2分で読める子育てエッセイ№956『【時短で簡単料理】がまさかの全否定』
ワタクシが結婚前の長い期間、実家に寄生していた頃のお話。
「あんたも手伝いなさい! 味噌汁作って!」
と母に言われ、しぶしぶ台所へ。以前教えられた通り「いりこ」の頭とはらわたを取りのぞこうとしたら母が首を振った。
「いりこは全部ミルで挽いたからそれはしなくていいの。粉末にしたこっちを使って」
便利道具・ミルの導入によりいつの間にか、いりこの取り扱いが変わっていた。
「そんなの知ら~ん」
料理するたびいろんな物のやり方が変わっていて、いちいち説明を受けるけど、次回はきっとまた使えない古びた技。毎回モヤっとするハメに。
※
時が過ぎて主婦になったワタクシ、母と同じく料理する立場。毎日毎日、料理を作っていくうちに、料理が飽きないようにする工夫も大事だと思うようになった。今では分かる母の気持ち。
新しい調理器具を取り入れ、料理方法をちょこちょこ替える。そのうえ簡単、おいしいを目指していたのだと気づいた。
特に気に入っているものは情報番組や雑誌で知った、その昔手抜きとレッテルを貼られていたレンジ料理。
「ジャガイモも簡単に火が通るじゃーん」
時短よし、洗い物激減、電気代節約、しかも焦げる心配もほぼなし。ワタクシの調理方法に革命が起こった。
※
そんな夏休みのある日、当時小6の娘がこう言い出した。
「お母さん、自分で料理を作ってレポートを書く家庭科の宿題があるの。何を作ったらいいと思う?」
そこでワタクシ、ふだん作っているレンジを使ったポテトサラダをおススメし、作り方を説明した。
すると娘が怪訝そうな顔をしながら復唱した。
「皮を剥いたポテトをビニールに入れてレンジする。それを塩コショウとマヨネーズでモミモミするの?」
—そうそう。
「鍋は?」
—要らない。
「お湯は?」
—沸かさない。
「・・・簡単すぎて、おもしろくなーい」
ひょーっ!
簡単でいいじゃーん。だめですか~!
「なんか包丁でトントンして、鍋でグツグツできる料理がいい!」
—トントンもグツグツもしなくても料理だよ~!
不満はあったものの、仕方なく娘のリクエスト通り「ホウレンソウのゴマ和え」を煎りゴマから調理し始めた。しかもわが家にはすり鉢がないので、ビニール袋に入れたゴマをラップの芯で力の限りゴリゴリ。時間と手間と道具をた~っぷり使って1品完成させた。イメージ通りの料理をした娘は大満足、無事に課題を終了した。
「レンチンだったら5分も掛からんし、あと片付けも超楽なのに・・・」
最近流行りの『時短で簡単料理』がまさかの全否定。
その時ワタクシ、ハッと気がついた。
もしかして大昔、母はワタクシに簡単すぎると言わせないよう、ワザと難しい料理を教えていたの? 母ごめ~ん!
ふだん料理しない小学生に『時短で簡単料理』を授けるにはまだまだ早すぎた。
ちぇっ。
※※※※※※※※※※※※
今回の作品は、先輩noterで元編集者のへんいちさんが主宰されているエッセイ講座の参加作品です。テーマは「おもしろくない!」
今回はワタクシの母とワタクシと娘の三世代に渡っての料理の認識について書きました。ワタクシの母と娘、妙に好みが似ているのでなんだか不思議です。
執筆条件が1000文字でもちろん提出期限のあるこの講座。コンテストに向けの作品を書く練習にはピッタリ! 優しく、分かりやすく添削してもらえるのでご興味のある方は思い切ってどうぞ!
ワタクシ初級以外は、ほぼ参加しておりますのでご一緒にいかがですか~(^▽^)/
今回頂いたメダルがこちら↓↓