書評　ふがいない僕は空を見た 窪美澄 むきだしの性欲が波及するドミノ倒しの過激な展開。面白い!!。

アニメキャラにコスプレした人妻を抱く高校生
その卑猥な描写に、しばらく沈黙
他に好きな子ができたり
彼女と別れたり
彼女がアメリカに行くと聞くと執着したり
少年の性欲と愛情の錯覚、混沌さがよくにじみ出ている秀作

本作は、オムニバスストーリーです

次は、不倫相手の女性の視点で語られ
自己評価の低い彼女が、もてない夫と結婚するまでの過程や
義母の口出し
不妊治療・・・
子供を産めない＝女失格
みたいな社会における不安が
彼女を自由奔放な不倫に・・・

その次は、主人公の少年の恋人の視線
変人の兄が新興宗教にはまり
恋人は変態
ネットで動画がさらされ
クラスでも悪い意味での人気者
彼氏は不登校になり、まだ、人妻を忘れられない
絶望し兄の友達とラブホテルに・・・
最後の洪水のシーン
あれは良かった

4つめの作品は、主人公の親友の視点
貧乏な彼の話しは、ボケた祖母との暮らしが中心
そこに彼に親切にしてくれるバイト仲間
幼馴染の女の存在が加わり
親友のスキャンダルに対して、ビラをばらまくという
親友らしからぬ行動に出る
そこに見えてくる貧者の思考はよく理解できたが
親切な田口によって変化するのだが
その田口が子供に対するセクハラで・・・
この何を信じていのかわかんない状態がいい

最後の話は母親目線
これは無難です。

性描写が前半かなり多くとまどいます。
主人公の少年の視線に立つと、よく理解でき共感もできるのですが・・・
1つ1つの話しのメインが違うので、同じ時系列を描いているのに
別の話しみたいになり面白いです。

2021　 4/２５

ふがいない僕は空を見た（新潮文庫）