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感想 スフィアの死天使天久鷹央の事件カルテ  知念 実希人  宇宙人の命令で人を殺したという犯人。どんでん返しの連続でした。ただし、シリーズ最低。

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今まで、このシリーズは短編だったのですが、本書は四作目にして初めての長編です。

本作は事件カルテシリーズ。
推理カルテシリーズは短編集。
事件シリーズは長編みたいです。

本書は、このシリーズの一巻の前。つまり0の物語。
小鳥と天久鷹央の出会いが語られているところがいい。
ずっと、これ気になってたんですよ。
一巻では、いきなり2人は相棒になっていたので、出会いの物語がなかったのです。

最初から急展開でした。
宇宙人に命令をされているという患者が自殺する。
二人目の同じ症状の患者が救急救命室の主任の医師を殺す。

真犯人は宇宙人。
さて、真相は・・・。

そこで、その患者が新興宗教の人だとわかる。
宇宙人を神とする宗教。

その宗教に体験入会し奇跡を体験する。
もちろん、その謎も解明します。

この謎解きのキーワードは、馬です。
医学知識に裏付けられた解明編。
なかなかおもしろいです。

しかし、真犯人は宗教の人ではなかった。
という、どんでん返し。

脳をいじった犯人の謎までたどり着く。
悪くはないがシリーズの中では面白さが少し欠けるかと。

小説としては楽しい。しかし、ミステリーとしては、シリーズ最低です。
その理由を述べます。

最大の謎は、犯人が緊急救命の主任である沖田医師をどのようにして殺したのかです。
つまり、あの犯人を洗脳した方法。

これが腑抜けた展開。
この小説を低評価する理由がここにあります。

そして、新犯人が自殺という形で話しは迷宮入りに。
これって、天久鷹央たちにとって、病院にとってのご都合主義。
もし真実が露見したら、病院はなくなり、シリーズは終わりです。

犯人は自殺するほど追い込まれていたのか。
いやいや、そういう描写はなく
むしろ冷静でした。

じゃ何故自殺し、この真犯人の真実を迷宮入りさせたのか
こんなのは、もう知念さんの都合ですよ。

た゛って、すでに、このシリーズは、この後も続く
1巻から3巻まで、実際、時系列では病院はあるし、そういう大問題が起きたという描写はない。
つまり、作者には制約があり、だから、こういう腑抜けた結論しか読者に示すことはできなかった。

故に、僕は今いちだと感じたのです。
小説としては楽しいです。

2022 10 29
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