体験入居から本入居へ。私の背中を押したこの一冊
父が亡くなってから7年。
一人暮らしをしていた母の、認知の低下を私が受け入れて、
通い介護を始めて、約2年。
87歳の母が介護サービス付き高齢者住宅(サ高住)に入居しました。
一週間の体験入居から、そのまま一気に決めてしまいました。
母が「もう一人暮らしは無理そうだから、どこか良いところを探して
欲しい」と言い出したのは、昨年の秋のことです。
当初は、いつもの気まぐれだろうと受け流していました。
何しろ、自分の言ったことなど、覚えているはずがないのですから。
それでも、年を越しても頻繁に繰り返すので、慌てて市役所に相談。
紹介業者がいくつもあることを知って、見学をし始めたのが2月。
すぐに新型コロナウイルスの感染がどんどん拡大して、
そのまま頓挫していました。
そのコロナに依る自粛でストレスが溜まったこともあったのか、
母の状況は、いよいよ厳しくなってしまいました。
いくら言っても、エアコンは消してしまう。
喉が乾かないと言って、水分を摂り忘れる。
一人だと食事をしない(食べられるのですが、食べる気が起きない)。
とても8月の猛暑を乗り越えられないと、見学を再開し、
体験入居させる施設を決めました。
そこから、身を削るような一週間が始まりました。
一度は納得しても、母の記憶は、指からこぼれる砂です。
毎日、繰り返し繰り返し、説得を続け、なんとか夫の協力も得て
当日タクシーに乗せたものの、到着までの15分で記憶がリセット。
「お泊まりするなんて聞いてない!」
荷物を置いて、夕食の時間になり、あとはスタッフの方に託して
帰ってきましたが、胃の中に石を抱えているような憂鬱が消えません。
これが母にとってもベストな選択だったのだ。
私が判断して、決断するしかなかったことだ。
そう思っても割り切れないのが、親子の難しさなのでしょう。
でも、そこで判断を間違うと、親子共倒れです。
もしも私がコロナに感染したら???
一人っ子で、頼れる親戚は皆、高齢者。
母の面倒を見られる人がいません。
『親の介護をしないとダメですか?』
吉田潮(KKベストセラーズ)
フリーライターの著者が、認知症になってしまった父親と
その介護をしてボロボロになってしまった母親をなんとか
救うために奮闘する実録です。
この一冊との巡り合いが、迷う背中を押してくれました。
介護の現実を、情け容赦なく愛も持って語ってくれていて、
〝先輩〟の言葉として受け入れることができました。
施設選びは
「一に金、二にスタッフ(ソフト)、三に設備や立地(ハード)。
介護とは「お金と罪悪感」。
このふたつとどう付き合っていくか、に尽きる。
などなど、介護者の胸に刺さる金言も。
将来、親の介護が不安と思っている方には、ぜひ、早めに読むことを
お薦めします。
私と同じような悩みを抱えている方の参考になればと
母の介護について、少しずつ書いていきます。
むつみ
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