横浜物語 ~前編~


それからも頻繁に連絡をしていた私たち。
気持ちが少し変化しているのも感じていた。
あれから1ヶ月。いや、3週間後のこと。
ふたたび彼と会う日がやってきた。


 
 
2回目は、職場の最寄りまで彼が来てくれた。
仕事を片付け、駅へと足早に向かう。
そこには、変わらない彼の姿があった。
 
「お腹すいた~」
と2人して繰り返し、横浜へと電車に揺られた。
彼は、食への探究心が凄く、その街で自分が1番満足できるお店を探すような人だった。
そのため、この話では、食レポのような部分が多いことも悪しからず。
店までの道中、餃子屋の前を通り過ぎた。
看板の美味しそうな餃子の誘惑にまんまと引っかかり「軽く1杯飲もうか!」とちょっと引き返して、ビールとハイボールで乾杯をした。
 
外に出ると1杯でいい気分な自分に気づく。
仕事の日は少し疲れているため、1杯でほろ酔い女が出来上がる。街を眺めながらお店へ向かう。

そこは、棚にズラ〜とお酒が並んでいて、落ち着きのあるアットホームな居酒屋だった。どの料理も美味しかったが、特に印象的な料理はマカロニサラダだった。冷たい作り置きのものではなく注文後から調理し、見た目はタマゴサラダのような、温かくて懐かしい味がした。
 
「なにこれ!美味しい!」
 
2人してそのマカロニサラダに感動した。
こういうオリジナリティを感じてしまうとまた来たくなる。気付くと、お客は私達だけになっていた。最後にほくほくのコロッケを食べた。
これまた優しい味わいに身も心もほっこりした所で「美味しかったです。ごちそうさまでした~」とお店を後にする。

 
最後に、小洒落たBARの前を通りかかった。
たまにはこーいうのもいいじゃん!てことでカウンターの奥行があるバーへ足を踏み入れる。
その日の気分でお酒をリクエストした。
~グリーン 炭酸 ライム ほんのり甘い~
シュワシュワとした見た目から美味しいお酒を楽しみながら、私の顔も火照ってきた。
この頃に、恋心も芽生え出した気がする。
 
なのにも関わらず、いい雰囲気を壊すように、
酔った私は店を出てツイッターのスペースに参加し出すというマイペースさ。酔っ払うと無神経な行動をしてしまうのが私の悪い所...反省。
 
 
二日酔いだった彼を労るために
今日は優しいがテーマだった。
胃に優しい料理でお腹を満たして
幸せいっぱいでホテルへ向かう。
立派な中華街の門が見えてきた。
夜に見るとまた雰囲気が違って
中華街の文字が神々しくて神秘的だった。
やっぱり2人して写真撮影をする。
 
コンビニに寄って、アイスとチャミスルを買って、やっとホテルに行き着いた。たわいも無い会話をしてまったり過ごしていると、急に彼が立ち上がり、こちらに近づいてきた。

上から覆いかぶさるように彼の唇が触れる
ほんのり甘いすもも味のキス
そのままベッドに押し倒され愛し合う
1回目に会った時とは違い、優しかった
そのまま2人とも寝落ちしてしまい
目を開けたら朝だった。
やっちゃったー。と後悔もしたけど
お互い疲れていたのでしょうがない。
朝は昨夜とは違い、ちょっと乱暴に愛された。
胸元に控えめに独占欲の跡が残されていた。
普段なら怒り心頭だが、
不思議と嫌ではなかった...
 
 
身支度をして目と鼻の先にある
横浜中華街へ出かける。
私は数年前に、横浜に住んでいたが訪れたことはなかった。なぜかと言うと、当時の彼に人ごみは嫌いだし、元カノと行った事あるからと拒否された。まあ、私も若くて未熟だったのでモラハラのゴミ男と付き合っていたこともある。黒歴史だ。だから、初めての横浜中華街にわくわくしていた。

 
時刻は昼前で人もまだ、まばらだった。
お目当てのお店はことごとく閉まっていた。
少し小綺麗な中華料理屋さん「吉兆」は
あさりラーメンが優しい味わいで、スープを全部飲み干したいと思えるほどとても美味しかった。

食事を終え外に出ると、先ほどとは違い色んな人で賑わっていた。その後も2人で半分こして中華料理を堪能した。

「もう腹パンパンだ~」

「私も結構きた〜」

「ほんと?俺はまだ1件はいける」

とか矛盾していることを言う彼。
時計を見るたびに1時間が経過していた。
ちょっと小洒落たカフェ風のお店にて、
小籠包と興味を引かれた黒ごま坦々麺を分け合った。心地いい空間にまったりしていると、帰らなきゃいけない時間が迫ってきた。

 
私は寂しい気持ちが込み上げてきた。
明らかに1回目に会った時とは違う感情だった。
目の前の彼に言う

 
「少しだけ公園にいかない?」

 
「いいよ」

 
中華街を楽しんで解散する予定だったのが
私の誘いにより急遽、延長戦となった。


この後に何が起こるかなんて知らず
近くの海が見える公園へ 歩みを進めた...



続きの物語となっております。
👉後編はこちらからどうぞ!

先に赤羽物語からお読みになることをおすすめします。

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