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書評 純喫茶パオーン  椰月美智子  料理を扱う作品は優しい。読後感がとてもいいんです。

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地方都市に行くと、まだ、少しは残っているのかもしれない昭和の臭いが漂う純喫茶
その店は老祖父母が営んでいた。
ミルクセーキにナポリタン・・・
どれも美味しそうだ。

マスターの老人は、似非方言を操る人である。
徹底的に易しい。
訳あり風の人には「ホットケーキ」。
つまり、ほっとくのである。

小学生の孫の来人と友人は、その純喫茶パォ~ンにいりびたっていた。
3部構成で、小学生の話し。中学生の話し、大学の時の話しがあり。
舞台はいずれもパォ~ンだ。
これは友情と恋愛と祖父母の愛情の物語である。

小学生時代の話しが大好きで、その柔らかい自然の風のような雰囲気がいい。
サンタクロースを信じていたか、いないかとか。
魔法の鏡というのを主人公の少年は持っていて
それで映すと嘘をつくと「キラッ」と輝くのだ
高校生の女子三人が客でやってくる。そのうちの一人は常連だ。
その常連の人の好きな人が、そこにいる女の子に告白したという残酷な話しになる。
そこに悪意を感じる。とても嫌な感じになる。
ずっと、ミスリードされていたが、実は、この女性は身体は男性だったのだ。
だから、友達は・・・・。
この人は最終話まで重要な立ち位置で物語に関わってくるのだが、この最初の切ない物語が一番いい。

中学生時代になると、友達との疎遠や初恋・・・
ちょっと、優しさの質が変容してくる。

大学時代の話しは駄作。
大人になった来人や仲間たち。年取った祖父母たちは見たくなかった。
あのゲイの人の恋人。性別は女性だが容姿は男が登場するが・・・。
別に、そんな複雑にしないでもゲイのカップルでいいのにと思った。
そういう細かい違和感が残った。
それにミステリータッチの展開なのだが、オチがひどい。
この三話目は、別に読まなくてもいいのかもしれない。

2020 9/19



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