しりとりエッセイ る 留守です

これは実話だが・・・
というか、ほとんど実話だが・・・

馬鹿な友達の話しをします。
大学2年の冬のこと、部屋をノックする音がした。
開けると笑顔のサラリーマン
お得な話しがあるのでと言われて部屋に通してしまった。

この人、英会話教室の勧誘の人
日本の高校や大学で習う英語は、会話に向いてない
社会人になると英語がしゃべれないと就活もできないと・・・
英会話教室に勧誘するわけです
のらりくらりかわして、どうにか男は帰った。
「明日、また、来ます・・・」と言い残して
正直、彼はうざいし、金もないし、その男が嫌いなタイプだったというのもあり
できることなら二度と会いたくないし
英語は嫌いだし、知らない英会話教室なんか行きたくないし
パンフに書かれた授業料も高いし金はないしということだった。

翌日6時になった。男が来る時間である。彼は電気を消していないふりをした。
夜の7時からバイトなのでした。
6時に、やってきた男は、昨日と同じようにノックをする。
ひつこく何回もだ。20回くらいした後、「いないのかよ。くそ!」と叫び。男は彼の部屋のドアを蹴り飛ばした。

男はそのまま彼と契約したかったのだろう。
押し切ればいけるとでも考えていたのかもしれない。

午後6時50分となり、バイトに向かうため部屋を出た。
すると、50分前に帰ったはずの、あの男がいて近づいてきた。
待ち構えていたのだ。ストーカーなのだ。
彼は、大声で叫んだ「留守です」と。
すると、男は何かにおびえるような感じで立ち去ったのだという。

彼は「留守です」を魔法の言葉だと確信した。
一か月後、ひつこいXX新聞の勧誘がやってきた。
このおっさんは、ひつこい。NHKの集金と同様にひつこい。
新聞はいらん、NHKも見てない。
でも、来る。
NHKは見てなくても払う義務があると言う。だから払うが、新聞を取るのは大人の常識と言われるとむかつく。
大学生は大人なのか、子供なのか。
そもそも押し付けてくるのはよくないことである。
どうせ読むのはスポーツ欄だけだ。
スマホがあれば、新聞なんかいらない。
いつも6時くらいに来る。
本当にウザいと思ったので、彼は魔法の言葉を使った。
「留守です」
「いるじゃないか?」
「留守ですよ」
「いるじゃないか」
「留守」
「いるやないか・・・」
「留守です」
そんなやり取りを繰り返した後、彼はキレた。
「留守や言うたら留守なんや」
新聞のおっさんは帰った。
どうやら、ああいう勧誘のおっさんには大声が効果があるようだ。

2020 7/3


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