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ビットコイン現物ETFついに承認!

2023年後半から承認がされるのではないかということで注目が集まっていたビットコイン現物ETFがついに1月10日(現地時間)にSEC(米国証券取引委員会)に承認されました。

今回承認されたのは、米資産運用大手ブラックロックやフィデリティ、アーク・インベストメンツなどが発行した11本のETFです。このnoteではビットコインETFの歴史を踏まえて解説します。



ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)とは

ETFとは、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託です。特定の指数、例えば日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)等の動きに連動する運用成果をめざし、運用されるインデックス型と、そのような連動対象指数を定めないアクティブ型のETFがあります。

日興アセットマネジメントより引用

投資信託は1日1回算出される基準価額での売買しかできませんが、ETFは証券取引所に上場しているので、株と同じように証券取引所で開場中であれば自分の好きなタイミングで売買できます。

例えば既にゴールド(金)や石油などの値動きに連動したETFが上場していますが、それらの現物を実際に購入することなく間接的に投資をして利益を得ることが可能です。

つまり、ビットコイン現物ETFが上場するというのは、ビットコインの値動きに連動した商品を証券取引所で取引できるようになるということです。

ビットコインETFの歴史

実はビットコインのETFについては突然出てきた話ではなく、2017年頃からいくつもの企業が申請してはSECによって承認を拒否されてきました。

以下に
ビットコインETFに関する歴史を時系列順に振り返りってみます。

  • 2017年3月 SECがウィンクルボス兄弟申請のビットコイン現物ETFを拒否

  • 2017年12月 CBOE(シカゴ・オプション取引所)およびCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)でビットコイン先物取引開始ビットコイン前々回バブル天井

  • 2018年1月 SECが裏付け資産の流動性とバリュエーションを巡り懸念を表明し、プロシェアーズなど4社が上場申請取り下げ

  • 2018年8月 CBOEなど8つのビットコイン現物ETFを拒否

  • 2019年9月 ヴァンエックとソリッドXがビットコイン現物ETFを取り下げ

  • 2019年10月 ビットワイズ社のビットコイン現物ETFを拒否

  • 2021年1月 暗号資産に理解が深いとされるゲンスラー氏がSECの委員長に就任し、ビットコインETF承認に対する期待が高まる

  • 2021年2月 カナダの資産運用会社パーパス・インベストメンツによるビットコイン現物ETFがカナダ規制当局から承認される(世界初)

  • 2021年10月 SECがプロシェアーズのビットコイン先物ETFを米国で初めて承認ビットコイン前回バブル天井

  • 2023年6月 ブラックロックがビットコインETFを申請で期待が高まる

  • 2022年6月 グレースケールが申請していた「グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」のビットコイン現物ETFへの変更を却下

  • 2023年8月 グレースケールが6月の件の裁判でSECに勝訴

  • 2023年10月 コインテレグラフの公式Xでビットコイン現物ETFが承認されたとの誤報が拡散され、ビットコイン価格が暴騰

  • 2023年1月9日 SECの公式Xがハッキングされ「ビットコイン現物ETFの申請を承認した」との偽情報が拡散されビットコイン価格が乱高下

  • 2023年1月10日 SECによって11社のビットコイン現物ETFが承認

この歴史だけみても長い年月をかけてやっと悲願達成という感じですが、ここに至るまで何度も数多の企業がビットコイン現物ETFを申請し、SECが承認の判断を期限ぎりぎりまで延期しては拒否、そしてまた案を練り直して再申請というのを何度も繰り返してきました。

ここまで何度も繰り返し拒否されていると、どうせ今回もSECに拒否されて終わるのだろうという諦めムードが漂っていました。

実際に今回満を持して参入してきた世界最大の資産運用会社ブラックロックは過去575件のETF申請を行い、1件を除いて全て承認を得ているという触れ込みもありましたし、2023年8月にはグレースケールがSECに勝訴したというかなり承認の確度が高まっていたものの、それでも直前までどうなるか分からないというくらいシビアなものでした。

承認に際してのSECのコメント

米SECのゲンスラー委員長

今回承認の判断を下したSECですが、投票権を持つ5人のコミッショナーのうちゲンスラー委員長含む3人は賛成ですが、残り2人は反対ということでギリギリ承認されています。

また承認した3人のうち、ゲンスラー委員長はグレースケールの裁判の判決によって方針転換を余儀なくされたこと、いくつかのビットコインETPを承認こそしたものの、ビットコインは投機的でボラティリティが高く、マネロン、ランサムウェア、制裁逃れ、テロへの資金供与など違法な活動にも使われており、ビットコイン自体を承認または推奨するものではないと言及しています。

SECのコミッショナーで暗号資産に対して肯定的な立場を一貫してきた「クリプト・ママ」ことへスター・パース氏は「グレースケールの裁判がなければ、さらなる遅延が生じていた可能性がある」と発言しており、今回の現物ETFの承認についてはグレースケールの功績が非常に大きいと言えるでしょう。

ビットコイン現物ETF上場によるメリット

①機関投資家が参入しやすくなる


機関投資家は通常、規制当局の監視下に置かれた金融商品に積極的に投資をするため、これまで敬遠していたビットコイン市場へ参入しやすくなります。

②アクセスが容易になる


証券取引所に上場するため、ビットコインにこれまで触れてこなかった人も暗号資産取引所の口座を新たに開設することなく、従来の証券口座からビットコインに投資できるようになります。
特に株の投資家の中には暗号資産は敬遠している方も少なからずおられたかと思いますが、ETFが上場したからいくらか資金を入れてみようという人もでてくるかと思います。

③税務処理が明確になる


現在日本の税制上、暗号資産で得た利益は雑所得扱いとなっていて場合によっては複雑な計算が必要となります。その点、もしビットコイン現物ETFであれば株と同じく申告分離課税で、口座の種類によっては自動的に税金を引いてくれるので計算も簡単ですし、収入によっては税率のメリットも大きくなります。

※ただし、現状ビットコインをはじめとした暗号資産は、投資信託への組み入れが可能な「特定資産」に該当しないため、日本の証券取引所でビットコイン現物ETFを取引することは少なくともしばらくの間は難しそうです。

④リスクの軽減


ETFはSECによって承認されており、厳格な規制と監督の下で運営されるため、投資家はより安心して投資できます。
また、日本の取引所であればまだ安全性が高いのですが、メタマスクなど独自のウォレットなどで暗号資産を管理している場合は秘密鍵の流出やハッキングリスクなどを常に伴います。もちろんETFであればそういったリスクはほぼなくなります。

今後ビットコイン価格に与える影響は?

今回ビットコイン現物ETFが承認されましたが、今後のビットコインの価格に与える影響を見る上でよく比較対象とされるのが、ゴールド(金)です。

ゴールド(金)の月足チャート

上記のチャートをみてもらうと分かりますが、2004年11月に初のゴールドETFが上場してから1年弱同じような価格帯で停滞した後、爆上げしていることが分かります。今回、ビットコイン現物ETFが上場したことで機関投資家の資金も入ってきそうですが多少タイムラグはありそうですね。

また、今年はビットコインの半減期が4月頃に控えているのでこちらもあわせて暗号資産はバブルが期待できそうですね。

ブラックロックのETFや半減期を迎えるビットコインの値動きなどについては以下のnoteでも触れているのでご参考にしてください。


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