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2020年のおすすめランキング他・・・

あけましてあめでとうございます。本年もよろしくおねがいします。

2020年に読んだベスト10冊 


ピエタとトランジ 藤野可織
破局 遠野遥
秋の牢獄 恒川光太郎
悪と全体主義 仲正昌樹
ラディカルズ J・バートレット
ヤイトスエッド 吉村萬壱
カラスの親指 道尾秀介
ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野圭吾
人生を狂わす名著50 三宅香帆
月を見つけたチャウラ ピランデッロ


2020年12月の読書日記

読んだ本の数:12
読んだページ数:2930


今月のおすすめ本は三冊です。

オードリー・タン  自由への手紙の感想 新作
百瀬、こっちを向いて。 中田 永一
伊達女 佐藤 巖太郎 新作

#新作の定義は出版半年以内の作品です


以下、読んだ本の 簡単なまとめです。


イノセンスイノセンスの感想
主人公はネガティブすぎるし、確かに現場から逃げたのは悪いが中学生なんだから、そこまで罪の意識を持たなくてもいいだろうと思う。不寛容の世の中なのはわかるが、ここで描かれている世界は極端だ。そこまで人は他者に対して悪意ばかりなのだろうか?。せめてもの救いは美術教師の存在かな。それから好きな人との間に繋がった感覚。ミステリー小説として読むと、この作品はあまり良くないと思う。何となく、だろうなって感じのキャスティングだった。恋人に1つフェイクが入ったひねりは良かった。ラストの結末に救いはあるが。?でもある。読了日:12月01日 著者:小林 由香

かけだしたイス (おとなっておもしろいProject)の感想
#かけだしたイス サトシン これは意志の物語だ。椅子はかけだしたいと思った。その信念が彼を動かし、彼は縦横無尽に走り回る。そして、競馬馬はそんな椅子を見て戦いたいと思う。そして、前代未聞のレースが成立した。意志は偉大である。
読了日:12月05日 著者:

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)の感想
ホラー作家の乙一さんの別ネーム作品。恋愛ものです。それも切ない系の短編集。これはおすすめです。主人公たちは、いずれも地味でミステリー的な展開があるのが特徴であり魅力でした。とくに、表題作の偽者の恋人になる少年の話しは切なすぎた。だんだん、その子を好きになっていくのです。キャベツ畑の話しがいい。こっちも女子高生が先生に憧れる話し。ラストのどんでん返しは、とてもいい。小梅ちゃんの話しは共感できる。うんうんと何度も頷きながら、わかるわかると呟きながら読んでました。とにかく良い。大好きです。
読了日:12月06日 著者:中田 永一

完全犯罪の恋の感想
恋愛小説なのか、純文学なのか?。好きだった女の娘から、50になろうという作家田中が「母の話し」をしてくださいと言われる。田中と彼女と、そして、彼女の愛した男の三角関係が、三島由紀夫と川端康成の死に方とリンクしていき、それが今、現在の彼女の母の死に影を落としていく。とにかく、この田中。作者なのか架空の人物なのか、きしょく悪い。この人の自意識が気色悪い。男だとか。女のくせにとか。その上から目線とか、やることとか。意地汚い。もし、これが私小説を美化したものだとしたら、作者の田中さんの自意識が?になる。混乱した。
読了日:12月08日 著者:田中 慎弥

オードリー・タン 自由への手紙の感想
台湾の現役IT相が、コロナ対策とか、格差の問題、ジェンダー、多様性の大切さなどについてて語ったものである。インタビューのまとめらしいので内容は薄くてツッコミどころもあったが、その思想の斬新さには頭が下がる。こういう人を大臣に抜擢できる台湾の柔軟性が羨ましい。彼自身、性的なマイノリティ。つまり、男性として産まれたが女性。だから、彼女なのだからだと思う。だから、弱者や少数者の気持ちがわかるのだろう。とても面白かった。「自由」つまり、制約から外れることの大切さを痛感した。
読了日:12月10日 著者:

