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新しい日本絵画の創造ー”Nihonga”の新たなステップ。ポーラ美術館

こんにちは。

ピアノ講師、メンタルコーチとして活動しています。
「One Heart」です。

梅雨明け直後、すでに暑い箱根に行ってきました。

旅行が主な目的ですが、仕事も少しあり。

今回は、「美術館めぐり」が主なテーマ。

今日は、「日本絵画」の革新をテーマにしたポーラ美術館の展覧会について書いてみたいと思います。

♡・*:.。 。.:*・゚8月8日(火)追記。
多くの方に読んでいただけて本当にうれしいです。

こちらのnoteは、以下のマガジンにピックアップしていただきました。
本当にありがとうございます。

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2023年7月15日(土)〜2023年12月3日(日)
「シン・ジャパニーズ・ペインティング 
革新の日本画 横山大観、杉山寧から現代の作家まで」

「日本絵画」といえば、わたしは伊藤若冲や葛飾北斎がイメージとして浮かんでくるんですが(知識が浅い・・・汗)、今回の展覧会は「日本画」がテーマのようで、これは明治期以降に定着した概念だそう。

となると、上の2名の画家さんはもっと前に活躍した人なので、今回の展覧会のテーマには当てはまらないんですね。

日本画は、日本の伝統的な様式を汲んだ絵画である。明治期に洋画が発展するなかで生まれた概念。多くは岩絵具や和紙、絵絹などの伝統的材料や技法が用いられる。彩色画と水墨画に分けられる。

Wikipediaより

日本の絵画は、対象が遣唐使たちから貴族、武士、庶民へと楽しむ対象が変わっていったようです。

そう考えると、クラシックの歴史も同じ道筋をたどっているなぁと思います。

クラシックの場合は、教会からはじまり、宮廷や劇場へと広がっていきました。そしてベートーヴェンがそれまでの貴族の娯楽だった音楽を庶民たちが楽しめるよう変革を起こしていったのです。(ざっくりですが・・・)

話は日本画にもどります。
明治時代にフォロノサという政府のお雇い外国人が来日した際、日本国内で見た日本の絵画を”Japanese Painting”と呼び、それを日本人の通訳が「日本画」と翻訳したことからこの概念が定着したと言われています。

そして、新しく入ってきた西洋絵画が流行する中、フェロノサや岡倉天心たちは日本画をさらに発展させられないかと考え、西洋画の技法を取り入れた新しいスタイルの日本画となっていったということだそうです。

ちょうど明治期といえば、美術史では印象派の時代と重なっていることから、モネやルノワールなどの技法も取り入れられていたのかもしれませんね。

チラシから撮影しました。
横山大観 山に因む十題のうち 霊峰四趣 秋


輪郭のぼやけた感じというのが、まさに印象派を意識した作風になっているような気がします。

また、抽象的な題材なところもつながるところがあるような気がします。

やわらかな感じ、というのが新しいのかもしれませんね。

そして、展覧会後半の展示室では、現代の美術家さんたちの作品とどのように「日本画」と向き合っているのかをテーマに作品と画家さんのメッセージが展示されていました。

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その中でも一番目を惹いた作品はこちら☟

谷保玲奈さん「蒐荷」2020年


力強さと息づく生命を感じました。


展示室ではこんな感じで画家さんご本人のメッセージが・・・。
とても細やかな筆使いの中に、鮮やかさと品のよさを感じ、花というはかなさから命の尊さすら感じるとても美しい作品に出会えて、感動・・・。


谷保さんは現在、武蔵野美術大学の非常勤講師をされていて、ご自身でも創作活動を意欲的にされています。

2020年に、メキシコへ絵画研修へ行く予定がコロナ感染防止のために断念となり、制作への意欲が消えてしまったそんな時期に、こんな時代だからこそできることがあるのではないかとアイデアが浮かんできたとのことです。

この作品は、連作であるもうひとつの作品「共鳴」と一緒に横浜市内にあるお寺に展示されていたとのこと。
自然の光が差し込む開放的な空間が気に入ってここに展示したいと考えられたそうです。

海外に行かずに日本に留まったことで、あらためて日本画と向き合う機会となり、それが原動力となって力を注ぎ込んだ作品が「東山魁夷記念 日経日本画大賞」という大きな賞を受賞することになり、とても意味のあるできごとだとインタビューで語っていらっしゃいます。

✧˙⁎⋆インタビューのページはこちら☟
多摩美術大学のHPです。


言葉や人、できごとなどこの世のものは、諸行無常、だとおっしゃっているような気がします。

音楽は”時間芸術”といわれていて、時間の経過がそのまま”作品”となるわけなんだけど、絵画はそうではなくて、”ドン!”と作品が目の前に存在していて、そこからインスパイアされるものを感じる、みたいなもの。

でも、”いま”観た感じと、半年後に同じ作品を観た時の感じは同じではないんですよね。

だから、そこにあるすべてがそこで完結しているわけではなくて、その時その時感じているものが微妙に違うのが、興味深いところだなーと思います。

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「蒐荷」という作品を観た第一印象は、”細やかで美しいー”でした。

色使いが巧みで、植物がまるで別次元で生きているかのように感じられ、儚さのなかにも、奥深さを感じました。

あじさい、の表現があまりにも鮮やかすぎて・・・。

梅雨の時期に見る”あじさい”ですが、雨やくもりなど少し暗めのお天気の中でこそ華やかさがあるのですが、ピーカンに晴れていても、なんだか引きたつ感じ・・・存在感をすごく感じて、いい意味で圧倒されました。

しばらくその作品から離れられなかった・・・。

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私の中の「日本画」のイメージが大きく変わった今回の展覧会。

あまりにも知識が浅すぎて、若冲や北斎など、あまり多くの色を使わない作品(言い方を変えるとちょっと地味に見える)が多いのかな、と思っていたし、むしろ色は少ない方が日本画らしいと思っていたところもあったのです。

でも時代は変わり、表現方法も変わり・・・、

音楽同様、とても奥の深い世界だなーとあらためて感じることができました。

会期はけっこう長めです。
2023年12月3日(日)まで、ポーラ美術館で開催中です。

箱根にご旅行に行った際に、ぜひ革新の「日本画」に目で触れてみてくださいませー。

今日も”愛”あふれる一日をお過ごしくださいませ。





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