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のびしろ

今日、一つ歳を重ねた。
「不惑」と呼ばれる歳になり、6年が経つ。
しかし不惑どころか、戸惑ってばかりの日々だ。考え方や感じ方などすぐ変わる。だから今の気持ちを遺しておこうと思って、noteを書いている。

私は39歳のときに生きていて一番辛いことがあり、そこからなんとか這い上がることで、かなり考え方が変わったし、自分は生まれ変わって第二の人生を送っていると思っていた。
だけどやっぱり当時の気持ちをそのまま持ち続けることはなく、考え方は変わってきている。

よく歳をとると丸くなると言うが、私はまったくそんなことはない。
嫌いな人はたくさんいるし、許そうなんて思わない。
先日「星野源のオールナイトニッポン」で星野源さんとオードリー若林さんが、嫌いな人なんてまだたくさんいるという話をしていて、私だけじゃないんだと少しホッとした。
私の好きなあるミュージシャンは、歳とともに丸くなっていき「この歳になると嫌いな人とかいなくなる。本当にこの業界良い人ばかりなんだよね」と言っていた。それは彼の本音だと思うし、彼がそう思うならそれでいいし、それで彼のことを嫌いになったり、彼の音楽を聴くのをやめようとは思わないけれど、この件についてはいくら好きなミュージシャンが言ってることでも、それは私の考えには当てはまらないなと感じた。
尖っていたり斜に構えてるのが格好いいとは思わないけれど、私はずっとそういう性格なんだから仕方ないと思う。わざとやっているのではないのだ。そんなの格好悪いと素直に優しく、いわゆる「良い人」になってしまったら、自分の生き方と反していて違和感でいっぱいになってしまうだろう。

9月1日にCreepy Nutsのアルバム「Case」がリリースされた。そのアルバムがとても良かったので、その中の曲と今の私の気持ちを少し重ねて綴ろうと思う。

「Case」の中に「15才」という曲がある。これはR‐指定さんが15才の自分に向けて歌ってる曲だと思う。

ゆがんで見える鏡の前
Tell me why?or Make me smile Shalalalala…
Any time
出口の無い袋小路かい?
Tell me why?or Make me smile Shalalalala…
眠れない。
そんな血走った目で俺を睨むないつかの15才…
その息苦しい 世界は今ここと地続き

「15才の息苦しい世界と今は地続き」。少し前の私なら歳を重ねれば重ねるほど、生きるのが楽なると思ってたし、若い子にもそう言ってきた。
それは嘘ではないけど、歳を重ねた分上手く生きる学習をして行ってるだけで、基本的に生きることは苦しく孤独だ。

15年先の未来 まだ逃げ切れない
開きすぎたページに本当の顔は見当たらない
おまえが欲したいくつかを手に入れて
おまえが嫌ったいくつかを身につけて
おまえが願ったいくつかを諦めて
おまえと誓ったいくつかを忘れてる。

よく「汚い大人にはなりたくない」と言う若い子がいる。私もそう思ったことがあるかもしれない。でもそのときのピュアな心を持ち続けてることは不可能だったし、はっきり言ってそんなこと言ってるのは甘いと思う。
もし若い頃のピュアな心を持ったまま生きるのであれば、発狂するしかないのではないのか?だから自分の身を守るためにも、狡いことも覚えていかないといけない。
自分の芯の部分、変えられない部分もあるけれど、変えなきゃやっていけないこともある。
それでやりくりしてるつもりなのに、まだ私は不器用でコスパの悪い生き方をしている。

また「Case」に「のびしろ」という曲がある。
これは9月10日にちょうど30才になったRさんが、大人になってもまだ覚えたいこと、知りたいことがたくさんあると歌ってる曲で、私はRさんがこういう風に考えてることがとても嬉しかった。
これは完全に私の考えなのだけれど、Rさんは本当に繊細で純粋な人で、人より何倍も傷ついてきたと思うしこれからも傷ついていくと思う。生きるのも人より何倍も苦しいと思う。好きな業界に飛び込んだけど戸惑うこともたくさんあっただろう。でもその苦しみよりヒップホップを好きな気持ちの方が大きいから、発狂せずにここまで来れてるのかなと思う。

やっと分かって来たかも
このポンコツの操縦の仕方を

私がこの気持ちになれたのは、Rさんより10年遅い40才のとき。

脂乗りに乗った 濁った目した だらしない身体

濁った目になっても、脂がついて腹が出てきても、皺が増えてきても、それでもまだのびしろがある。
つらつらと今の気持ちを綴ったつもりだったけれど「のびしろ」が全部代弁してくれていた。

新しい歳、近いうちに勝鬨橋を一人で渡ってみようと思う。


あなたのたいせつな時間を使って見ていただき、ありがとうございます◡̈ ⋆* 私のnoteがあなたの心にやわらかく触れてくれたら嬉しいです𓂃𓈒𓏸