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久しぶりの帰省で分かる親の介護状況

年に一度はご両親に会いに帰省する方は多いと思います。久しぶりの再会でご両親の変化に気づく方もおられると思います。家の中を観察しご近所の方とお話してみて下さい。何か変化はありませんか?
私の母親の変化と対策をご紹介します。


1,久しぶりに帰った実家で気づくこと

母が介護サービスを活用していない時は6ヶ月、または1年に一回の帰省ペースでした。
たまに帰ると家具の配置が変わっている事があり身体機能が維持出来ている事と一人で工夫している様子が分かり安心していました。

ある時タンスに、下着、タオル、ズボンと書いているシールが貼ってあることに私は驚きました。母の物忘れが始まったころでした。
私も物をどこに置いたか分からなくなる事はごく稀にあったのでその程度だと思っていました。いや、そう思いたい気持ちでした。しかしそれが認知症の始まりでした。

母が他界しタンスの中を整理していると、何枚も下着が出てきました。こんなに必要なの?と驚くぐらいの量でした。また、働いていた頃表彰された感謝状なども見つかりました。その存在を知っていたら母と共に喜び、称えることが出来たのにと悔やまれてなりません。
今となっては遅いのですが、年始の挨拶に帰るのを喜んではくれましたが、関係のない時期に帰って、家の整理整頓を手伝ったり、思い出の品を目の前にして若い頃の話を聞いたり母の生き方や価値観に触れる機会を多く持つようにすれば良かったと思っています。

せっかく実家に帰ったのに時間を無駄にしたように感じるかもしれませんが親の状況を把握する為にもたまには思い出の品々に触れながら整理整頓をすることをお勧めします。


2,家に物が溢れている意味は


母は整理整頓が苦手な人ではありませんでしたが、見えるものを隠すのが上手な人でした。タンスからは沢山の衣類や趣味で使用していたものが押し込まれていました。
反対に食卓や床に物が散乱しているご自宅もあります。
自分が良くいる場所が食卓だとしたら薬、本、新聞、郵便物など手が届く場所に置かれていませんか。
その理由は動くことが億劫になってきている、体の活動性が低下している、つまり筋力が衰えている事を意味します。もしかしたら膝が痛くて動きづらいのかもしれません。
ここでひと工夫しましょう。
食卓にあるのは低いテーブルですか?
足のあるテーブルですか?
椅子は使用されていますか?
椅子は低くないですか?
低いテーブルならば親の意見を聞いて椅子を使用するタイプのテーブルにしてみましょう。
椅子を使用するのなら膝の高さよりほんの少し高い椅子を選びましょう。
立ち上がりやすくなります。
低いテーブルのままだったら畳用の手すりを活用する事をお勧めします。
動きづらいままだったら筋力低下は進んでいきますので少しの工夫が必要です。

もう一つの理由は認知症が進んでいるのかもしれません。
認知症は短期記憶障害ですので
物をどこに置いたか分からなくなるという特徴があります。
古い日付の薬が残っていないでしょうか。薬はお薬カレンダーの活用をお勧めします。



物の整理は大きめのボックスを活用し物を置く場所に物の名前を表記し、時計はカレンダーが一緒になっているタイプを活用するのもおすすめです。
一人暮らしのご両親ですとやはり介護サービスの導入が必要です。頻繁に見守りの為帰省できませんので訪問サービスなどを活用する事をお勧めします。


3,友人の悪口を言い始めた時の対応


母は芯が強く人思いの優しい女性でした。ある時母が親しい方の悪口を言い始めたのです。
私は耳を疑いました。長い付き合いだから色々な時期があって当然だし何かの思い違いだと思っていました。
またある日母の話を聞いていると、今度は違う方の名前が出てきます。自分は仲間外れにされている、そういう内容でした。
年を重ねていき体が思うように動かせないことで、若い時の様に物事が思い通りに進まないと不安を抱き家族や社会から必要とされなくなり疎外感を感じてしまいます。
それが周囲への反発となって被害妄想として現れ「私は悪くない、私は何もしていないのに相手が悪いのだ」とそういう言動が出始めます。

このような言葉を聞いたらどのように対応したらよいのでしょうか。
「そんな訳ないよ」と否定するのではなくその言葉の奥にある寂しさや不安をくみ取ることが大切です。
ただ話を聞くだけで良いのです。「そうなんだね、辛かったね」と共感的な対応をする事が大切です。


4,遠くの家族より近くの他人

久しぶりに帰省した時はご近所の方にも是非挨拶してください。
「いつもお世話になっております、母の様子は変わりないでしょうか。」

長年実家を離れていると、今更ご近所づきあいも少々面倒な気持ちも湧いてきますがここは状況把握のためと、今後もお世話になる存在ですからきちんと関係性を継続しておきましょう。
私の母の場合、大腿骨の骨折をしてから活動量が低下する事を懸念していたのですが、ご近所の方の情報だとほぼ毎日近くのお店に歩いて行っていたそうです。それを聞くと嬉しくて安心したことを思い出します。
また、近所の方が転倒しているのを発見して下さったのがきっかけで病院へ行くことになり骨折が判明しました。
遠くの他人を頼っていた私ですが、認知症の症状が出始めてからは毎日電話していました。会話は同じことの繰り返しですが、声を聴くとお互いに安心して「ありがとうね~」の言葉で電話が終わります。
これは亡くなる5か月前まで続きました。難聴と携帯電話の使い方が分からなくなり、母との会話が楽しめなくなったのでした。


5,おわりに


ご両親と離れていると心配な事が多いと思いますが、少しの変化を察知しスムーズに介護サービスに繋ぐことが大切です。ご近所さんも頼りにしながら一人で抱えず介護体制を考える事を提案します。


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