№12【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『10センチ以上の』
ダンナが会社から新しいロゴの入った作業服を支給され試着していた。
「一番大きいサイズを下さいって言ったんだけど、思ったほど大きくなくて」
と前置きしていたあたりから、すでに嫌な予感しかしない。
「あれっ? あれっ?」
何とか袖を通したものの、上着の前のチャックが全開。
それどころか10センチ以上の間が空いている。
「いいんじゃな~い? 一応着てるってことで」
と、諦めモードのワタクシ。
ところが、その日のダンナはちょっと違った。
何を気にしているのか、何回も何回もチャックを上げようと必死にもがいている。
そのうち、上半身のあっちのお肉をグイッ、こっちのお肉をいい感じにヨイショとよせ、最後は大きく息を吸って、ついにチャックを上げきった。
一瞬、セクシーなお姉さんが寄せてあげているのかと混乱してしまったけど、そこにいたのは
「みてみて~! 着れたよ~。スゴイ?」
とドヤ顔のダンナ。
うそーん。
息できてる?
小さい作業着にデッカイ体をキレ~イに詰め込んだダンナ。
元気よく車に乗り込んで出発した。
ワタクシの心配事はただ1点。
「どうか最後までチャックがもち堪えますように。はじけ飛びませんように」
2着目からは自腹で購入してください、などと会社に言われないことを、ただただ祈るのみ。
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