百歳まで生きれば絶対良いことがある

 約百年以上も昔のとある作家の話をしよう。

 彼は「弱者でも活躍できる」という思想の下、社会的弱者を主人公とした小説を書いたが、活動当時は周りの人びとから酷評された。

 それでも彼は四十歳の時、「百歳になる頃にはきっと良いことがある。百歳まで生きていれば、そのうち絶対に良いことがあるはず」と信じ、めげずに作品を描き続けた。が、結局死ぬまで評価されたことは一切なかった。

 彼は七十歳で亡くなった。あと三十年生きていれば、良いことがあったかもしれないのに。

 彼の死から三十年後、ようやく彼の作品が評価され、社会で取り上げられることが増えた。

 彼は七十歳で亡くなったが、それから三十年後には彼の言葉の通りに良いことが起きていた。彼の作品が評価されたのもそうだが、昔よりも弱者に優しい社会になったのだ。

おわり

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