初恋の話
初恋、それは誰もが立つ事になる恋愛のスタートライン。
私がそのスタートラインに立ったのは生まれてから9年後、小学3年生の時。
当時、どの女の子よりも男勝りな性格をしていた私はお昼休みになると決まって外に飛び出して鬼ごっこやらドッヂボールをしていた。
そんなある日、ふと1人の男の子を目で追っている事に気がついた。
その男の子は背の順で並ぶと必ず前から2番目をキープしているくらい小柄で細身だった。
例えるなら幼い時のハリーポッター。
額にイナズマの傷があるわけでもなく、顔がカッコよかったかと言うとそうでもなくて、どちらかと言うと女の子のような可愛い顔をしていたと思う。
そんな彼を好きになった。
初めて抱いたこの感情を1人で抱え込む事が出来なかった私は女の子の友達に話した。
すると瞬く間に噂は広がった。
さすが小学生、仕事が早い。
数日後、家に一本の電話がかかってきた。
お母さんが受話器を取り5分ほど誰かと話した後、電話を切り私に言った。「明日学校に着いたら机の中を見て欲しいみたい」電話の相手はなんと彼のお母さんからだった。
次の日、ソワソワしながら言われた通り机の中を覗くと一通の手紙が入っていた。周りにバレないよう女子トイレに駆け込み、手紙を開くとそこには
“ ありがとう、ぼくも好きです。” の文字
恐らく友達を通じて私の気持ちを知った彼からのラブレターだって事はすぐに理解した。
その日は出来るだけ普通に過ごし、家に帰った。私はすかさずレターセットを取り出してラブレターの返事を書いた。
“おてがみありがとう、わたしも好きです。”
今思えば他に書く事あっただろうとツッコミを入れたいくらにシンプルな文章だ。
次の日、少し早く家を出て学校へ行き、同じように彼の机の中に手紙を忍ばせた。
特にこれといった反応は無かったけど、次の日にはまた手紙が入っていた。
それから何回か手紙のやり取りが続いたけれど、当時付き合うという概念がなかった私たちはそれ以外何もなく、ただ時間だけが過ぎた。
そして訪れた年に1回行われるクラス替え。
運の悪い事にそこから3年間一度も同じクラスにはならなかった。
お互い恥ずかしかったのか、話すこともなく小学校を卒業。中学校は別々。そのまま高校に上がる頃には自然と彼への気持ちは無くなっていた。
こうして私の初恋は幕を閉じた。
今となっては懐かしい、過去の話。
彼はどんな大人になったんだろうか
時々気になってしまうのはここだけの秘密
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