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#074(Re) たかがフォント、されどフォント

2023.6.16.
勤務校は毎週必ず金曜日に翌週の予定を出すことになっている。そして、関係者はオンラインでどこからでも閲覧できるのだ。こういうのが当たり前の時代。
私が今の学校で関わっているクラスは5つ。授業をしているのは1つだけなので、そのクラスのシステムには登録をしてもらい、システム上で週予定を閲覧できる。他の4つは、学校で紙ベースのものを…もらえたりもらえなかったり。

学校で決まっていることは「金曜日に週予定を出す」だけなので、週予定のフォーマットは決まっていないようだ。基本の内容は同じ。時間割、宿題、持ち物、連絡事項。一番違うのは…フォントである。

教科名がUDデジタル教科書体になっているものから(安心感!)、教科名がポップ体のものまで…。。。

大事なのよ、フォントって。
与える印象もそうだし、文字環境もそうだし、特別支援的な意味合いでも。

近頃、フォントについて考える機会が多いので、今日は以前書いたフォント系の記事をどうぞ↓



◆◇◆◇◆◇

2022.7.5.
昔から、バランスみたいなものに敏感な方だと思う。

起案された文章に違うポイント数の文字が混ざっていたり、全角と半角が混ざっていたりすると、「うげげ」と思ってしまう。

印刷が曲がっていて余白が斜めになっているプリントとかを見ると「うげげ」と思ってしまう。

起案回した人にとっては口うるさい姑のようにしか見えないことだろう。
本当に見逃していることもあれば、あえてスルーすることもあるし、さりげなく勝手に直すこともある。

関連して、フォントにも好き嫌いがあり、おたよりなどでは「丸ゴシック」の可愛らしさが何となく好きで、よく使っていた。

真ん中のやつ/リスティング広告代理店のアドバインドさんのHPより

ところが勤務校では数年前から、子供たちの文字環境を整えるということで、おたよりや掲示物のデジタル文字を「教科書体」に統一することになった。教科書体は文字通り教科書に使われている文字で、止めはねはらいなどが正しく表されている。
確かに字の形がきれいだ。でも何だか…スカスカしている印象だった。
教科書体の中にも、文字の間隔が勝手に詰まるタイプとそうでないタイプがあったが、どちらにしても線が細いというか、広がってしまう?まとまりがない印象だった。

上から3つ目が一般的かな?/フォント専門店ショップFont GarageさんのHPより

このあたりから、身の回りのフォントが気になってきて、街中にはゴシック体が多いとか、ちゃんとした文書系は明朝体が多いとか、有名どころの違いがようやく分かるようになってきた。

「おさなごころをきみに」展では、レトロフォントに興味をひかれ

NHKの「サラメシ」で、モリサワという会社のフォントデザイナーが紹介されていた時も「フォントを作る仕事があるのか!そりゃあるか!すごい仕事だ!」と驚いた。
※見たのは多分ずっと後の再放送

それから、弱視や読み書き障害の人には読みにくいフォントがあることも知った。もしかすると自分は、丸ゴシックを多用することでずっと誰かを困らせていた可能性もある。

奥が深いなぁ。



そんなある時、文書やテレビのテロップで時々、「このフォント、なんかステキだな!」と思うものがあった。字形は整っている感じだが、太さもあって読みやすい。可愛い印象も与える。

なんていうフォントだろう?

でも、見かけたときにあっと思っても、そのテロップのフォントについて調べる術がなかったし、そもそも急に出会うので、後で調べようと思ってそのことをすっかり忘れてしまう。
見かけて、あっと思って、忘れて、また見かける。

そしてついにその名を知るのである。
「UDデジタル教科書体」
え!!!教科書体じゃん!!!

もしかすると、教科書体で統一の本校でも使えるかもしれない。
調べてみると、UDというのはユニバーサルデザインのことで、弱視や読み書き障害の人でも読み取れるように配慮されたフォントらしい。グッドデザイン賞まで受賞している。
そして何より、丸ゴシック以来の可愛さである。(自分的に重要)

それが分かり、早速学校のwordで文書を作ろうとした。
が、しかし…入っていないのだ。UDデジタル教科書体が。
なんと、このフォントは2016年に作られたもので、学校のパソコンには入っていなかったのだった。そして、学校では勝手にダウンロードすることはできない。。。

えええーーー、使いたかったなぁ。

こうして、私のワクワクは一時のものとなり、その後すっかり忘れ去られた。




先日、不登校支援のために行っている中学校で、その日の来室がなかった。閉店ガラガラである。
何をしようかと相談すると、「不登校支援教室を外部に紹介するための文書を作ってみてくれ」とのことだったので、パソコンをお借りして作業することになった。久しぶりの事務作業。

そこに…あったのだ。UDデジタル教科書体という選択肢が。
初恋の人に再会したような気持ちで(笑)、それを使って文書を作成した。何だか可愛いものが完成した。

なんだかここまで書いていて、たかがフォントのことでこれだけ文章書けることにびっくりしてしまった。

だけど、文字の見せ方だって伝え方の一つ。たかがフォント、されどフォント。こだわってみたっていいじゃないか。


#教員エッセイ
#フォントへのこだわり
#特別支援教育

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