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#468 短歌を自由に楽しんでみた(3年国語)

2023.11.5.
久しぶりに授業のことでも。
実は今、2年生のサポーターをしているのだが、校内事情により3年生の国語と体育を1クラスずつ持っている。基本的に勤務日には国語と体育を1時間ずつ。残りの時間を2年生に、という具合だ。

ちょいちょいいろんなところに手を出した結果、子供たちの顔と名前が覚えられなくて非常に困っている。その時間勝負で延長ができないところなどは専科としての関わり方と似ている。ワークシートや教具などは勝手が分からず、なかなか上手に使えていないことも課題。


先日の記事でも紹介したのだが、voicyでこんなものを聞いた。

◆自由にするとどうなるか分からない…という理由から、学校教育では自由を避けがちだが、自由な状況で自分がどうするかを学んでこないと、大学に入って・社会人になって自由を手にしたときにどうしたらいいか分からなくなる。
◆教育として自由を扱うためには、「今からの自由な学びについて計画を立て見通しをもつ」「自由にやってみる」「自由に過ごした後、その振り返りをする」を何回も繰り返していくしかない。
◆自由にしてみてうまくいかなくても、そこで止めずに考えさせ、次に生かす。
◆週1回それをやれば年間35回の経験値。毎時間やれば年間1000回の経験値。

要約

ふーむ。「自由を教育的に扱う」、すごく大事。自分が担任でやってみたら怖くて途中でやめちゃいそう。
しかも今は、講師だしな…。人様のクラスだしな…。
でも、もしできそうな機会があれば、ちょっと取り入れてみたい。

国語、次の単元は「短歌を楽しもう」、1時間扱いか。1時間…。
いや、1時間だけならうまくいかなくても次に響かないし、できるんじゃない?ひっそりとやったら、担任の先生にも何も言われないんじゃない?(言われたことはないけど)

よーし、「短歌を自由に楽しむ」でやってみよう!


★授業の計画

①読み聞かせ5分
②教科書で短歌とはどういうものか確認
③4首を音読し、意味も確認
④自由に楽しむ
計画→やってみる→振り返り

これでいってみよう。


★どんな風にやってみたか

授業の流れ①〜③を終えて、短歌とはどういうものかなんとなく分かったところで、この単元は短歌を楽しもうなので…今日は楽しみ方をみんなそれぞれに任せることにします!と伝えた。

みんな頭に「?」が出ていた。

こんなことをして短歌を楽しみたいな…っていうアイデアがある人はいる?と聞くと、
・短歌を使ったかるたで友達と遊びたい
・タブレットで他の短歌を調べたい
・自分で短歌を作りたい
などがパッと出てきた。

こういうの、全部やってOK。ただし守って欲しいのは「20分で終わり」「最後に必ず活動を振り返る」「個人でも友達とでもいいが、他の人のジャマ(うるさくする)などはしない」ということ。

では、今から5分間でめあてを書こう。
「〜〜をして、短歌を楽しむ」の〜〜の部分を自分で埋めてね。


★どうなったか

そこからは、子供たちの様子を見て回った。
・何か別の教科で使ったものなのか、かるたの枠が印刷された画用紙を持ってきて、みんなで分担してかるたの札を作る子たち
・教科書についているQRコードをタブレットで活用しようとする子たち(なぜか読み取れなかった)
・短歌を作った子
・教科書に出ている短歌に絵をつけた子
・ネットで有名な短歌を調べた子
・短歌クイズを作った子

心配していたような騒々しい感じにはならず、みんな結構静かに取り組んでいた。友達と一緒にやっている子たちも、周りの迷惑にならないような音量で相談しながらやっている。

みんな…すごいな。

白い紙ありますか?と聞いてきた子には「用意していないので、普段使っているものの中から考えてみて」と話すと、置いてある裏紙を使って進めていた。
これやってもいいですか?という子も数人いて、あなたがこうやって短歌を楽しみたいと考えて、他の人の迷惑になっていないのならば、許可を取らずにやっていいと伝えた。

それにしても…20分は少なかった。時間だと声をかけると「え!もっとやりたかった!」の声が多数。読み聞かせしてる場合じゃなかった?


★振り返りやいかに

みんなとかるたを作って楽しかったけれど、時間が足りなかった。

Aさん

これが、時間を考えて楽しめる方法についてまで考えられたらすごいよなあ…。時間が足りなかったから、次どうするか。

有名な短歌を調べることができた。自分でも作ってみたい。

Bさん

どんなの調べたかが書いてないんだよなあ…。

野球についての短歌を5つ作ってみた。野球のもの以外でも作ってみたい。

Cさん

教科書の短歌は昔のものが多かったので、現代風のものも2つほど紹介したのだが、その中に野球を題材にしたものがあったので、Cさんはそれが刺さって自分バージョンを作ったようだ。

ぽぽぽぽと秋の雲浮き子供らはどこか遠くへ遊びに行けり/河野裕子
時間がなかったけれど、いい短歌を見つけることができた。

Dさん

音が面白い短歌を見つけたDさん。みんなにも紹介してあげたいな…。

教科書の短歌に合う絵を描いてみた。違う短歌でもやってみたくなった。

Eさん

ノートのどこにも絵が見当たらなかったけれど、どこに描いたんだいEさん!

短歌作りをした。悩めば悩むほど楽しい。

Fさん

冬の昼にこたつに入ったときの気持ちを短歌にしていたFさん(ここには載せないが…)。作っただけでなく、作っているときの自分について振り返っているところが素晴らしい。

有名な短歌を2つ見つけて、意味も調べることができた。短歌って、自由だな!

Gさん

Gさんはノートに見つけた短歌と意味を書き留めていた。そして最後のこの感想が素敵。どんなところから自由を感じたのか気になるところ。


そして、今回個人的に一番感動したのはHさん。

・わが君は 千代に八千代に さざれ石のいわおとなりて こけのむすまで
・感動も 何気ない日々の 一コマも きみの言葉で 詠めば正解

Hさん

Hさんは普段とても大人しく、右手と左手で戦っていることもあって、独自の世界をもっている感じの子。上のものを合わせて4首、ネットで調べた短歌がノートに書かれていた。
君が代って…短歌だったのかー!!!気付いてなかった!
それから、短歌について紹介しているブログに書かれていたもう一つの短歌。素敵な歌!
自分の振り返りみたいなものはほとんど書かれていなかったが、Hさんの心が動かされたものが並べられていて、なんだか美しいなと思ったのだ。


★私の授業振り返り

いやあ、やってみてよかった。
授業中は、子供たちそれぞれの工夫した学び方に驚かされ、振り返りでは子供たちが調べた内容にこちらが驚かされ、振り返りレベルの差にも驚かされた。

よい振り返りの紹介をしたい!(特にメタ的に学習内容や自分の学び方について触れているもの)というか、する。

他の学習でもこの要素を取り入れてみたい!



以上、とある配信を聞いて、考えさせられて、ちょっと授業のやり方を変えてみた私の短歌の授業についてでした。



#教員エッセイ
#授業実践記録
#短歌を楽しもう
#3年国語


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