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感想 四畳半タイムマシンブルース  森見 登美彦  四畳半神話大系とタイムマシーンの映画がコラボしているような面白い作品でした。

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世界観は、四畳半神話大系などの初期の作品と同じで
私の周囲には、樋口や妖怪めいた変態の小津。そして、ヒロインの明石さんがいる。
私と明石さんの恋の物語であり、はたまた、リモコンが壊れた最悪の暑さを耐える物語である。

森見ワールドの特徴と言えば、テンポのいい講談調の語りである。

京都の夏、我が四畳半は
タクラマカン砂漠のごとき灼熱地獄と化す。
生命さえ危ぶまれる過酷な環境のもとにあって、生活リズムは崩壊の一途を辿り
綿密な計画は机上の空論と化し
夏バテが肉体衰弱と
学問的退廃に追い打ちをかける。そんな境遇で人間的成長を成し遂げるなんて、
お釈迦様でも不可能である。
嗚呼、夢破れて四畳半あり。

私のエアコンのリモコンが小津によって破壊された。
それで、京都の暑さが直撃しているという地獄絵図なのである。

そこにタイムマシーンが現れて
一日前に戻り、リモコンを破壊するのを阻止しようとするのだが
このメンバーなので、ドタバタ喜劇となるという話し。

そこに、そのタイムマシーンの所有者の未来から来た大学生が登場し
田村君という名前
彼の両親が、ここの関係者とわかる。
ネタバレすると明石さんなのです。

そこで鈍い僕でも、既視感みたいなのを感じた。
タイムマシーンで99年前に戻った樋口氏が河童伝説の原因とか
リモコンが潰れたので、過去に戻るとか
銭湯とか・・・
田村という未来人の両親が、私の関係者の中にいるとか・・・

あの映画じゃん。

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タイトルは知らないが、上野樹里と瑛太の出てた映画です。
これとそっくり・・・
当時、僕は上野樹里が好きで映画館で観ました、この映画。


「四畳半神話大系」と「サマータイムマシン・ブルース」というふたつの作品が、時空をまたいでくんずほぐれつしたすえこうなりました。
だから、展開が読めて、あまり楽しめなかった。
映画では、未来から来た人は、上野樹里と瑛太の子だったはず・・・

ということは、私と明石さんの・・・

夏に京都では送り火という行事があり
山に文字を火を使って作るんですよ。
これを明石さんが誰かと行くという約束をしていて、私は嫉妬する。
一日前にタイムマシーンで戻った私は、明石さんを誘う。
そう誘ったのは、未来から来た私自身だった。
もし、タイムマシーンがなかったら二人はどうなっていたか・・・

成就した恋ほど語るに値しないものはない。

それについて作者は何も語りません。
それが森見風です。

2022 5 5 



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