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しりとりエッセイ  こ コスプレ

しりとりで、エッセイをやっています。成分は、下品とエロと恐怖で構成されており18禁です。


<う> 上から目線の男 >>>  <こ> コスプレ  

大学の学祭でコスプレ大会があった。
女子のミスコンに対抗して、男子はコスプレなのである。

僕が、生贄に選ばれたのだが・・・。
勉強しかしてこなかった僕に、コスプレ道の何たるかが理解できるはずもなく
女装するとか、それくらいの認識であった。

これはうちのサークルの1年の男子の共通認識であったので
本番、アニメキャラで現れた他の出場者の仮装を見て驚天動地であった。

ようわからんので、それでも優勝したかったので、とりあえず演劇サークルに女子の衣装を貸してくれと依頼した
するとメス蛙の衣装を提供しようと言われたのだが、当然、「無礼者!!」と僕は却下し
近くにあった花嫁衣裳もどきを指さして「これを所望する」と懇願したら、「待ってくれ」と部長さんに泣きつかれ。
近くにあったしょぼい白いドレスを借りることとなった。

僕は、コスプレ=女装と認識していたのである。

さて、僕が花嫁衣裳を着て現れてもキモイだけ。
これでは優勝は無理なのですよ。
眉を太くする。頬を赤くペイントする。
色々と企画したがインパクトが弱い。
で、眉を一本眉とし、頬を真っ赤に染めて、ウエディングドレスということになる。
インパクトはあるが、ゾンビの花嫁にしか思えん。
いかん、これでは勝てない。

僕たちは映画が好きだった。
それも古い映画が好きだった。
親世代が見ていたような名画が好みだ。

ウエディングドレスから発想する考えは、結婚式。
結婚式場から花嫁を強奪する「卒業」という映画の寸劇コントをすることになる。
演者以外にもう一人、舞台に登場させ、そこにストーリーを出現させようとしたのである。

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花嫁を強奪するというSTORYだ。

僕が花嫁役で、相手役の男はマッチョなO君。
わざと、ぴちぴちの小さな燕尾服を着用させる。
フランケンのようである。

本番、僕が壇上に上がると、後ろの方の客席から「えれーーーん」と叫ぶ声
ライトが照らすのはOである。

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何とかの巨人か!!


かけあがってきて、僕を殴り気絶させて、お姫様だっこで逃げる。
このアイデアは、Oが考えた。

しかし、壇上、床が濡れていた。
前の演者が水鉄砲の西部劇もどきをしていたためである。
彼はずっこけた。
僕は壇上で腰を痛打。
Oは、そのまま床に激突。
一応、僕を庇ってくれたようで、顔面からのダイブ。
その時、彼の差し歯。前の2本が抜けたのだった。
歯抜けなのである。
まぬけ面にライトが当たる。
大爆笑である。

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再び、彼は僕を抱き上げて立ち去ろうとする。
歯抜けにお姫様だっこされる僕。

「O、歯が歯が・・・」
そこに歯科医の人が声をかける。
歯科医ではなく司会・・・。
「もし・・・」
「はい・・・」と振り返るO。
「歯が抜けました」と床を指さす歯科医師ャ~。
「それは持っておいてください。後で取りに行きます」
「でも、触れたくない」
「ハンカチでくるんで」
「ハンカチ持ってない」
「ええい、あほが!。その辺に蹴っとけ、ぼけ!」と叫ぶとOは、僕を抱きかかえたままでフェイドアウトしたのだった。


爆笑と拍手を背後に感じた。
優勝を確信したのだが、10位にも入らなかった。

世の中甘くない。


2020 5/1

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