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 「めでたくも終わり」SF小説

 「めでたくも終わり」
    
 「聞いてよお父さん! ━━━まったくっ、冗談じゃぁないってぇのよっ!」
こう怒りながら、ひとり娘が研究所へやって来た。
「今日は、登校初日でめでたい日だっていうのに、どうしたんだね? ははぁ、さてはまた学校帰りに、どの食べ物屋へ寄るかで友達と揉めたんだろう? ━━━しょうのない娘だねぇ💛」
と、面食らいながらも、苦笑してる父。
「━━━そんな、のんびりした話じゃないわっ! 登校よっ! 学校に行く、電車が問題なのよっ!」
 プリプリ怒ってる娘は、ちっとも要領を得ない。
「時間が掛かり過ぎて、行くのが面倒だとかかね? それなら━━━」
こう、父親が妙に気を廻してるので、娘はヤキモキして口を挟む。
「電車に、痴漢が居るのよっ! 今日から高校生になって、勉強にスポーツに、食べ歩きに一層力を入れようかって燃えてた時に、もぉ最悪よっ! 
どぉしていい年をしたおじさんがっ、いいえ、こんな可愛くてピチピチした娘がいたら、手を出したくなる気持ちは判らなくはないけど、あんな朝も早くから欲情なんかして、ああいう不埒な事をするのかしらねっ!? 
こっちの気分も、ちったぁ考えなさいって言いたいわっ!━━━」
と、ひと息に喋りながらも、恥ずかしかった思いがぶり返ったのか、単に腹が立ってるだけなのか、娘は赤い顔になってる。
「何だってぇっ?! 痴漢が出るだとぉっ!! そんなふとどき者はっ、どうしてやったんだねっ!? ━━━こんなっ、愛くるしい娘にっ、そんな卑猥な事をする奴がいるとは、絶対に許せないっ!!━━━」
父親はこう、一気に激情する。
 「━━━明日からは私が、一緒に電車へ乗り込んでっ、ひとり残らず成敗してくれるわっ!」
と、熱く燃えたぎる父。

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