七夕

七夕夜、再び 七夕③


また七夕がやって来る。応答せよ。
惑星探査に向かったままのロケットは、果たして何処にいるだろう。

最早、君が本当にいたのかどうかも、不確かだ。
何かの陰謀で、少なくともあの時の自分に
何か齎(もたら)すために用意された罠。

1年に1度は、想い返してしまう。
七月が来ると思っただけで
六月後半から去来するものに気づかぬ振りはできない。

涙を流す写真の中。
映ってなくても、揺れて涙のラインを描く。
何を撮っても、同じように。
わざと揺らすことなく、勝手に描かれる水彩画。

廃れた宇宙基地に、一機のロケットが不時着する。
砂嵐の中、一人の宇宙飛行士が降り立ち、煙草を吸いはじめる。

その存在しない、ゆらっとした煙がたなびく時
宇宙の彼方で烽火が上がり
私の中で、亡霊のような君が、いまだに生き続けていることを知る。

堪らない。もう、思い出さない。



七夕三部作③

七夕になると、いつも思い出していた。
今年、三部作をまとめて音声化して
もう、区切りをつけようと思ったんだ。
いつまでも引きずらずに、忘れてしまおうって。

だからもう今年は君宛の手紙は書かない。
これが、君を思い出す最終章にするんだ。

いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。