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2023年の5月の読書日記

読んだ本の数:14
読んだページ数:4228



おすすめ本5冊

今月は旧刊に収穫が多かった。








司馬遼太郎さんの幕末 (文春文庫)は歴史の教科書の100倍は意味のある幕末を扱った小説です。
維新とは何だったのかが、司馬さんの視線で見えてきます。
とても魅力的な作品でした。

住野よるさんの作品の中で一番かもしれない力作が、また、同じ夢を見ていた (双葉文庫) です。
この作品、僕は大好きです。

ビューティフルからビューティフルへ この小説は、文藝賞を取った作品です。文章は稚拙ですが小説としての破壊力は読み応えありでした。

休館日の彼女たち (単行本) 新刊です。美術館のヴィーナスの石像とおしゃべりをするというバイトです。この発想が面白かった。

漫画 人間とは何か? 人間機械論ですね。かなり衝撃的な内容でした。


その他の感想は以下


きみの話を聞かせてくれよ (フレーベル館文学の森)感想
もっと読みたい続編が出たら予約したい、そんな気分です。中学生の悩みをpickupした短編集、七つの素敵な物語に癒されました。黒野という生徒がどの話しにも出てきて、この子、まるで哲学者か金八先生かみたいなアドバイスをしみんなを救います。友情の掛け違いの二つの話しが好きです。美術部の子と陸上部の子、もう一つは生徒会長と美術部部長の過去。そこにスィーツ少年や、その子に恋する女子。さらに保健室登校の妹ちゃんまで登場し来て、傷ついたみんなが癒されていく奇跡みたいな話しでした。大好きです。
読了日:05月02日 著者:村上雅郁

漫画 人間とは何か?感想
人間機械論ですね。最近、aiと人の違いは何かと問われることがありますが、その差はほとんどない。人間にできることの大半は機械にもできて、そのエビデンスは人間機械論となっていたりします。とてもわかりやすく漫画で説明されていて、評判通りとっつきやすい内容になっていますが、何かひっかかるものもあるのです。理屈ではわかるが、納得できない何かがあるのです。この考えはもっともっと話しを尽くさないと納得はできないのかもしれません。
読了日:05月04日 著者:マーク・トウェイン,大橋弘祐

また、同じ夢を見ていた (双葉文庫)感想
人生とは・・・の例えが面白かったです。この小学生はとても魅力的です。三人の女性と出会い助けられる。アバズレさん、南さん、おばあちゃん。軸になるのは幸せとは何かという問い。それは個人個人で違うとは思うんだけど、幸せになるという意思は必要なんだなと感じた。少しファンタジー小説ぽい展開なのもいい。もっともっと続いてくれと思いつつ読んでいた、とにかく楽しかった。やはり住野さんの小説はいいいね。
読了日:05月07日 著者:住野 よる

恋とそれとあと全部感想
少しこじらせている神経質な少女と、彼女のことを好きな部活命の男子の恋物語。何故か、夏休みに彼女の祖父のところに旅行に行く。その理由が気持ち悪い。そして、このサブレという女の子がとても気持ち悪さを感じた。それが女子の外面を剥がした内面ということなら、そんな内面は見たくないし、それを見せるべきでもない。だいたい世話になったお爺さんが死にかけて、あんなことを思う男の子を好きになるサブレがちょっと意味不明。住野さんの作品はたいてい好きなのだが、この作品は感情移入できなかった。
読了日:05月09日 著者:住野 よる

新装版 幕末 (文春文庫)感想
歴史の原動力として、攘夷運動があり、故に、たくさんの人たちが集まり倒幕という方向に向かった。時代は血を必要としており、幕末とは暗殺の時代でもあった。象徴的なのは、本作の短編集にたくさんの土佐の人間が出ていて死んでいることだ。維新は土佐の人たちの血によって作られ、それは薩摩や長州の肥料にされたのかもしれない。印象に残ったのに、桂小五郎の逃亡の話しと伊藤俊輔、のちの伊藤博文総理の暗殺加担である。そして、最後の三枝の話し。最後まで尊王攘夷を貫いた彼は処刑され首をさらし者にされたという事実。
読了日:05月11日 著者:司馬 遼太郎

休館日の彼女たち (単行本)感想
無理筋なのに、それを突き通したところに本書の面白みが存在します。欠点をあげると、場面展開が早く、何の話しをしているのかわかんないうちに、次の場面に進行しててとまどった。そういうところは何となく素人みたいな感じがする。だから没入しずらい。しかし、発想が豊かで展開が不可思議、ヴィーナスの石像と休日の博物館でラテン語でおしゃべりするバイトというだけでも驚きなのに、人には見えない黄色のレインコートを着ていたり、家主の婆さんとの交流、虐待されているぽい子供とも関わる。そして、学芸員の変態との闘い。面白かったです。
読了日:05月14日 著者:八木 詠美

