見出し画像

胃瘻造設~医師の見解~

前回、胃瘻についての記事を医療情報サイトに掲載した文章を載せたと思います。

その記事に対して医師からコメントを頂きました。
医師それぞれの見解です。

栄養を付ければ口から食べれるようになるかもしれない


胃瘻はせずに経鼻栄養や中心静脈栄養を行うというのはナンセンス。
まずは胃瘻造設するのかしないのかの二択ではないだろうか。
胃瘻を作らない場合、栄養不足で衰弱していき遠からず亡くなると予測されます。もちろん肺炎の再発によって急速に消耗する可能性もあります。
胃瘻にしたからといって肺炎に罹らなくなるわけではないが、頻度は減らせる可能性もあると思う。栄養をつければ抵抗力も増すことが期待できる思う。
もし「もう一度、口から食べられるようにしたい。」ということだったら私は「それなら胃瘻を作ったほうがうまくいく可能性が高くなりますよ。」とお答えします。胃瘻によって必要な栄養を確保することができるからです。
十分な栄養が摂れるようになると見違えるように元気になる方をしばしばいらっしゃいます。もちろん、胃瘻を作らず自然な経過でお看取りするのもありだと思います。


胃瘻のメリット、デメリット


胃瘻が諸悪の根源みたいに印象付けられているが、鼻腔から管を突っ込まれてさえいなければ、手を括り付けられることもなく、少しでもその人らしい生き方ができるのにという場合があります。
 顔に何か邪魔なものがあったら取り除きたいのは当たり前で、でも自己抜去によって窒息したり肺炎になったり、再挿入が困難だったり、誤解を恐れずいえば面倒だったりするから手を抑制されます。
 胃瘻なら衣服で隠すことができます。顔も、その人のまま。外に散歩をしに行っても、今までと何ら変わることはありません。鼻から何かがはみ出している顔を晒して外出したいと思うでしょうか?(勿論、その思いを抱えながらも、そうせざるを得ない方がいることは承知の上です)  患者の状態や背景にもよるけれど、死なないだけなら鼻腔もいいだろう。しかし、最期まで『生きて』ほしいとき、抑制されたり、風貌が変わったりしてしまうことは、『生ききる』ことの質を下げることにつながることがあるのではないかと思います。


説明の仕方に問題があったのでは。。。


胃ろう、云々というより、話し方、伝え方のほうに家族があまりよくない感情を抱かせる要因があったのではないかと思います。 選択肢としては、経口±補液、高カロリー輸液、経鼻胃管栄養、胃ろうなどあるが、本人、患者、医療者で話し合い選択するしかないわけで、今回の結論そのものが批判にあたるとは思えません。


胃瘻をすることが悪いことなのか


また胃瘻悪者論が出てきました。 胃ろうは人間的ではないという事は同意しますが、その対案がないので、どこかの政党の様な主張に見えてなりません。 胃瘻か死かという選択肢で話を進めていただきたいです。 胃瘻しないでなんとか経口摂取で人間的に、それでいて誤嚥性肺炎を起こさず在宅で生活する。 その方法が知りたいです。


緩和ケアの経過も医療行為


おそらく多くの施設で誤嚥による肺炎を繰り返す高齢者に対して、胃瘻や中心静脈栄養等が“医療”として行われているのが多数派であると思うが、本当に正しいことだろうか?
(医療行為を行うことで、病院および施設が利益を得ているのはある)

しかし、私個人としては意思表示ができず、食事摂取ができる見込みがないのであれば、点滴をしなければならないのではなく、点滴等を中止し緩和ケアとして経過をみるというのも一つの医療行為ではないかと思う。 実際のところ本人の余命がどの程度かも医師は予想できないと思われます。医療行為を押し付けるのではなく、様々な選択を模索し、患者にとって、ベストなチョイスをするのが、医療機関に取って利益にならなくともするべきであると思います。 その結果必要のない、介護等がなくなり、介護に追われるといったこともなくなるのではないかと期待したいです。


もっと話し合うべきだ


もっと、話し合うべきだったと思います。
家族の思いにもっと耳を傾け、あなたの思いももっと伝え、良い方針を医師なんかほっといて決めればよいのです。そのうえで、家族とともに医師と話し合いましょう。医師は、家族の意思にはさからえません。 そうすれば、「上から目線」とか「評論家」といった批判は受けません。主治医にもひそかに感謝されこそすれ、うらまれることはありません。 患者や家族の本音の話を聞けることは大変ありがたいことです。


嚥下評価をきちんと行う


嚥下やってる耳鼻科医的にはもう少しきちんと嚥下評価やら訓練やらをしてほしいところです。 きちんとした評価をした上での胃瘻なら場合によりやむを得ないかなと思いますが、実は他にやりようがあったのにという例が散見される状況なのが残念です。 もしどうしても食べたいなら誤嚥防止手術なんてのもありますしね。




7人の医師が私の記事に対してコメントしてくださいました。
それぞれの立場や経験でご意見を聞いて非常に勉強になりました。
その頃の私はこんなに多くのコメントを頂くなんて思ってもいなくて驚いたのを覚えています。
医療者の私でさえ、仕事でも自分の親の介護でもこれで良かったのかと思うことはたくさんありました。
医師のコメントに驚いたのと同時に励まされ、いろんな角度から意見や思いを聞いて選択肢が広がったように思います。
親の看取りについて悩んでいること、困っていること、知りたいこと
参加者で共有しながら、少しでも問題や悩みが解決することが出来たら嬉しいです。


親の看とり意見交換会
12月3日(土)14:00~16:00
ZOOM


お申込みフォーム


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?