顔たち

映画『顔たち、ところどころ』

シネスイッチ銀座にて、アニエス・ヴァルダ&JRの映画
『顔たち、ところどころ』を観て来ました。

ロードムービーってすきなんです。
脈略もなく旅をしていく過程で、何かに、誰かに出会う。
同じ場所に行ったとしても、時が違えば出会うものも変わる。その偶然。
シナリオはその場で作る。そんなドキュメンタリーな瞬間。

映画監督アニエス・ヴァルダと
アーティストのJR(Japan Railwaysではありません)の二人の旅。
カメラの形のトラック。そのレンズから巨大ポートレートが印刷される。
出会った人たちの「顔」や姿をおっきくプリントして
家や倉庫の壁に貼っていくの。何にでも貼れてしまう糊って凄い。

港湾労働者の妻たちにスポットを当てたシーンが印象的だった。
彼女たちは自らをきちんと保ちながら、夫の仕事を尊敬している。
三色のコンテナに映し出される立ち姿。

アニエスは『シェルブールの雨傘』で知られる
ジャック・ドゥミ監督の奥方でもあったことを思い出す。
また『ジャック・ドゥミの少年期』を掘り起こして観たくなってしまった。

写真、ってめっちゃ大きく分けると
人を撮るか、撮らないかになると思うんだけど
私は人を撮らない、或いは撮れない派なので
人を撮る人、撮ろうとする人は、熱くて敵わないなぁって常々思う。

カメラを向けるのってとても勇気がいるの。
遊びで友人を撮ることはあっても、作品として使うためには撮れない。
撮っても、こっち向いて、じゃなく何処か別のところ向いてる視線に
シャッターを切る。これは性格かな。
だから、この映画は羨ましかった。とても、楽しそうだった。


いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。