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感情を巻き込むブランディング。

久々の日本時間に合わせた投稿です。写真はBordeauxのシャトー・ピション・ロングヴィル・バロン。本編には全く関係ないです。


安定性、安定した業界、安定した生活。
こういった言葉に読者はどういった思いを抱くだろうか。
きっとプラスのイメージで捉えていることだろうと思う。

就活生なんかも企業選びの軸に安定した職種というのを挙げることが多いと思う。

しかしこの安定という事実は危険も孕んでいる。
安定というのは人の注意や、興奮を喚起するに足らないのだ。

つまり安定が続いた先には興味の逓減、そして最後には惰性での継続が待っている。
たとえばギャンブルのようなものに人が惹きつけられて止まないのもそれの一種だし、平坦な映画や音楽やプレゼンが人を眠りに誘うのも近いものだと思う。


そんなことを考えながらシャンパーニュ地方でのプレゼンを受けていた。
シャンパーニュのメインプロダクトはN.V.(ノンヴィンテージ)、つまり年度の記載がないものだ。
これは複数年のブドウを混ぜて作るからで、つまりここではクオリティの確保というブランドを作ることに注力していると言える。

一方でその安定したプロダクトは飽きを生まないのだろうかというのが私の疑問だ。
自分自身はシャンパンの味はなぜかあまり覚えられず、いつも同じような印象を抱く。
そしてプロダクトに関しては少なくとも飽きを感じている。

しかし社会の場ではシャンパンは高級ブランドでみな我先にとボトルを開けたがる。

この感覚の差はなんだろう。なぜ皆は飲むのだろう。

答えは

「感情だ。」

シャンパンには常に祝杯というイメージがついている。 
感情やシチュエーションは常に同じにはなりえない。

そういえばそういった特別な感情とともにシャンパンを飲んだことが私にはない。これが、私がシャンパンに飽きてしまっている理由だと思う。

一方でおそらく社会の諸先輩方はこういった状況下で開けることで、同じプロダクトでも感じ方が違っているのだろう。

感情を巻き込むブランディング。

これはシャンパンに限らず成功を収めるプロダクトを造る上で重要なことだと思う。
ブラディングは簡単ではない。だからこそ根幹にこういった戦略を刷り込んでしまえばそれはかなり強固なものとなり、簡単には揺るがない優位性へと変わる。

使う人の気持ちを考えてプロダクトを造ることは、当たり前だと思われている一方で、意外と見落とされている部分だと思うので、これからも度々立ち返ることを忘れてはならない。

ブランディングとは関係なく蛇足になるが、お酒に関して言えば、「客は変われど味は変えるな」といった格言もあるそうだ。これは客がお酒を介して過去に戻れるようにといった意味合いがあるらしい。


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