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不動産の相続対策が負動産になる!

所有する土地に共同住宅を建てて賃貸に出して相続対策することはよくあることだ。
建物を建てて賃貸に出せば土地の評価額は下がり、建物の評価額も時価より安くなるので大幅な相続対策となる。
土地を持っていなくても、現金がたくさんある場合、土地を買って共同住宅を建てれば相続対策はできる。
しかし気をつけなければならないのは、建てられる延床面積よりもだいぶ小さな延床面積の建物を建てる場合です。

例えば5階建の建物を建てられるにもかかわらず、建物のコストを安く抑えるため2階建の建物を建てて賃貸に出す場合だ。目的が相続対策だから、建物さえ建てれば相続対策になるので、土地の価値に見合った建物を建てずに収益性を無視した小規模の建物を建てる。
すると5階建よりも2階建は賃貸面積が小さくなり収益が低くなるため、土地建物全体の収益不動産としての市場価値も低くなるから市場での取引価格も安くなる。
土地の持つ収益力を充分利用していないため、市場では本来の土地価格も減額されてしまうことになる。
このような相続対策をした不動産を相続税捻出のためいざ売ろうとしたとき、本来の土地価格では売れないばかりか、場合によっては、建てた建物をまだ利用できるにもかかわらず解体して売らなければならなくなる。余分に解体費はかかるし、建物の建築費用の残債が残っている場合があり、土地価格から全て控除しなければならなくなり、本来の土地価格にとって大幅にマイナスとなる。

実際に価格を当てはめてみると次の通りである。
更地価格が1億円で、その土地上に2000万円の賃貸建物を建てたとする。
積算価格では1億2000万円になるのだが、収益性が低いため収益価格では
8000万円になる。市場では収益価格が重視されるので売価は8000万円となる。
更地価格1億円なのに、土地建物をあわせた価格が8000万円。
建物を建てたばかりに2000万円の損失である。
もし建物を解体して更地にするための費用等が1000万円だとすれば、建物を解体して更地で売るほうが8000万円で売るより1000万円プラスになる。よって建物を解体して売ることもある。
でも、更地であれば1億円で売れたのに1000万円以上は損である。

相続税を低くするために建物を建てたことがかえって損失になり徒花となる。
だから、不動産の相続対策が負動産になる。
気をつけたいものだ。


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