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Japan 『Quiet Life』

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🎧 Japan 『Quiet Life』

1978年デビューのブリティシュニューウエーブバンド。1979年にリリースされた『Quiet Life』は彼らの音楽性が開花したマイルストーン的サードアルバム。

出会い

Japanは70年後半から80年前半にかけて音楽雑誌「Music Life」でもてはやされていたが、その頃の私はパンクやハードロックを聴いていたので彼らの音楽を聴いた事はなかった。チャラチャラしたカッコしてキャーキャー言われてアイドルバンドなんてくだらねえ...知らんけど。「知らんけど」じゃなくてホントに知らなかった。JapanもCulture Clubも見た目だけで判断してた。女子が読む音楽雑誌「In Rock」、男子が読む「Rockin' On」、両方が読む「Music Life」と根拠も無く勝手に思っていたが、そんな女子の為のバンドだと思っていた。

そんな彼らへの偏見が変わったのは解散した1982年の翌年にリリースされたDavid Sylvian&Sakamoto Ryuichiのシングル「Forbidden Colours」を全英トップ20で聴いた時だった。坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲のヴォーカルヴァージョン。あのみんなが知ってるメロディーにヴォーカルを乗せて無理じゃないと思っていたが、実際に聴いた感想は「この人こんないい声してたんや、Japanの時からか?」。

贖罪の日々

その後次々とリリースされるDavid Sylvianのソロアルバム。ちょっと聴いてみようかな。Tower Recordで視聴した。ヤバイ、なんかスゴイバンドを聴き逃している予感がする。あわててJapanのファーストアルバム『Adolescent Sex』を買った。少し影のあるドラマティックなメロディー、エッジの効いたギター、ファンキーなベース(実はJapanはベースMick Karnのバンド、2010年没、奥さんは日本人)、ジギー・スターダストの頃のDavid BowieやT-RexのMark Bolanを思わすシャウトするヴォーカル。New York Dolls,Gang of Four,初期Roxy Music、初期David Bowie、初期XTC、かっこよかった頃のバンドの要素が全部入ってるのに新しい、1978年にこのクオリティー、まさにポストパンクだ。Japanってこんなバンドやったんや、こんなカッコイイ音してたんや、David Sylvianって元々こんな声やったんや、もっと早く聴きたかったあああ。
見かけも性別もバンド名も音楽にはなーーーーーーんにも関係ない。当たり前の事を思い知った。いや、教えていただいた。ごめんなさい。

贖罪は続く

セカンドアルバム『Obscure Alternatives』を買った。ファーストよりも少し棘がなくなり音も少しポップになりメジャー感が出ているが、相変わらず演奏力でクオリティーの高いアルバムに仕上がっている。その頃、日本に来ていたアメリカ人の知人からJapanのライブアルバム『Oil On Canvas』を貰った。
「Japanってバンド知ってる?いいよね」
「知っとるわヴォケ」
ほんの少し前まで聴いた事も無かったバンドをアメリカ人は普通にイイと言っている事に恥ずかしくなった。しかもよりにもよってJapanって名前なのに。

このアルバム

このアルバムがリリースされる直前に彼らの方向性が変わるシングル「Life In Tokyo」がリリースされる。プロデューサーはGiorgio Moroder(フラッシュダンスの「What A Feeling」やブロンディの「Call Me」でおなじみの80年代ディスコサウンドの名手)。この曲はアルバムに収録されていないが、『Quiet Life』はこの音を踏襲し、いままで聴いた2枚のアルバムから一転してギターが控えめになり、シンセとベースメインのエレクトリックディスコサウンドとなっている。後にDuran Duranが登場してニューロマンティックと呼ばれるブームに繋がっていくサウンドだ。

「Ghosts」と並ぶ彼らの代表曲である「All Tomorrow's Parties」が収録されている。Velvet Undergoundのファーストアルバム(バナナアルバム)の名曲カバーだ。この後リリースされる4枚目、5枚目、そしてDavid Sylvianのソロに繋がるもの悲しくダークなピアノサウンドも聴かせてくれる。このアルバムは、Roxy Music meets Velvet Undergound meets 70年代後半の病んでいたDavid Bowieという表現が近いかもしれない。

もし私と同じようにJapanを聴いた事が無かった方はぜひ聴いてほしい。全アルバム推しです。そして、David Sylvianのソロ、別名で再結成したバンドRain Tree Crowもオススメです。
いやあー当時バカにしてたJapanファンの女子に謝ろ。いや、謝る必要ないな、アイツら見かけだけでファンだったからな。今の俺の方が絶対にJapanが好きだ。

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