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終身雇用崩壊とマネジメント

数十年前では当たり前だった終身雇用、年功序列の崩壊。

トヨタでさえ、「終身雇用を守るのは難しい」と発言をしており、企業側のインセンティブがない以上、ただ終身雇用をやめるのではなく、マネジメントのやり方の大幅な見直しが迫られてきています。


転職が当たり前の時代というだけでなく、今や働き方も多様。起業も増えたし、フリーランス人口の増加、リモート勤務等も当たり前になってくると、企業側の終身雇用を掲げるメリットもあまりなく、"インセンティブがない"という表現をされてましたが、確かにその通り。

実際に終身雇用できなくなりましたと宣言したからといって、急に解雇ができるわけではないし、そもそもの根底は新卒一括採用の弊害だったりするので、これから手をつけなければいけないのは、マネジメントのやり方を見直すことでしょう。


◼️教えすぎの功罪

さて、
下記のパターンのような経験をした30代後半以上の方は多いのではないでしょうか?

パターン1(聞いても教えてくれない)

部下 「すみません、この部分を教えていただきたいのですが」
上司 「人にばかり聞いてないで、自分で考えろ。」

パターン2(違うとしか教えてくれない)

部下 「先日支持された資料を作成しておきました」
上司 「...。ダメだ。明日までに直しておけ。」
部下 「あの、どこの部分がダメだったのでしょうか?」
上司 「いいからダメだ。自分で考えろ。」

もちろんこれ以外に、聞かないと教えてくれなかったり(秘伝のタレ的な)、だからはお前はダメなんだよと罵倒のケースもありますが、そもそも上記のようなコミュニケーションは、"上司が答えを持っている"という前提で成り立っています。

日本経済が順調に右肩上がりをし、企業も売上が増え、人も増えている。過去の成功体験をそのまま継続すれば、かなり高い確率でうまくいく時代はそれでよかったかもしれません。

しかし、今やグローバルで戦う時代。遠い未来なんて見ることが難しくなり、過去の成功体験は一切通用しなくなりました。最後まで勤め上げる社会人は大きく減り、上司が部下に対しこのようなマネジメントをしている限りは、その企業は衰退を免れません。


◼️丁寧に教えることが思考を停止させる

一方、上記のようなマネジメントを経験してきた世代の人は、自身がマネジメントをする立場になったら、味わってきた苦しみを部下にはさせたくないとして、丁寧に教える人も増えてきました。

一から十まで教える。
マニュアルも整備する。

これで誰でも一人前になれるという仕組みを作り、日々のオペレーションをうまく回せるようになった経験を持つ上司も多いと思います。

しかし、丁寧に教えることによる弊害も存在します。

それは、一度一から十まで教えて動くことを味わうと、
・教わらないと動かない
・思考停止して自分から考えない
という人たちが一定数出てきます。

そして何よりも、丁寧に教える=誰にでもわかるように教える、という式になるため、教えられる側が自分で考える楽しみがなく、もっと裁量権持ってできるとか、成長できるとか思っていたことと乖離することも出てくるようになります。


◼️上司は型を教えよ

教えないのはダメ、教えすぎてもダメ。
じゃあどうすればいいんだ!となってしまうのも無理ありません。

新卒採用においても、10年以上前には「何も知らなくてOK!」だったのが、今やプログラミングを既に勉強してアプリ作ったり、起業経験を持った学生も増えたため、よりできる学生とできない学生の差が開いてきています

そうなると、上司がすることは、
きっかけを作ってあげること
です。

私は昔バレーボールをやっていましたが、オーバーハンドやアンダーハンドのパスは、見て覚えるより、型を教えてもらって真似してもらった方が確実にうまくなります。そして、最初に間違ったやり方を学ばない方が、結果的に先のレベルに行けるということを原体験しています。

実際に、オーバーハンドパス一つとっても、5本指でやる人もいれば、小指を使わず4本でやる人もいます。手首の返しも斜めに開く人もいれば、縦にやる人もいますし、セッターとかなら、バックパスをするために、一般的なオデコの位置より少し高めで受ける人もいます。

つまり、型を身につければ、あとはそこからは勝手に能力は開花していきます。上司が、部下に一から十まで教えて、成長限界を勝手に設定してはいけません。上司は部下に自分を超えてもらうようにマネジメントしなければならないのです。

たまたまバレーボールを例にあげましたが、大事なのは型です。

これから団塊の世代が一気に退職を迎え、技術伝承が問題になっておりますが、そもそも見て覚えさせたり、職人が自分の技術を言語化できないのも問題の背景の一つです。

教えないのはダメ、教えすぎてもダメ。
上司は型を教え、部下が伸びるきっかけを作ってあげることが大事です。

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