果たして稼げるのか
アノニマスDTM編集部でございます。
「DTMで稼ぎたい」人へ向けて、筆者の経験談を踏まえつつ、DTMが金になると噂のクラウドソーシングについてお話をします。
クリエイターやデザイナーの求人要項では、業務委託という言葉がよく出てきます。これは会社と雇用契約を結ばない働き方です。
クラウドソーシングも業務委託になるので、企業と継続的に取引を交わしても報酬以外の恩恵はありません。
下記、主なクラウドソーシングのアプリです。
クラウドワークスは法人による募集が多い印象です。作曲の案件は少ないので、受注は応募のタイミングが勝負と言えます。実績がなくても、ポートフォリオが気に入られれば案件獲得のチャンスは十分見込めます。
2023年12月時点で累計ユーザー数は600万人、累計クライアント企業数95万社を超えています。クラウドソーシングの中でも古参のため、母数は多いですが、後に紹介するココナラなど、勢いのあるクラウドソーシングも増えているため、実際の利用者数は不透明です。
ココナラはCMで見たことがある人もいるでしょう。クラウドソーシングの中でも認知度は高いです。音楽制作の案件募集は個人の割合が多い印象です。
2023年8月時点で会員数は400万人を超えています。前述のクラウドワークスよりも、ハードルの高さを感じさせないページデザインが特徴的です。
音楽関連の仕事はどんなクライアントが募集しているか
音楽と言っても、作曲に限らず選曲、整音、ミックスなどの募集もあります。筆者の経験上、クラウドワークスに限って言えば、ゲーム制作会社、芸能事務所の割合が多く、一般企業や個人の割合は少ないと感じます。逆にコンペは一般企業が募集していることが多いです。
法人がクラウドソーシングを利用するメリットは、低単価で外注出来ることです。また、外注先が個人であれば面倒な手続きもなく、スムーズに取引が進められます。
その反面、リスクヘッジが伴うため、法人によるクラウドソーシングの利用は、1案件で複数の発注先を設けることが多いです。誰かが納期に間に合わない、作品の質が思ったより低い、最悪バックれられた等の事態を防ぐためと考えられます。
報酬の相場
クラウドソーシングによって異なるとは思いますが、筆者の経験上、クラウドワークスの場合は音楽制作案件の報酬相場は低いと感じています。
一回受注を捌いて以降、もうやらないと挫ける人も多いでしょう。数少ない高額報酬案件の受注を獲得するには、相応のスキルと実績が必要になってきます。
クラウドソーシングは基本的にクライアントが契約金額を事前に提示してきますが、クリエイターに見積もりを依頼するケースもあります。割合は半々と言ったところでしょう。
低単価でも、契約成立後、クライアントによっては容赦なく色んな注文を付けてきますので、ある程度受注数をこなしたら、リテイク、歌入れ、ミックス、マスタリングなどは別料金の設定、もしくは不可にするなど、覚書に起こしたり、契約前に伝えるのがベストです。
オリジナルトラックの制作に関しては、著作権の譲渡を希望するクライアントが多いです。そのため、出来るだけプライドは捨てて臨むことを推奨します。
取引の流れ
参考までに筆者が過去にクラウドワークスで取引した案件を一件ご紹介します。
クライアント属性
一般企業
仕事内容
1分程度の映像作品に挿入するBGM制作。
某アーティストの某曲のような明るいイメージを希望。
納期
2週間
報酬
10,000円(税込)
取引連絡
取引開始
↓
筆者「3つの音源サンプルを送付しました。最もイメージに近い音源を選んでください。なければリテイクします」
↓
クライアント「音源Cが最もイメージに近いです」
↓
筆者「音源Cのアレンジ、音質調整後、改めて完成品を納品します」
↓
クライアント「最初は比較的スローテンポで始まって、徐々にテンポがアップされていくようなイメージになれば良いかなと感じました」
↓
筆者「ご希望の内容に沿ってアレンジを施しました」
↓
クライアント「大満足です。素晴らしいです。こちらで検収OKです」
↓
取引完了
この時の取引は、途中でクライアントから追加の希望があり、音源Cは結局リテイクして納品しましたが、結果的に満足してもらえました。
契約成立後は、こんな感じで取引をします。
取引前、つまり契約前は納期と見積もりは正確に伝えましょう。契約金額が確定している場合は追加料金の詳細を忘れずに。
追加料金が発生した場合は契約後の確約直後、納品直後のいずれかで請求するケースが多いです。クライアントがちゃんとした企業の場合は経理の都合上、選んでいただくのが好ましいでしょう。
取引先が増えれば信用度も上がる
クライアントが法人・個人に関わらず、取引完了後はアーティスト名義のクレジットと自身の取引先リストへの掲載許可を促すのが良いです。法人は特に後者が重要です。取引先リストに法人名が並べば並ぶほど信用度が上がるからです。
クラウドソーシングによっては取引件数とレビュー数は多い方が有利に働く場合もあります。検索結果で上位に出やすい、おすすめユーザーにピックアップされるなど、クライアントの目に付きやすくなります。