夜の妖精 フローリー (ティーンズ文学館)の感想
夜の妖精フローリーの羽根が・・・、巨人の庭に転落して・・・という冒険ファンタジー。リスの友達や、蜘蛛。ハチドリとの約束。そして、蝙蝠との友情。挿絵もキレイ。とても爽やかで気分がいい成長物語でした。少しずつ新しい生活になじんでいき、使えなかった呪文魔法も使えるようになっていく。弱者であった彼女がだんだか自信を取り戻し仲間を増やしていく様が良い。とてもおもしろかった。
読了日:12月12日 著者:ローラ・エイミー シュリッツ

イニシエーション・ラブ (文春文庫)の感想
ラストから二行目でちゃぶ台返しをやりやがった。その時、あっと感じた。sideAの鈴木とBの鈴木と性格も違うし色んなところが違うことだ。Bの鈴木は暴力的で、Aの鈴木は大人しい。妊娠させたのはAでありBではない。色んなところに伏線が散らばっていた。最後の最後でやっと変化球でヒントが出るという。難解さ。小説としてはくだらない。
読了日:12月13日 著者:乾 くるみ

キッド (幻冬舎単行本)の感想
つかみはOK・・・なんだが・・・。その後の展開は平凡。自衛隊のあの戦死の話しはありえる。ああいうケースで尖閣に中国がやってきて抗戦になり戦死しても大国である中国との関係を考えるとなかったことにとか・・・ありえるのだろうな。真実を告げると日本は経済的な損失になるから何もできなくなる。それが怖いな。
読了日:12月16日 著者:相場英雄

壺の中にはなにもないの感想
常温のレトルトカレーを熱いご飯にかけて食べるのが好きという繁太郎は無欲な男だった。有名陶芸家の祖父から目をかけられているが、どう考えても無能だ。よく今まで生きてこれたものだと思う。「壷の中には何もない」というタイトルの意味は何なのか?。それは祖父の作る何百とか何千万という高価な壷も、そこらへんのツボも、それほどの差があるのかという、そういう考えなのか?。芸術的な価値観とか、誰かからつけられた価値の曖昧さだろうか。そんなものに頓着しない繁太郎は理想的なのか。とにかく笑える。楽しい。それだけでも読む価値あり。
読了日:12月19日 著者:戌井 昭人

伊達女の感想
仙台の伊達家にまつわる女たちに光を当てて描いた短編集でした。1つ1つが良く出来ていた。伊達政宗の母義姫の気の強さ。そして、子や家を思う気持ちに心が揺れた。正室の愛姫の話しも良かったが、乳母の片倉喜多の生き方には、家に対する激しい想いを感じる。彼女がいなかったら伊達家はどうなっていたかわからない。最後の阿梅の話しも良かった。真田幸村の娘である彼女の秘めた想い、それに応える片倉小十郎。戦国時代というと男性にばかり目がいくが、このように男性の陰で色んな思いを抱えていて彼らを守っている女性の存在があったのだった
読了日:12月20日 著者:佐藤 巖太郎

化け者心中 (角川書店単行本)の感想
芝居小屋の役者の中に1人、鬼が紛れ込んでいるという設定。探偵役は元女形の魚之介。相棒と二人で鬼探しなのだが、一人一人の役者の中に嫉妬や色んな感情。醜悪なるものを見てしまう。役者になるものなんざ、皆、鬼なのだった。ういうモチーフでもokなのに、最後に本物の鬼が出てきて、その人だけまともだから鬼とか・・・。ミステリーなのにミステリーでなく、時代物ベースの純文学風なのに、鬼が出てくる。不思議な感覚。ちょっと苦手かな。
読了日:12月24日 著者:蝉谷 めぐ実


魂萌え !の感想
カプセルホテルのエピソードが良いアクセントになり強い印象となって残っている。夫の愛人との愛憎劇は、双方の感情があるから、ああなるのはわかる。普通なら間に第三者を入れて関わらないのだろうが、主人公の未亡人は正面対決している。その対立の場面がリアルで楽しい。それと仲良し四人組の本音の部分もどす黒くいかにもベテランの女性作家の書いた作品だとわかる。人物造形が濃く色んな人物の吐き出す悪習に人間嫌いになりそうになる。一読に値する名作だと思う。
読了日:12月27日 著者:桐野 夏生


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