見出し画像

愛と孤独にむせび泣く82歳

父が入院して5ヶ月過ぎた。父の病状は悪い、良い材料はない。折り合いをつけるための治療が続いている。
母は、いきなり単身生活になり、父に怯える生活からは解放された。よかったよかった。
じゃないのだな、現実は。
夫婦はかなり前から寝室を分けていたが、父の入院後、母は自分のベッドで寝られなくなった。リビングのソファなら寝られるとわかったから、毎晩、ソファで寝ている。そんなことは息子も娘も全然知らんかったわ。ソファはかなりの古さだし、寝心地悪そうなんだが、実際に試してみて、きちんと眠れたのはリビングのソファだけだったそうな。父とリビングで過ごした日々の安心感があるのだろう。
4月7日、母は普通の時間に就寝した。深夜にトイレに行こうと起きて歩き始めて、ふらっとなり転倒、脇にある机の足で顔を打ったらしい。すぐに保冷剤で60 分冷やしてから寝た。
4月8日の朝。平熱、こめかみのあたりが少し変色して腫れている。午前中はかかりつけ医の定期受診日で、先生は母の顔を見て話を聞いて「大丈夫でしょ」と仰った。
4月9日
福祉道具屋さんの来訪日、「気になるなら受診だね」と言われた。
デイサービス通所日でもあった。看護師さんから「気になるなら受診だね」と言われた。
そして夜。
あ〜、息子にも娘にも言わなきゃ!!!と母は何かのスイッチが入ったようで、まとまりのない話を興奮して電話をかけてきた。初めて転倒しちゃって恥ずかしい、失敗した〜、を繰り返す。相変わらず、内容の要領を得ない。
母に質問する形式に切り替えて、出来事を時系列に並べた。そして、転んだときの様子を思い出してもらう。しかし、肝心なことは何も覚えていなかった。
今回の対策助言は3 つ
①ポータブルトイレをリビングのソファ脇に設営し直す。
置き型手すりを設置してもらう。福祉道具屋さんに頼む。
②寝るときは、必ずはくパンツを履く。尿路感染症が心配なので、汚れなくても朝になったら棄てる。これで深夜に慌ててトイレにいかなくて済む。
③頭を打ったとして、脳外科の症状が出たら119で救急搬送。

今受診をしてもあまり意味がないので、受診しなくてもいいだろうと申し上げた。まあ、受診大好き婆なので、受診したくなったら勝手に受診するだろう、しようがない。脳外科を受診して画像診断になったら、多分、脳萎縮具合が明らかになって、母が思っていなかった展開になるのだよ、それは避けたい。今はこちらも諸事情があり、母の付添は再優先事項にはならないのでございます。

毎度ながら、息子か娘に重点的に心情に寄り添ってかまってもらいたいのが母の真意なのだろうと、しみじみ思う。そして、息子も娘もそれをする気はないのであった。

愛と孤独にむせび泣く82歳、落としどころが見つかりますように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?