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【経済・金融】2022年まとめ"三十六計逃げるに如かず"

はじめに

2022年は2月のロシアのウクライナ侵攻から始まり、世界的なインフレから異例の大幅利上げによって急激な円安、株や暗号資産などもバブル崩壊によって1年を通して価格が下落し続けるなど激動の一年でした。
金融・経済に関して言うとバッドニュースが目白押しとなりましたが、ざっくりどんな出来事があったか振り返ってみていきましょう。

振り返りカレンダー

暗号資産今年の振り返り(白線は暗号資産全体の時価総額のチャート)  Bloombergより

2022年1月
・25~26日 米国FOMC 
 政策金利据え置きも3月上旬にテーパリング終了し、以降利上げを示唆
 株や暗号資産から資金抜けが始まる
・BTC価格は下落するもNFT(BAYC、Azuki、CloneXなど)活況であまり悲観なし

2月
ロシアがウクライナへ侵攻
 これにより原油・天然ガスの価格が高騰、電気代なども高騰
・Meta(元Facebook)社の21年四半期決算でメタバース事業の先行投資で巨額赤字が判明

3月
・予想通り政策金利を0.25%引き上げ
・日銀連続指値オペ制度発動(10年国債等を0.25%で無制限に買い入れる)
・世界各国がロシアへ経済制裁
・小麦の価格が急騰(ウクライナは世界的な小麦の産地)
・石炭や銅、ニッケルなどの資源全般が高騰
・STEPNの人気加速(主に日本)
・Axie InfinityのRoninブリッジで700億円超相当の暗号資産が不正流出

4月
・米国でインフレ抑制のため利上げが加速するとの見通しからリスクオフ、円安加速
イーロン・マスクがTwitter大株主に
・暗号資産の国内取引所が一斉にトラベルルール適用
・NFTバブル加速(CloneX、Moonbirdsなど)
・STEPNの大流行でMove to Earn銘柄が続々登場

5月
・Luna、USTが大暴落(時価総額最高4兆円規模からほぼ無価値に)
 ステーブルコインの裏付け(担保)について懐疑的な見方が広がる
・インフレ止まらず景気不安再燃で株大幅下落

6月
・米国FOMC 政策金利1994年以来の0.75%引き上げで「1.50%~1.75%」に
STEPNをはじめここまで好調だった人気NFTなども軒並み暴落

7月
・安倍元首相が暗殺される

・米国CPI(消費者物価指数)9.1%と予想を上回り、インフレ継続
・米国FOMC 0.75%の大幅利上げにより、さらに円安が加速
・大手暗号資産ヘッジファンドThree Arrows Capital破産(Lunaショックで大打撃)
 これに伴いVoyger DigitalおよびCelsiusが破産、BlockFiやGenesis Tradingにも打撃
・NFTの取引量激減

8月
・欧州にて過去500年で最も深刻なレベルの干ばつ(水不足) 
 この影響もあり欧州での発電量が低下、電気代が高騰
・ジャクソンホール会議にてFRBパウエル議長が改めてインフレ抑制を強調
・暗号資産の弱気相場の象徴であるハッキングが多発し始める(Nomad、Curveなど)

9月
・英国大混乱
 リズ・トラス氏が首相に就任し、約7兆円の大規模減税案を発表。
 財政悪化が懸念ポンドが暴落し、史上最安値を更新(1ポンド=1.03ドル台)

 英エリザベス女王死去
・ETH大型アップデート「The Merge」 実装

10月
・英トラス政権大幅減税案を撤回し、トラス首相辞任(就任から44日)

 後任として英国初のアジア系首相となるリシ・スナク氏
・イーロン・マスク氏がTwitter買収完了

11月
・大手暗号資産取引所FTXが破産(Chapter11)

・米CPIの結果などをうけてインフレピークアウト期待で円高ドル安に

12月
日銀の金融政策会合で長期金利上限引き上げ 実質利上げと捉えられ円高へ
・BinanceもFTX同様に財政状況に関して不信感が高まり、取り付け騒ぎ
FTX元CEOのサム・バンクマン=フリード氏(以下SBF) バハマで逮捕
・FTX共同創業者ゲイリー・ワン氏・Alamedaの元CEO キャロライン・エリソン有罪
・SBF 両親が自宅を担保に約330億円で保釈
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こうしてみるとロシアの侵攻から始まり、英国では首相がコロコロ変わり、暗号資産は破産が相次いで起こるというバッドニュースが目白押しの一年でした。2021年がバブル気味だっただけに、すぐに切り替えられなかった人はダメージをかなり受けていると思います。