ジャクソンひとり感想
これはわかりにくい。場面展開が急とか、感情移入しにくいとか、ようするに表現が下手なのかな。よく賞がとれたなと感じた。ブラックミックス。黒人ハーフでゲイ。差別の対象であり、個としても認識されない。顔がみんな日本人には同じに見えるという乱暴な比喩。それで四人の仲間たちによる復讐というのか悪戯というのか、入れ替わり作戦が開始されるという面白い展開なのだけど、言いたいことはわかるけど、いくら黒人でも顔くらい違いはわかるし体系とか色んな違いあるし、比喩にしてもそれで物語を進めるのは強引すぎ。
読了日:05月16日 著者:安堂 ホセ

ビューティフルからビューティフルへ感想
文藝新人賞受賞作。みんなツィッターとかで書いてるけど、僕も意味不明だった。三人のちょっとヘンテコな個性の高校生の男女が別々のパートで話しを展開していく話し。こと婆という人の塾が合流点。新興宗教に親がはまってたり、死にたかったり、友達依存みたいだったり、それでもポジティブに生きている高校生という感じ。作者の言語感覚と展開の斬新さが独特で、まとまりはなかったし感情移入も難しく展開も雑なんだけど、何かよくわからない魅力みたいなものがあり、なんか楽しかった。次回作に期待したい。
読了日:05月18日 著者:日比野 コレコ

ボタニカ感想
朝ドラで放送されている牧野富太郎の半生を描いた作品です。ドラマとは、かなり違う。植物学者としては、確かに僕でも知っているのだから、かなりの大家だ。南方熊楠を評するということは、その上ということになり、思っていたよりも大物だった。しかし、印象として受けたのは、学問バカ。実家の金持ちの家を破産させたり、最初の妻にひどいことしたり、愛人から後妻になった人にも金のことで苦難をしいる。15円の大学の教員の給与の数千倍の三万という借金。それを親切に払ってくれた人とも対立する。人としては問題ありなのではないかと思える。
読了日:05月21日 著者:朝井まかて

ぼくらは星を見つけた感想
養護施設出身の男がある屋敷の家庭教師に採用される。女主はそらさんという人で有名人の奥さん。彼女には小さな星のという養子がおり、ハウスキーパーのシドと三人で暮らしていた。家族のように彼をみなしてくれるというのだ。そのうち、この三人の関係性がわかり、彼が採用された理由もわかってくれる。癒し系の優しい物語で読後感もいいのだが、彼、みさき君を採用した理由が気にくわない。それは母親の優しさなのか、そうではないでしょと思ってしまった。読後感はいいです。
読了日:05月23日 著者:戸森 しるこ

ストロベリームーン感想
正直、彼女の遺書というのか日記がなかったら、この本を読んだことを後悔していたと思う。しかし、あれはグっときた。文体はラノベみたいに軽く、前半はただのおバカな高校生たちの恋愛物語で退屈でバカみたいなんだけど、何となく匂いがしたのです。この彼女、もしかすると病気かも。その通りでした。そこからもベタな展開なんだけど、それでも面白い。世界の中心で愛を叫ぶに何となく似ている感じです。もっと軽い。でも、心には刺さります。高校生、大学生くらいの人が読むと、まちがいなく号泣もの。
読了日:05月26日 著者:芥川 なお

[新版]日本国紀〈上〉 (幻冬舎文庫)感想
下巻に感想
読了日:05月28日 著者:百田 尚樹

[新版]日本国紀〈下〉 (幻冬舎文庫)感想
有名作家百田尚樹さんの書いた日本史の通史。上巻で一気に幕末までいくので、内容は薄っぺらくて勉強の復習程度にしかならない。下巻は、日清、日露の戦争や大東亜戦争に至った過程を詳しく説明してあり読みごたえがあった。南京大虐殺、従軍慰安婦、朝日新聞の罪などは小林よしのりさんの著作などと内容がかぶっていた。戦後の主張は百田劇場だった。嫌韓、嫌中意識が明確に出ており、憲法改正の話しの中に、外国人で帰化した人でも簡単に議員になれる。彼らが反日的なことをする可能性がある。という話しはある議員の顔が浮かんでしまった。
読了日:05月28日 著者:百田 尚樹

27000冊ガーデン感想
図書館の司書の先生が本にまつわるミステリーを解決する話し。本と謎というとブリビア古書堂のシリーズなど名作が多いのですが、本書は有名な本の名前は出てくるが蘊蓄も語られない知識も得られない深さもない感じです。じゃ、ミステリー謎解きとして優れているかというと可もなく不可もなく。珍しい点としては司書という立ち位置がわかったこと。この視点は珍しい。「本好きの生徒を守るのと、増やすのが学校司書の役目」という言葉が印象に残った。
読了日:05月30日 著者:大崎 梢

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