感想 横浜駅SF 柞刈湯葉 横浜駅が増殖し侵食していく、駅の破壊を誓う主人公が18切符で乗り込む。
この作品が生まれた経緯が楽しい。
ずっと工事を続けている横浜駅を見てて、作者がツィッターにアイデアを投稿した。
それが、そもそものはじまりだ。
それを小説にして、第1回カクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞を受賞した。
それが本作である。
発想は面白い。横浜駅が増殖を続け日本を全部手に入れようとするのだから。こんなの誰も考えなかった。
戦争があり、そこで開発された人工知能がベースらしいが、とにかく説明がアバウトでわかりにくかった。その戦争から200年後ということらしい。
イメージとしては、この横浜駅は植物の雑草という感じか。
自己増幅というイメージである。
スイカみたいなシステムが出てきて、それを初期投資として買う必要があり、買えない人は町の外に出される。その町の外に生きる三島ヒロトが主人公だ。
そこにはhierarchy構造のようなものが透かして見える。
彼がキセル同盟を名乗る男から5日間だけ横浜駅に入ることができる「18きっぷ」を手に入れ、横浜駅の中に潜入する。任務は横浜駅の破壊だ。崩壊させるのが仕事だ。
そのため42番出口に向かうという話しです。
どうも、福岡や北日本にも勢力があり横浜駅と対立しているらしい。
本書のまずい点は、話しにあまり波がないことだ。
後半は盛り上がるが前半は読むのが相当きつい。
波のない小説は厳しい。
それに話しのまとまりもなくて、前半は退屈だった。
後半、怒涛の展開で終結するのだが、あれがなければ正直きつかったと思う。
発想だけの小説にしか思えない。
教授の正体とか、きちんと説明しないと読者がイライラするだけなのである。
それでも、この世界観は素晴らしく
一読の価値はあると思います。
2022 9 3
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