上記の理論に沿って言えば、報酬が低くても取引件数を重ねていくことで新規のクライアントからオファーも期待出来ます。
感情的になってはダメ
クライアントは大袈裟な言い方をすれば、お客様です。クリエイターは相手の意図を汲み取り、要望や指摘もきちんと理解した上で受け止めないといけません。納品後にクレームを入れられても、誠意を持って対応しましょう。
精一杯頑張ったつもりでも、納得してもらえなければ意味がありません。プライドが高い人は否定されると癪に触るかもしれませんが、お金をもらう以上は我慢が必要な時もあります。
クラウドソーシングで嫌味や皮肉を言ってくるようなクライアントに筆者は出会ったことはありませんが、仮に出会ったとしても、取引は論理的に、効率的に進めていくことが大切です。
文章の書き方
連絡時や応募の際はビジネスメールを意識した文章で送りましょう。
クライアント属性
一般企業
募集内容
2分程度の社歌制作
筆者はライティングのプロではありませんが、伝え方の良し悪しでざっくり2つ例文を出しました。
悪い例の問題点
●宛名と署名がない
→いきなり文面から入るのは不快に取られるかも。
●一般企業のクライアントは「サウンドコンポーザー」にピンと来ない可能性がある
→「音楽家」や「作曲家」の方が伝わりやすい。音楽業界のクライアントなら特に問題なし。
●過去に制作した作品は、クライアントの望むイメージのものだけで良い
→無闇に出来の良い作品を紹介したとしても聞かれない、最悪スルーされる可能性がある。筆者の経験上、音源サンプルはリンク貼り付けよりもファイル添付で応募した時の方が契約成立の打率が高い。
企業は個人相手にそこまで文章の体裁は求めないと思うので、よほど酷くない限りは丁寧すぎなくても良いですが、相手が一般企業なら専門用語は出来るだけ避け、送付する音源サンプルも募集内容に合ったものを送りましょう。
音楽制作の案件は母数が少ない分、募集開始後は応募が殺到します。そのため、応募用にいくつかテンプレ文を作っておいた方が良いです。
年間収入が20万円を超えたら...
クラウドソーシングで年間収入が20万円を超えたら確定申告をしなければいけません。また、会社(本業)で副業が禁止されている場合は20万円を超えないよう上手く調整する必要があります。
副業と言っても、正確には利益から経費を差し引いた金額が年間収入になります。仕事道具がDTM機材であれば、PC、オーディオインターフェース、プラグイン等々、制作に必要なものは全て経費の対象です。
そのため、12ヶ月間で30万円稼いだとしても、DTM機材が20万円であれば年間収入は10万円となり確定申告は不要となります。
クラウドソーシングが波に乗りそうであれば、数字の管理もこまめに行う必要があります。
絶対にやってはいけないこと
プロフィールに虚偽記載をする
→論外。音信不通になる
→論外。感情的な文章を書く
→喧嘩腰はダメダメ。納期ギリギリで納品
→リテイクを考慮し、納期にある程度余裕を持たせた状態で納品するのが良いです。契約金額の増額強要
→気持ちは分かりますが、ダメダメ。パッケージングされた作品、著作権管理団体に申請した作品などの既存物を流用する
→新規で作るのが一番安全です。第三者が制作した著作権譲渡されていない作品を納品
→第三者に業務委託した場合は守秘義務と著作権譲渡の同意を求めてください。既存の音源サンプルを使った場合や、他者の既存作品に似ているメロディーが含まれている場合において、YouTubeで著作権の申し立て確認をせずに納品
→YouTubeでテストアップロードして、警告が出るか出ないか確認してください。
等々、ざっくり思いついたことを書きました。特に著作権関係はこじらせると解決に時間を要しますので、ご注意ください。
よろしければ過去記事も参考にしてください。筆者が既存の音源サンプルを使用した作品を納品後、クライアントからクレームが入った時のお話も紹介しています。
最後に
DTMを仕事にしたいと考えている人は、クラウドソーシングで大きなビジネスチャンスに出会えるかもしれません。
いきなり案件獲得は難しいとは思いますが、プロフィールを全部埋める、新着募集を欠かさずチェック、ポートフォリオの制作、文章構成の見直しなど、試行錯誤して根気良く応募しまくってください。繰り返しお伝えしてますが、応募は早ければ早いほど有利です。
シビアなことも書きましたが、一番大切なのは楽しくDTM(仕事)が出来るかです。「お金をもらう=プロ」と堅く考える人もいますが、そんなことはどうでもいいです。変な使命感を持つと返ってミスが増えます。気楽に挑みましょう。
もしこの記事を読んでからクラウドソーシングで成功した人は、是非インタビューで「アノニマスDTM編集部の記事を読んで...いやー本当に感謝です」的なことを言ってね(←うぜえwww
それでは皆さん、良いDTMライフを。
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