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【へんいちエッセイ講座・参加作品】2分で読める子育てエッセイ№778『川の字って親子のほんわかエピソードと違うの?』

今では懐かしい、小6の娘が小1、そして小3の息子が幼稚園児だったころのお話。和室に全部で3枚の布団を敷いて寝ることにした。
「これこれ~。親子で川の字だよね~」
ワタクシが真ん中で両隣が子供たち。これはほほえましい、親子アルアルだと思っていた。

ところがすぐにそんなイメージは妄想だと思う事件が勃発。
娘の腕がパーン!
息子の足がドーン!
とどめは、まさかの頭突きがゴーン!
多いときは2~3時間に1回、娘か息子のどちらかの何かが容赦なくやってくる。
「うそ~ん。川の字って親子のほんわかエピソードと違うの?」
特に成長し重みの増した娘の攻撃に真夜中、人知れずうずくまることもあった。とにかく危なくて危なくて仕方ない。

そこでワタクシ、対策をした。
「敷布団を離してみよう。まさかこちらまで来ないよね?」
ところが夜中、子供たちの様子を見て心底驚いた。敷布団と敷布団の間にスッポリと顔がハマっている。
「ひょーっ! 息してる~?」
呼吸を確認して、慌てて敷布団に戻した。

次の日、こんどは家じゅうのクッションや枕を総動員。
それでも足らないので季節外の布団を使い、ワタクシの両側にちょっとした壁を作ってみた。
「よし、これで完璧」
ところが、初日あっさりと突破されてしまった。来る日も来る日も、どんなに壁を高くしても幅を広げても、なんてことなさそうに、いくらでも乗り越えてくる。

そんなある日、朝起きてみると子供たちが2人、右側の敷布団に寄り添うように寝ていた。
「え? ワタクシ、ありんこサイズじゃないよ?」
どう考えてもワタクシを乗り越えて向こう側に行っている。一体どんなウルトラCがあったのか、いまだに謎。

安全に眠れないうえ、睡眠不足に悩まされる。
「も~我慢できん!」
試行錯誤の末、思い切って子供たちの足元、子供たちとTの字になるように寝てみた。すると次の日の朝までぐっすり。
「どうして今まで、これに気がつかなかったんだろう」
それ以降、快適安全に寝られるようになった。


でも実家の両親と一緒に旅行したとき、ものすごく不憫な人をみるような目でこう言われた。
「なにも人の足元で寝なくても。もう1枚布団借りようか?」
い~や、何枚借りても同じだから。それがたとえビックリするようなキングサイズでも、小学校で使う長~い運動マットだったとしても、どうせ同じだからムダムダ。

今では多少寝相がよくなりパンチは飛んでこなくなったけれど、こんどはそれ以上に圧がスゴイ。 枠のあるベッドの端にドンドン追いやられ、ワタクシ、パズルの角のピースになった気分で目が覚める。
「狭っ」
結局快眠とは程遠い。
とほほ。



※※※ あとがき ※※※

この作品は、先輩noterで元編集者のへんいちさんが主宰される【エッセイ講座・中級】に参加させて頂いた作品です。テーマは「もう我慢できない!」作品は1000文字という条件付きの課題でした。
ふだん1000文字の作品を書かない(書けない)ワタクシ。毎回文字数と締め切りの戦いです(*'▽')






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