私が暗号資産を始めたのが2017年末のバブル絶頂の頃で、当時日本でも人気だったNEM、XRP、LISKなどを買って一時は2~3倍とかになって喜んでいましたが、その数か月後にはバブルが崩壊し一気にほぼ無価値になるという経験をしました。

そして今回は、2020年~2021年のバブルから2022年に崩壊というのを経験したことになるわけですが、一度経験していても、いざその時になると冷静に見えなくなるのがバブルというもので、実際含み益が日に日に増えていくのを見ていると、もうちょっと利益を伸ばせるのでは?という欲が出てきてしまいます。

 確かに、バブル崩壊の警戒をしすぎても機会損失になってしまうケースも多々あります。せっかく含み益が出ていても落ちるときは一気に落ちてしまいますし、また上がるのではないかという期待からずっと持ち続けてしまい、結果としてはかなり損失を出してしまったという人が多いかと思います。

バブル期の立ち回り

【1】 様々なプロジェクトに満遍なくお金を入れてみること。
(明らかに怪しい案件は除く。即座に詐欺だと分かるような案件が9割以上)

【2】 ある程度の利益が出たら謙虚に利確をすることで逃げ足を早くすること。
(暗号資産に関してはマイニングやトークンのロックなど長期で資金が拘束されるものに関してはかなりリスクが高く、怪しい案件も多いため推奨しません)

特に【2】の逃げ足を早くすることは多少なりとも機会損失になってしまうことに繋がりますが、逃げ足を早めにしておくことで価格が下落し始めた時に損失をおさえることができます。

例えば、今回のFTXの件について振り返って見てみると、FTXでは11月8日に出金停止になったわけですが、実はそれまでに逃げるタイミングが直前にもいくつかありました。出金停止に至るまでにあった逃げるタイミングを時系列で見てみます。


FTXが破綻し出金停止になるまでのFTT(FTXの取引所トークン)の4時間足チャート

まず11月1日にFTX Earn(年利5~8%でレンディングができる仕組み)の預入額の上限が1000万ドルまでだったものが、10万ドルまでに引き下げられました。こういったレンディングの利率や限度額の改悪は、財務状況が悪化していて経営破たんの前兆である可能性があるので、今後同様のことがあればすぐに資金を逃がすのが賢明です。

次は11月2日のCoinDeskからのリーク記事ですが、こちらに関しては出た当初は真偽不明ということでしたが、火のないところに煙は立たないという言葉もありますし、この記事に関しても取り付け騒ぎが起きかねないということで資産を逃がすことができたタイミングかと思います。

そして、11月6~7日にかけてSBFやCarolineなどFTX・Alameda関係者から「財務状況は問題ない」という発言が相次ぎますが、これは暗号資産業界で破産する時によくあることですが、出金停止をした後に「メンテナンスなので大丈夫」、「顧客資産は守られています」などと顧客を安心させるような発言をして結局そのまま破産というお決まりのようなパターンでした(もちろん本当に何らかのシステム上の問題が起きてメンテナンスによって出金が停止している場合もありますが、その場合でも念のため資金を逃がしておいて十分に安全かどうか確認がとれたら再開でも遅くありません)。

 以上のようなサインがいくつも出ていたのにも関わらず、FTXから資金を逃がすことができずに幽閉されてしまった人がほとんどという結果になったわけですが、これはFTXおよびSBFがこの2年間ほどで築き上げてきた信頼、好感度が非常に大きいものだったからです。

金融、特に暗号資産の分野ではデマが出回ることは日常茶飯事です。
ビリオネアとなって確固たる地位を確立していたように見えたSBFが資産流用をして、まさかFTXが倒産するほどの負債を抱えているなど、私自身思いもせず、出金しなくても大丈夫だろうと高をくくっていました。

しかし、実際には業界2番手とも言われたFTXも資金難で破産してしまったわけです。2008年にも米国証券の中でも資産額が4位につけていたリーマン・ブラザーズが破産したりすることもありますし、結局どんなに大手でも破産する可能性があるので安心はできないということです。
また、【2】の逃げ足を早くすることによって仮に早く利確しすぎたとしても、利確をすることで心にもいくらか余裕ができますし、新しく参入する場所を探すことも可能になり、メリットも多いです。

終わりに

2022年12月現在、株や暗号資産などの価格は低迷しており、業界全体が暗いムードになっています。現状まだ下落余地はありますが、一方で「総悲観は買い」という言葉もあるように、皆が興味を失くした時が一番の買い時になるので、2023年は次のバブルに向けて色々買い始めてもいいような年になるような気がしています。次のバブルに向けて仕込むためにも今後も各方面にアンテナを張って情報収集をしていっていただければと思います。
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