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酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第81回「昼酒の森田屋に始まる夏の天王寺」

「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。

withコロナでようやく一人酒が再開した。が、まだまだ心置きなく飲めるようになるまでの道のりは遠い。ならば、体験談エッセイでも書くとするか。酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第81回「昼酒の森田屋に始まる夏の天王寺」である。


はじめに

2016年7月の大阪行きは、大河ドラマ「真田丸」にちなんだミニ旅だった。インバウンドがピークに達しつつある頃で、とにかく外国人観光客、それも東アジア系の人があまりにも多い。ホテルを取るのにも一苦労だったほどだ。

グチはさておき・・・今回は天王寺に宿を取っている。天王寺というと、ご贔屓にしている酒場がある。泊まるならその店で夜酒をじっくりと飲むという手もあるが、人気店なので入れる保証はない。だったら昼酒の時間帯を狙ってみるか。

汗を拭き拭き、酒場へ向かうとしよう。

天王寺「森田屋」~昼でも満席の人気ぶり

ご贔屓の酒場とは、天王寺駅からほど近い居酒屋「森田屋」のことだ。もともと萩ノ茶屋で「酒のもりた」として営業していたのだが、天王寺に森田屋の屋号で出店し、今や界隈でも人気の居酒屋となった。

真夏の大阪城や真田幸村ゆかりの地見学で、汗だくだくになりながら正午過ぎに店を訪れた。ガラス戸越しに中を見ると、すでに満席状態。「炎天下に外で待つ羽目になるのか」と心配しつつ、店内に入る。幸いカウンターが1席だけ空いていた。

店内にはおなじみの大将と女将さんの姿。

何を置いてもまずは生ビール。それから冷奴も注文。おしぼりで顔の汗を軽くぬぐい、生ビールのジョッキをグイっと半分ほど飲み干す。まるでバス旅の太川陽介さんみたいだな。まあ、あれだけ汗をかけばビールなんかあっという間だろう。

続いては、初日の出の冷酒をハーフで頂戴する。銘柄酒を少しずつ堪能できるよう配慮してくれるのが嬉しい。日本酒には生シラス、トリ貝を合わせる。ここでようやく汗も引き、腰を据えて飲めるようになる。外に出ると暑いからなあ。

女将は相変わらずてきぱきと手際よく、あちこちから飛んでくる注文をさばいている。店内を見渡しても、萩ノ茶屋の時のような酔っ払いはおらず、ツワモノのオヤジを相手にする女将の客あしらいを見られないのはチョット残念な気もするな。

日本酒も終わりそうなので、レモンハイを一杯。他の客が注文していたハモと野菜の天ぷらが美味そうだったので便乗する。店には次から次へとお客が入ってくる。森田屋って、そんなに大箱だったのかなと思ったら、二階席があったのか。さすが人気店だな。

そろそろ頃合い。森田屋さん、今回も大満足だったよ。

あべちか「まる」~やはり最初はビールと串カツで

森田屋のあと、新世界に移動して立ち飲み「のんきや」で軽く飲み、そのあと「真田丸」にちなんだ史跡を見学。暑さは尋常ではなく、昼酒のアルコール分は汗でどんどんと流れ落ちていく。夕方までにはかなり覚めてきた感じだぞ。

天王寺のホテルに入り、シャワーでさっぱりと汗を流したところで、夜の飲み歩きといこう。夜も暑いのであまり歩きたくはない。おあつらえ向きに阿倍野地下街がある。「あべちか」の愛称で親しまれているエリアで、その一角に酒場が何軒かまとまっている。

「口開けはやっぱりビールがいいな」と心の声。

となれば、ビールに合うあて(肴)が欲しいじゃないか。それなら、串カツ「まる」から行こう。カウンター席に陣取って、まずはハーフ&ハーフを所望。さすがに昼のようにグビグビとは飲まなかったが、一杯目は美味いな。

あては串カツ、紅ショウガ、キス、シシトウ。大阪なので当然「ソース二度漬けおことわり」。ただ、ウスターソースではなく、中濃タイプなのでソースをつけすぎないようにしないといけない。串カツといっても、店によって個性があるものだなと実感した。

1軒目なので、このあたりでお勘定だな。

あべちか「しもたや」~サイコロの目は吉か凶か

2軒目はすぐ隣にある居酒屋「しもたや」。インターバルこそ取れないが、移動する手間は無いし、地下街なので暑さもしのげる。実のところ、本日の夜酒はこの店から始めようと思ったのだが、ビールと串カツの誘惑には勝てなかったんだよ。

山形県の亀の井酒造「ばくれん」をお願いすると、店員のねえさんがコップ酒と一緒にサイコロを持ってきた。この酒の値段は「サイコロの目×100円」という。なるほど、そういう趣向か。運を天に任せてサイコロを振る。

出目は「6」・・・おいおい、よりによって・・・

ところが姉さん「おめでとうございます」と大喜び。そりゃ店にとっては儲かるだろうからな・・・と思ったら、なんと「6は無料」とのこと。やったぜ!

そんなわけで「ばくれん」はサービスで一杯いただき、申し訳ないのでもう一杯「酔鯨」をおかわりする。あてにはシマアジの刺身、水ナス、さらにサザエのつぼ焼き。この店はサイコロ博打だけでなく、海の幸がウリなのだ。

日ごろの行いが良いから、美味しく酒が飲めましたとさ(笑)

あべちか「丸一屋」からシメは「北神餃子」で

インターバルを空けるために夜風に当たりながら、あべのハルカスを下から見学したり、ディープタウンの阪和商店街をぶらついたりしながら、再びあべちかへと戻ってきた。

3軒目は同じ一角にある居酒屋「丸一屋」

カウンターに座り、焼酎のお湯割りと大阪の酒場では定番のきずしをいただく。客層は、まるやしもたやと比べて年代が高い。中年オヤジの私にとっては居心地のいい空間でもある。ちなみに同じ屋号の店が大阪界隈のあちこちにあるが、関連はなさそうだ。

もう一軒だけ寄ろう。これも一角にある「北神餃子」。

小腹が空いていたので餃子はちょうどいい。もちろんビールと一緒にいただく。この店ではみそだれを使っているのがウリだが、かなり酔っていたので残念ながら味の記憶がない・・・が、美味しかったに違いなかろう。しっかりシメになってくれたよ。

〇〇〇
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2016年7月の忘備録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。


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