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10/24ビットコイン暴騰!現物ビットコインETF期待で盛り上がる暗号資産市場

8月中旬から25,000~28,500ドルのレンジの中で停滞していたビットコイン(BTC)でしたが、10月24日に30,000ドルから35,000ドルまで5,000ドル規模の急激な上昇を記録し、暗号資産市場に大きな注目が集まりました。

この急上昇にはさまざまな要因が影響しており、以下にその主要な要因について詳しく説明します。


1.ブラックロックの現物ビットコインETF、DTCCのリストに掲載

世界最大の資産運用会社「ブラックロック」が現在申請中の現物ビットコインETF「iSharesBitcoinTrust (IBTC)」の名前が、DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation:米国証券保管振替機関※)のWebサイト上のリストに掲載されていることが判明し、話題となりました(DTCCによれば、8月に既に掲載されていたとのこと)。

DTCC公式Webサイト より引用

※DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)とは・・・
金融市場に清算および決済サービスを提供する米国の取引後金融サービス会社です。買い手と売り手に代わって証券の交換を行い、証券の中央保管を提供することにより、中央証券保管機関として機能します。

ウィキペディアより引用

これによって現物ビットコインETFの承認の可能性が高まったと市場が判断し、機関投資家などからのBTCへの資金流入を期待して買いが集まったのが今回の一番の上昇要因と考えられます。

実は、この1週間前の10月16日に、暗号資産大手メディア「Cointelegraph」のXで「SEC(米国証券取引委員会)がブラックロックの現物ビットコインETFを承認した」というフェイクニュースが流れたことで、ビットコイン価格が急騰し、その後全戻しするという事件がありました。

この値動きからも市場が現物ビットコインETFに対してかなり注目していることが分かります。

ちなみにブラックロックの現物ビットコインETFについては6月15日のBTC上昇の要因にもなっていますが、以下の記事でも触れているのでご参考にしてください。


しかし、今回のDTCCのリストへの掲載は新しいETFの市場投入に備えて一般的に行われるもので、承認前提でされているわけではありません
ですので、10月24日時点で承認されるかどうかは分からないというのが実のところです。

現物ビットコインETF申請のSEC審査リスト(審査期間は最大240日まで延長できる)
Coinpostより

現物ビットコインETFのうち審査の最終期限が一番早いのが、米大手ヘッジファンドARK Investが申請中の「ARK 21 Shares Bitcoin(ARKA)」で、最終期限は2024年1月10日です

本命と見られているブラックロックが申請中のIBTCの最終期限は2024年3月15日となっており、ここで承認されるかどうかがビットコインの価格にも大きく影響してくると予想されます。

2.地政学リスクの高まり

・2022年2月24日 ロシア・ウクライナ戦争

欧米諸国がロシアのウクライナ侵攻に対抗するため、ロシアに対して大規模な経済制裁を発令したことで、ロシアの投資家たちの資金逃れが加速し、ロシア・ルーブル建の暗号資産取引量が急増しました。

・2023年10月7日 ハマスがイスラエルに攻撃


パレスチナのガザ地区を実効支配しているイスラム組織ハマスがイスラエルに前例のない規模の攻撃を開始しました。これに対してイスラエル軍もガザへの空爆を開始し、数千人が死亡するなどの紛争へと発展しています。

これに関してはここでは詳しく触れませんが、この紛争は世界に大きな衝撃を与え、今もまだ予断を許さない状況にあります。

2023年10月7日 ガザからイスラエルに向けて発射されたロケット弾 日経新聞より

ガザ地区でのイスラエルとハマスの紛争が激化したことで、ロシア・ウクライナ戦争の時と同様、一部の投資家は伝統的な金融資産への不安からビットコインを安全な資産として見なす傾向があり、その結果、ビットコインの需要が高まりました。

戦争の当事国に住む人々にとっては、自国通貨の価値の下落はもちろん、そもそも銀行口座が凍結されたり、国際的な金融システムへのアクセスが制限されることもあります。

このような状況に陥った際に、匿名性と分散性を兼ね備えた暗号資産は自国通貨のインフレヘッジだけでなく国境を越えた資産保全のツールとしても機能します。また、戦争において現金などは戦火によって焼失あるいは略奪されてしてしまうという物理的なリスクもあるため、いわゆる有事の「金(ゴールド)」よりも、デジタルゴールドとも称される「ビットコイン」をはじめとする暗号資産が選択されるのも頷けます。

3.10月はビットコインが上昇する傾向がある

みなさんは“セルインメイ”や“夏枯れ相場“といった言葉をご存じでしょうか。

株式市場では、株価は5月に高値を付ける傾向があるので5月に売れという意味の「セルインメイ」や、7~8月にかけて国内外の機関投資家が夏季休暇を取るため、市場の流動性が減りボラティリティが低下するとされている「夏枯れ相場」というような季節性のアノマリー(合理的な説明はできないものの、高い確率で起こるとされている相場の規則性)が存在します。

ではビットコインにそういった規則性はないのでしょうか。

ビットコインが誕生したのが2009年。そこから10年以上経った現在、株式などと比べるとまだまだ歴史が浅いものの、価格のデータがある程度蓄積されてきています。

そこで月別の騰落率を各年で比較してみると、面白いことにこの月は上昇することが多い、この月は下落することが多いというのがデータとして見えてきます。

ビットコインの月別リターン(%) coinglassより

具体的には2月・10月はビットコインの価格が上昇、8月・9月は下落する傾向がある月となっています。今回は10月も例年の傾向通り大幅に価格が上昇したわけですが、暗号資産コミュニティ内では10月の英語名October(オクトーバー)にちなんで「Uptober(アップトーバー)」と揶揄されたりもしています。

(補足)他にも曜日毎のデータとして木曜日は下落することが多く、暗号資産コミュニティ内では「魔の木曜日」などと呼ばれるなど調べてみると面白いアノマリーがいくつもあります。

4.半減期に向けた相場(次回の半減期:2024年4月24日頃予定)

ビットコイン日足チャート(青の点線は半減期)

ビットコインは約4年ごとに半減期(マイニング報酬が半分になるタイミング)を迎え、新たなビットコインの発行量が半減します。これはビットコインの供給の減少を意味し、需要が一定であれば価格の上昇につながる可能性があります。

半減期のスケジュール

  • 1回目:2012年11月28日

  • 2回目:2016年7月9日

  • 3回目:2020年5月11日

  • 4回目:2024年4月24日(予定)

米暗号資産ヘッジファンド「パンテラ・キャピタル」は、ビットコインの価格は半減期の477日前が価格の底であり、半減期後は平均して480日間上昇する(480日後が天井)との分析を公開しています。

これに基づくと、2023年年始に底、2025年8月中旬に天井ということになりますが、実際に2022年末~2023年初頭にかけて底値を付けているので現時点では過去の流れを踏襲する形となっています。

おわりに


総括すると、10月24日のビットコインの急上昇には、機関投資家の注目を集める現物ビットコインETF承認への期待、地政学的リスク、10月の価格上昇の傾向、および将来の半減期への期待が影響しています。これらの要因が結びついて、ビットコイン価格の急上昇をもたらしたと考えられます。

今後もETF申請の結果が出るまでは期待で価格の上昇が見込まれます。

しかし、「噂で買って、事実で売る」という相場格言があるように、今回の上昇の大きな要因となった現物ビットコインETFに関しては、実際に承認されれば事実売りでビットコイン価格が下落する可能性もあります
いずれにせよ暗号資産市場は非常に変動的でリスクの高い市場であるため、慎重に取引を検討しましょう。

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