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こだわりページ探訪:牡蠣編

こだわりページ探訪、第2回の食材は「牡蠣」です。
牡蠣って魅力的な食べ物ですよね。中でも、オイスターバーでいただくぷりっぷりの生牡蠣はたまりません。
ただ、生牡蠣って「あたる」可能性を常に孕んでいるので、それを覚悟の上で食べることになります。「あたっても牡蠣だからしょうがないよね」という暗黙の了解があるものの、リスキーな食材であることに変わりはなく、それを提供する生産者はどのような思いで牡蠣を育てているのでしょうか。きっと、「美味しくて安全な牡蠣」を私たちに届けるために、たくさんの「こだわり」を持って生産されているんだろうと思います。

では、さっそく見ていきましょう!

■堀口海産さん

1. 殺菌システム

紫外線流水・マイクロバブル併用殺菌システム」という、今まで聞いたことのないシステムを使って殺菌しているそうです。これまではカルキで漂白殺菌していたから牡蠣の風味が損なわれたり水っぽくなったりしていたところを、このシステムで殺菌すると、牡蠣が新鮮で、嫌な匂いもしないとのこと。
紫外線で殺菌された海水の浄化プールの中に牡蠣を入れて、マイクロバブル装置でとーっても細かい泡を発生させて、泡の力で牡蠣の汚れを取り除く仕組みのようです。確かに、カルキで漂白するよりも断然良さそうです。

その下に、「通常のかき」と「堀口のかき」の違いの比較があります。こういうのがあると、差別化ポイントがわかりやすくていいですね。

牡蠣が苦手な子供でも、カルキ漂白の嫌な臭いがしないから美味しく食べられるということもアピールポイントのよう。ただ、子供ってそもそも牡蠣ってそんなに好きな食べ物でもない気がします(産地のお子さんはみんな好きだったりするのかなぁ)。カルキ臭さもあるかもしれませんが、牡蠣の内臓の部分の味が苦手なんじゃないかな〜と思います。

2. 打ち子の技術力

牡蠣の殻から身を取り出すことを、「牡蠣打ち」と呼ぶそうです(初めて知りました)。牡蠣打ちをする人を「打ち子」と言い、牡蠣の身を傷つけずに丁寧に取り出したり、品質の悪いものを選別したり、牡蠣に付いた汚れを落としたりと、まさに牡蠣の商品としての品質を担保する人と言えそうです。
大量生産の工業製品であれば、機械的に処理して品質を担保することも可能かもしれませんが、何一つとして同じでない生の牡蠣を機械的に処理するのは難しい・・・だからこそ、人の力が必要なんだなと思いました。工業製品であれば、と書きましたが、工業製品であっても機械で実現できない職人技が求められることがありますね。ただ、職人技ってかなり時間をかけないと習得できないものですから、スピードを重視する現代においては「すごいかもしれないけど効率が悪いもの」なのかもしれません。だから、経営者の強い意志がない限り、職人技って消えていってしまうものなのかな・・・と思いました。その点、堀口さんは牡蠣の品質確保のために打ち子の研修に力を入れているようですね。

3. クール便で当日発送、各種試験実施

生産者が直接販売しているからこそできる当日配送で、新鮮な牡蠣をお届け。
品質担保という面で各種試験を実施していることも記載されていますが、この二つは内容的に別物なので、別々に書いても良さそうだと思いました。

ここでこだわりの説明は一通り終わりかと思いきや、ページの下に「旨さの秘密はここにある 4つのこだわり」という内容があります。この部分がとても魅力的なデザインなので、こだわりページの最初にまずこれを見せて、その後に、殺菌システムや打ち子の技術などのこだわりを説明していった方が、読者の心をより一層掴めるのではないかと思いました。

■勇和水産さん

まず、「旬は一年中」という見出しに驚かされます。牡蠣って、英語でRの付く月が食べ頃だったような・・・でも、独自の冷凍技術で一年中生で食べられるとのこと。

その下を見ていくと、「親子三代で守る美しい里海」の文字が。
生産者のご家族の笑顔が眩しいですね。
海の清掃活動や、次世代の漁師の育成にも力を入れていらっしゃるようです。

この後が「こだわり」の本番。

1. 育成環境

牡蠣が育つ北木島の海域には、一級河川などの河口がなく、生活排水などによる海洋環境汚染がないそうです。過去18年間の水質検査や、抜き打ちの固体検査で一度も異常が出ていないとのこと。これはかなり好印象ですよね。とてもきれいな海水で育った品質の良い牡蠣をいただけるんだな、という期待が持てます。

2. 安全性

月4回の水質検査、一般的には月1回のところ週2回の頻度で実施している個体抜き打ち検査、そして出荷前滅菌処理を実施しているとのことで、品質確保に力を入れていることが伺えます。

こだわりポイントの数は以上の2点ですが、Webサイトの作りがきれいで、全体的に良い印象だなと感じました。

■米田海産さん

漁船のクレーンに吊られている長〜い牡蠣の画像。その後に書かれている「ごあいさつ」を読むと、米田海産さんの創業が1907年で、今年で創業115周年を迎える老舗であることがわかります。2011年には、米田海産さんの牡蠣が、「ザ・広島ブランド」という広島市が認定するブランドに選ばれたとのこと。伝統と実績があることが伝わってきます。

その上で、5つのこだわりについて説明されています。

1. 広島湾の種ガキを使用

広島の牡蠣にこだわりを持っている米田海産さんは、広島湾で種ガキを採取しているそうです。他県の種ガキを使う生産者も多い中、広島のブランドにこだわる姿勢が伺えます。

2. 恵まれた漁場

美味しい牡蠣を作るために良質の漁場の確保に努めてきたと書かれているのですが、具体的な内容がないので、もう少しその取り組みや、漁場の環境について書かれていると良いと思いました。

3. 県内トップクラスの生産量

生産量が多いと何が良いのか。生産量が多いことと品質の良さは、別問題ではないか・・・そんな疑問に、こう答えてくれています。牡蠣が豊富にあるということは、贅沢に選別できるということだから、その中で粒よりの牡蠣を提供できるのだと。よく、良質なアイデアを生み出すコツは質よりも量だ、みたいなことが言われますが、その考え方と似ているような気がします。これとは逆の考え方で、少数精鋭的に最初から質にこだわっている生産者もいると思います。どちらが良いということではありませんが、量の力は無視できないと思います。

4. 鮮度

牡蠣をむき身にした後すぐにパック詰めして、余分な流通経路を省いて商品を提供しているそうです。具体的にどのような流通経路にしているのか知りたいところではあります。

5. 加熱しても元の形を保持

牡蠣は加熱すると縮みますが、米田海産さんの牡蠣は一連の工程の中で海水を使用し、牡蠣の塩分濃度を維持。それによって、加熱しても縮みにくい牡蠣になるそうです。牡蠣を提供するお店にとって、味はもちろん大切ですが、見た目の良さも大切な要素になります。お客さんに「美味しそう」と思ってもらうためには、見た目の良さが欠かせません。そういうニーズにもアプローチされていることがわかります。

牡蠣に対する生産者さんのこだわり、いかがだったでしょうか?
牡蠣、食べたくなってきましたか?
今度牡蠣をいただく際に、こうした生産者さんのこだわりに思いを馳せると、より美味しくいただけると思います。

次回は、鯖寿司のこだわりページ探訪をしようと思います!
もう少ししたら、ハンバーガーとか牛丼とかラーメンとか、もう少しメジャーどころに寄っていく予定です。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!