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書評 満願 米澤穂信  短編ミステリーの王道をいった読んで損のない作品群でした。

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米澤さんと言えば、「氷菓」のシリーズがいい。
あの頃から、すでに緻密な計算で物語は構成されていたのですが
本作を読むと、もう、levelが1つ上に突き抜けたのがわかる。

とにかく、面白かった。
夢中でむさぼりついた。少し寝不足になった。
いい、とてもいい。それしか言えない。
再読です。

「夜警」という作品がある。
これは警官の話しだ。
最初に、その男が死ぬことが提示されている。
どうやって死んだのか?。
何故、死ななければならなかったのか?
それを解明する話しなのだが・・・。

なってはならない職業についてしまった人というのが、ときどきいる。
職業のミスマッチです。
この話しに出てくる警官は、警官になってはいけない人でした。
警官になる資質のない人。こういう人はたくさんいて、たいていは職を離れていきます。
もしくはトラブルを起こす。

話しの着眼点がおもしろく、光の当て方も絶妙で最後は少しだけ考えさせられる内容になっています。
これは自分に対する問いの形で返ってくるのです。
自分は?。

「柘榴」という作品は、働かないヒモの夫と離婚して、中学生の二人の娘の養育権を争うものですが・・・
絶対的有利な母親が負けてしまう。その衝撃のラストは前代未聞。「ゲッ、そんなのありかよ」と、思わず壁に向かって叫んでました。

「関守」は、都市伝説を探るつもりが、連続殺人事件に・・・。これもびっくりです。

ミステリーなので、ネタバレは少なく。
とにかく、おもしろいので読んでみてください。


2020 9/17





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