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しりとりエッセイ し 椎名


>>>し  椎名

テンションの高い奴は皆に好かれる。
それは陽のパワーを撒き散らしているからだ。
そういう奴の近くにいると自分もHAPPYになれる気がするのだった。

友達の椎名は自分でテンションを上げる天才だった。
彼はよく女の子にフラれた。
えっ、また、今年何回目?
って感じだった。
3か月に一回は告白しフラれていたと思う。
事前に、あの子はダメと教えてやっても
告白するのである。
ようするに馬鹿なのだ。

失恋すると3日くらい、とことん落ち込む
毎日のように姉の好きだったユーミン
それも荒井由実時代の曲を聞いているのだった。
それって親世代の歌ですよ。

とことん落ち込み、もう死ぬしかないよなという
顔面蒼白な顔になるまでテンションを下げるのだった

そして、3日目の夜の12時過ぎると
近くの公園に行く
その時、よく呼び出されるのが友人のK谷だった。

椎名はK谷の前で滑り台に乗る、すべる、乗るを無言で繰り返す。
かなりヤバい奴なのだが
そのうちに独り言を言い出す
だいたい、1時間くらい儀式が進行したくらいだそうだ。

「うれしいな、たのしいな、うれしいな、たのしいな。椎名さいこーーー」
これを100回くらい繰り返す。
気がつくと、彼はハイテンションな「椎名」に戻るのだった。
そして、翌日になると僕や他の友達に後ろから抱きついて
「たの椎名ーーー」と叫ぶのでした。
満面の笑みで。

たぶん、躁うつ病だと思う。
でも、自分で克服してる。
躁の状態になると、心の中から思いが噴出してくるのだと思う。
この椎名の躁鬱のハイテンションジェットコースターに毎度付き合わされる
K谷君に敬意を表したい。

2020 11/5

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